息子と日本一周車旅&キャンプ旅を楽しむ、アウトドアクリエイティブユニット「CAMMOC」代表・三沢真実による連載エッセイ。愛車のエブリィで日本中を駆けめぐります! 

リベンジ! 冬の車中泊

2017年12月、スノーボードへ行く費用を浮かせたくて始めた車中泊。冬の車中泊を甘く見過ぎていたおかあさんによる失態で1度目はトホホな結果に……。

今回は、その反省と当たり前過ぎる教訓を活かして、2018年2月に2度目の車中泊に挑んだ様子をお送りします。

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画像: 車中泊の朝、おはよー!

車中泊の朝、おはよー!

2017~2018のスノーシーズン。アリ4歳。
このシーズンは、vol.1の車中泊で行った初滑りの後、2回白馬へ行ったけれど、その時は車中泊ではなくカマクラ泊で!

画像1: リベンジ! 冬の車中泊

と言うのは冗談だけど……(笑)。ペンションに宿泊したので、車中泊はあれ以来まだしていない(このカマクラはペンション入り口前にアリが作り始めたが、その後、大人がだんだん本気になってしまいこんな形に笑)。

2018年2月。ゲレンデの麓ではもうしっかり雪が降り積もっているので、雪の中の車中泊にちょっと自信のないおかあさんは、なかなか車中泊に挑戦できないでいた。

そんな時に、お友だちが車中泊で白馬へ行くというので、ならばぜひご一緒させてー‼ と雪も寒さもピークの2月、2度目の車中泊&スノーボードへ行くことが決まった。

さて、前回は装備が甘すぎて震えながら一夜を明かしたので、今回は寒い思いをせず快適に過ごせるように考え、装備を整えた。

前回持っていったアイテムはこちら。

画像2: リベンジ! 冬の車中泊

・シェード:アイズ
・寝袋:ナンガ
・マット:キャプテンスタッグ
・LEDランタン:ベアボーンズリビング

マットはステップ部分から侵入する寒気を防ぐため、床全面に隙間ないよう広げて敷く。

そして今回、上記の装備に加えたのが下のアイテム。

画像3: リベンジ! 冬の車中泊

・ブランケットたっぷり:クリッパン・イケア
……底冷えを防ぐため、車内にマットを敷き詰めた上に、さらにブランケットを敷いたり、体に掛けたり。就寝時以外にもひざ掛けなどにできるように。

・寝袋:コールマン
……前回と同じダウン寝袋と、コールマンの封筒型寝袋のダブル使いで、さらに体を上から下から包みます(上の写真のグレーのクッションカバーの中に入っています)。

・クッション:手作り
……就寝時の枕代わりや休憩時のリラックス用に。

・テーブル:キャプテンスタッグ
……車内で食事をしたり、遊んだりする時に使えるように。

・シングルバーナー:SOTO
……お湯などをすばやく沸かせるように。

・ホッカイロ
……ポケットなどに入れて寝袋に入ると、寝袋の中はホカホカに。冷え症で足の裏がキンキンに冷えてしまう私は、足の裏に貼るのも欠かせない。

・雪掻きグッズのブラシとスコップ
……家にあったスコップとカー用品店で買ったブラシ。

・タイヤチェーン
……スタッドレスタイヤを履いているけど念のため。

車中泊の先輩に便乗!

今回の旅で向かうのは、長野県白馬村。

ゲレンデ周辺はかなりの積雪があり、四駆でないわが家のエブリィさんでは峠道を超えるのが難しいため、車を使うのは平坦な道のみ走行して行くことができる白馬の街中まで。

車中泊地は車中泊の先輩に教えてもらった白馬の街中にある無料の駐車場の予定で、そこからは、ゲレンデを周遊している便利なバスで移動する予定だ。

画像: 当時使用していたキャンピングカー仕様のヴァナゴン。

当時使用していたキャンピングカー仕様のヴァナゴン。

今回の車中泊に便乗させていただく車中泊の先輩は、ミュージシャンのOJI。OJIは車中泊で日本中をめぐっていて、スノーシーズンは車中泊でのロングステイでスノーボードなどを楽しんでいる車中泊の大ベテラン。

