クルマで寝ることの楽しさとは何だろうか? まず大きな魅力として伝えたいのは「非日常」が味わえること。
車内をアレンジして、子どものころの秘密基地よろしく、限られた空間の中で好きなものに囲まれて過ごすのだから、楽しくないわけがない!
そして、そのお気に入りの空間が「動く」ことも大きなポイント。クルマで走り、好きな場所(許可されている範囲)で寝られる!
さらにスキーや釣り、山登りといったアウトドア・アクティビティと、とても相性がいい。もちろん観光とも。
そのなかでも車中泊の大きなメリットは、旅の自由度だ。予定に合わせて、プランニングの幅が広がる。
車中泊では深夜もしくは早朝の移動も計画に加えられるから、一日を有効に使えるという点も大きい。
アクティビティを楽しむために、前泊もしくは後泊を行う場合、車中泊なら起きて最小限の準備だけで、すぐに行動に移すことができる。
さらに、人が移動する時間のピークを外すこともできるので、渋滞を避けられるという利点もある。
これは道路上の渋滞を避けることはもちろんだが、観光地での混雑時間を外して楽しめるということも含む。
早朝もしくは終了時間近くならば、ピーク時の何分の一の待ち時間の場合が多い。車中泊で行う前泊・後泊のアドバンテージがここで活きてくる。
通常は土日を活用した一泊二日の旅程となるはずが、車中泊をうまく使えば、二泊二日や二泊三日、もしくは三泊四日の旅にすることができる。
例えば、金曜日の夜に仕事(学校)が終了したら、その夜にクルマで出発。目的地までの中間地点、もしくは目的地周辺で車中泊。土曜日は朝イチから目的を満喫して宿泊。
日曜日は朝から移動してもいいし、その日も一日堪能してから、その帰り道で車中泊を挟み、月曜の朝に帰ってきてもいい。これこそ、計画の自由度の高さ!そして柔軟に変更できる車中泊の利点といえる。
さらに、車中泊だからといって、そのすべてをクルマで就寝する必要はない。先に書いた週末車中泊の旅であれば、金曜日と日曜日は車中泊をするが、土曜日は旅館やホテルに宿泊してもいい。
のんびりとベッドや布団で寝て、豪華な食事に舌鼓を打って、クルマ旅を楽しむ……。「車中泊をしない」という選択すらも自由なのが、車中泊の魅力なのだ。
大きな悩みの種である洗濯やゴミの処理、デジタル機器の充電といった問題も、これで解決できる。
車中泊のメリットはほかにもある。ペットと一緒に旅ができることも、そのひとつ。いくつかの注意点や準備は必要であるが、車中泊ならばペットと一緒に就寝する場所に困ることはない。
さらに、いまさらではあるが「宿泊費」を削減できるという利点も、やはり見逃せないメリットだろう。
しかし、デメリットもある。非日常ということは、逆に言えば「いつもとは異なる就寝環境」ということ。
慣れるまで寝られない人もいる。最初は熟睡できないという人も多い。クルマによっては少人数しか寝られず、一緒に行く人数が限られる。
また、車中泊する場所選びも重要だ。どこに泊まっていいのか? 最初は悩むかもしれない。
車中泊場所によるトラブルも多く、車中泊の大きなハードルのひとつが、この場所選びといえるだろう。
無許可で私有地に車中泊するのは論外だが、それ以外にもトイレの有無や駐車場の開閉時間など、事前に調べても現地に行かないとわからないことも多い。
そして、日本には美しくも楽しい四季がある。車中泊にとって、この四季は魅力でもあり大きな障害になることもある。
例えば、夏の猛暑や台風、冬の大雪など、どれも大敵。それぞれの季節で対策が必要となる。場合によっては、「車中泊を行わない」ことを選択肢として考えることも必要だ。
クルマ旅でのメリット
・計画の自由度が高い
・一日を有効に使える
・宿泊費を抑えられる
・渋滞を避けることもできる
・ペットと一緒に旅ができる
緊急時の車中泊のメリット
・プライバシーが確保できる
・移動避難所として活用できる
・避難用アイテムを載せておける
・ペットと一緒に避難生活が送れる
・ある程度は自分で場所が選べる
クルマ旅&緊急時における車中泊のデメリット
・慣れるまで眠れない人も
・トイレなどで苦労することもある
・季節によって暑さや寒さ対策が必要
・車種によっては少人数しか寝られない
・慣れないと心身ともに不調になることも
・寝方を考えないとエコノミークラス症候群を発症するおそれがある
・燃料が必要
・故障や事故で動けなくなることもある
・防犯上、危険な場所もある
文:大橋保之(カーネル)
初出:車中泊スタートブック