アリがベビーの頃から仕事でとってもお世話になっていて、2人でお出かけしちゃうぐらいOJIとアリは仲良し。

画像: 写真右端にいるのがアリとOJI。

写真右端にいるのがアリとOJI。

数日前から白馬に滞在していたOJIだが、私たちが白馬に到着する日は、白馬に住んでいる共通のお友だち家族と滑るというので、みんなでゲレンデに集合!(集合ゲレンデまでの道は積雪があまりなかったので、エブリィさんで向かった)

子どもたちも久しぶりの再会! みんなで楽しく滑り、その後はゲレンデのすぐ近くに住んでいる、そのお友だちのお家へGO♪ アリは皆と嬉しそうに遊んでいた。

17時頃、OJIは夜街でライブがあるとのことで一足先に街へ戻ったが、アリは「まだ帰りたくない! ここにお泊まりしたい!」と言い出し、これまでこんなに激しく駄々をこねたことはないと思うほど泣いて抵抗した。

しかしご家族の都合もあって長居はできないし、雪も降り始めてきたので、積もる前にエブリィさんは街に戻らなければならない。

こんな形で友だち家族の心もざわつかせてしまい申し訳なく思いながら……私も心で号泣しながら……ヤダヤダ言うアリを抱きかかえるように車の中に入れ、出発した。

暖かい家族とお家を後にして、今日私たちは2人、雪の中の車で眠る駐車場へと向かう。街灯のない暗い道を走る車のなかで「車で寝るのは嫌だ!」と泣きわめき続けるアリ。

アリの悲しみの理由は車中泊ではないとは分かっているけど、この状況では明らかに辛いことだろう。

ごめんね、ごめんね、私……一体何しているんだろう……。車中泊を楽しむなんて私のエゴだったのかな……と情けない気持ちでいっぱいになった。

出会いと別れに育まれる心

画像1: 出会いと別れに育まれる心

教えてもらった街の車中泊場所に到着すると、そこには笑顔のOJIがいた。

今日のライブは駐車場すぐ裏に建っているパオ内(Hanabi Bar Matsuri)でとのことで一緒にパオへ向かうと、すでに盛り上がっているお客さんがたくさん!

さっきは眠さも疲れもピークだったのだろう、移動中に一眠りして少しスッキリとした様子のアリは、Barでみんなにかまってもらって、いつの間にかご機嫌である。

大好きな焼きそばを食べてから、お皿と空き瓶でドラマーになりきって、

画像2: 出会いと別れに育まれる心

大好きな曲で踊りまくって、

画像3: 出会いと別れに育まれる心

なんとハーモニカまでいただき、

画像: ハーモニカをプレゼントしてくれた「流しのシスター」。

ハーモニカをプレゼントしてくれた「流しのシスター」。

それはそれは最高〜に楽しい夜になった。

この場に集う人々の生み出す温かさは、私の泣いていた心にいっそう染みて、私の情けない心はこのめぐり合わせに感謝の気持ちでいっぱいになった。

旅は、出会いと別れの連続で、楽しい時間も寂しい時間も次々と押し寄せてくる。大人はその感情に理由を付けて頭で処理してしまうけれど、子どもの心にはその一つひとつがダイレクトに響くことだろう。旅する私たちが短いスパンで繰り返す出会いと別れで、その純粋な心が傷ついてしまわぬように、私もその気持ちに寄り添って一緒に感じて、アリのペースを守っていきたいと思った夜でもあった。

店じまいの時間までたっぷり遊び、ホカホカの気持ちでOJIと駐車場に戻ると「おやすみー!」とそれぞれの車に入る。

エブリィさんの中には敷き詰めたマットの上に、二重の寝袋。それにブランケットとホッカイロでもう十分過ぎるぐらい暖かい。さらにアリとおかあさんは、もっと暖かくなるように2人でぎゅーっとくっつきながら眠った。

翌朝外に出ると、そこは昨夜とまるで別世界。雪は夜通し降り続いたようだ。

画像4: 出会いと別れに育まれる心

エブリィさんも見事にモンスターのような出で立ちになっている。

画像5: 出会いと別れに育まれる心

だけど、装備見直しの甲斐あって! 私たちは途中で目覚めることもなく、よく眠ることができた。装備って本当に大事だ……(しみじみ)。

画像: よく眠っているアリもそろそろ起こさなきゃ。

よく眠っているアリもそろそろ起こさなきゃ。

いつも寝起きの悪いアリだが、この日ばかりは起こすとすぐに「ハーモニカは⁉」と言って起き上がり、昨日握ったまま寝たハーモニカをブランケットの下に見つけると、自慢げに吹きはじめ、朝からご機嫌だった(駐車場だから小さい音でね)。

画像6: 出会いと別れに育まれる心

さらに「これからカップラーメンを作ろう!」と言うとアリは大喜び♪ 家ではあまり食べないカップラーメンはアリのごちそうなのだ。

画像: とくにシーフード味がお気に入り。

とくにシーフード味がお気に入り。

腹ごしらえ後、車の雪掻きをしていると、OJIも起きてきた。

「おはよう!」

仲間が一緒ってやっぱり楽しいし安心感がある。こんなモンスター状態の車を前にして、雪の中の車中泊が初めてな私たちだけだったら不安だったに違いないけれど、そんな時も「おはよう!」って言葉を交わす事ができるだけで気持が前を向く。

それはアリにとっても同じだろうと、その表情を見て感じることが出来た。

だけど車中泊はキャンプよりも「個」の領域がはっきりしている気がして、適度な距離感が心地いい。どこでも気軽に合流できて自由度が高いのも魅力的だ。

さて、今日はアリとおかあさんは2人で街からバスに乗ってゲレンデへ向かう。

車で行き着いた先で、バスや電車などローカルな乗り物に乗るのも好きなおかあさんは、このプランがけっこう気に入った。

画像7: 出会いと別れに育まれる心

そしてゲレンデ終了時間までたっぷり遊び、またバスで街へ戻ったら、駐車場で待ってくれていたエブリィさんで東京へと帰る。

こうして初めて雪中車中泊を果たすことができたアリとおかあさん! 車中泊の先輩、遊んでくれたお友だち、出会ってくれた皆様、お世話になりました♪

めぐり合わせの魔法

画像: 2年後の車中泊の朝(撮影機:RICOH THETA SC2)

2年後の車中泊の朝(撮影機:RICOH THETA SC2)

さて、この記事を書いているのは、あれから2年後の2020年2月12日。

雪不足が続く今シーズンだが、やっと白馬にもがっつり雪が降った先週末、例の如く唐突に「明日スノーボード行く⁇」とアリを誘ったおかあさん。

ザックリなスケジュールと合わせて「お泊まりするのはエブリィさんで」と言うと、「おーエブリィさんでお泊まり久しぶり〜」となんとも小慣れた感じの返事っぷり(笑)。(この冬は海外旅に行ってもいたので、エブリィさんでの車中泊は数カ月ぶりだ)

でも、アリのその言葉に、旅で多用している宿泊手段の「キャンプ」や「バックパッカーズ」などと並んで「車中泊」もレギュラーな選択肢の1つとして認めてもらえている。そんな気がして嬉しく思ったおかあさんであった。

今回は1泊2日、全行程2人行動。朝から夜まで2人でマイペースに遊ぶイメージだったのだけど、スノーシーズン中、白馬のゲレンデ近くでキッチンカーが集まる広場があり、お友だちも出店しているそうなので、タイミングが合えば会えたらいいなーと、滑り終わった後に寄ってみた。

画像: green food camperの夫婦よっちゃんとロミちゃん。

green food camperの夫婦よっちゃんとロミちゃん。

広場に行くと会いたかった友だち夫婦に無事会うことができ、私たちはそのキャパーバンにすっかり上がり込んで、暖まらせてもらったり、おいしいご飯をいただいたり、心も体もぬくぬくと楽しませてもらった。

その中で2人と話していると、この広場に建っているパオは2年前のあの日に私たちが行った、Hanabi Bar Matsuriが移転してきたものだということが分かり! さらにあのハーモニカをプレゼントしてくださったシスターもこの並びに出店していることが分かり! さっそくご挨拶。思いがけずあの日の恩人たちに再会することができたのだ。

皆であの日の動画を見て懐かしんだり、ひとしきりアリが大きくなったと言ったり(笑)。思い出話に花が咲いた嬉しいひと時だった。

画像: 真ん中に写っているパオがHanabi Bar mathuri (撮影機:RICOH THETA SC2)

真ん中に写っているパオがHanabi Bar mathuri (撮影機:RICOH THETA SC2)

画像: シスターのキッチンカー。

シスターのキッチンカー。

本当は……2年前のあれからというもの、今でも「アリの心に寄り添えていない」……と反省するたびに、鮮明にあの日の涙が目に浮かんできていた。

でも、フォーカスするのは涙じゃないよ。悲しい涙の日も、私たちは暖かい出会いに救われたんだよ。と再び訪れためぐり合わせの魔法使いが、あの日の思い出に花を咲かせて教えてくれた。

いつでも誰とでも別れは寂しいけれど、それだけ楽しかったってことなんだって、進み続ければまたどこかで重なる楽しい時間が待っている。

思い出すのは笑顔にしよう! 反省したときはその先に続く暖かな物語を思い描こう! と、2年経った今、やっと泣き顔を上書きすることができた。

ちなみに、2年後の今の私たちの車中泊はこちら。

画像: トリくん(ぬいぐるみ)を寝かしつけるから、ちょっと待っててと言ってそのまま寝落ちしたアリ(撮影機:RICOH THETA SC2)

トリくん(ぬいぐるみ)を寝かしつけるから、ちょっと待っててと言ってそのまま寝落ちしたアリ(撮影機:RICOH THETA SC2)

外は大雪にも関わらず暖房器具は一切使っていないが、暖かい服を着ていれば寒さはほとんど感じない車内(現在の装備についてはまたこれからの記事で紹介します♪)。

この車中泊の支度中、私がいつものアイズのシェードを窓に貼りながら「フロントガラスは雪がめっちゃ積もってて、中が見られることはないし、これ、貼らなくてもいっかあ〜」とアリに言うと「でも、貼らないと寒いし」と、6歳児からごもっともな突っ込みを受けたおかあさんであった。

さて今回の車中泊。

暖かく過ごすことに関しては問題なし! もうなんだかどこにでもいけちゃう気がしちゃうおかあさんは、またしても次の車中泊の計画を立てたくなる。しかしやっぱり詰めの甘いおかあさんは……⁉

次回は2018夏。日本一周へ出発するアリとおかあさん。車中泊初心者の試行錯誤はまだまだ続きます。お楽しみに!

写真・文:三沢真実

著者プロフィール 三沢真実(みさわまみ)

画像: 著者プロフィール 三沢真実(みさわまみ)

クリエーターズユニットCAMMOC(キャンモック)にて「キャンプのある暮らし」をテーマに、情報発信、キャンプコーディネート、イベント企画、などを⾏うクリエイティブデザイナー。現在6歳の息⼦と2⼈で⽇本⼀周車中泊&キャンプ旅の途中。
Instagram @mamimisawa
HP http://mamimisawa.comt
CAMMOC Instagram @cammoc
CAMMOC HP http://cammoc.com/

 

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