純白の雪に包まれた世界でのキャンプ、温泉、スキー・スノボなどのウィンタースポーツ、この時期にしか味わえない旬の食材……。寒さがあるからこそ楽しめる、そんな冬のクルマ旅がありますよね。
では、冬の車中泊を楽しむには何が必要? 北海道在住・車中泊女子まるななが外気温−24℃での極寒車中泊訓練(!?)で培った冬の車中泊術と、ホームセンター用品でできる寒さ対策について答えます!
車中泊女子・まるななさん&テントむし
軽キャンピングカー・テントむしに乗り、北海道を旅する軽キャン女子。冬でも車中泊がしたくてFFヒーター付きのキャンピングカーを購入。外は極寒でも車内は常夏28℃! 半袖でビールを飲むのが生きがい。YouTube「まるななちゃんネル」で冬の北海道旅の様子を配信中!
真冬の北海道で車中泊をして学んだことは……
外気温−24℃で車中泊をして学んだことは「極寒で車中泊をしてはいけない」ということ。
家庭用冷凍庫は−18℃前後と規格で決まっているそう。想像してみて! 自分が冷凍庫で寝ている姿を……。絶対に体にいいわけがない。
ということで、実際に体験して気がついたことを紹介します。
①カセットボンベが使えない
通常のカセットコンロのガス缶(CB缶)は氷点下では使用できなくなります。寒冷地仕様を用意すること。
②カセットガスの使用は慎重に
カセットガス暖房は暖かいけれど、一酸化炭素中毒や火災の危険があるためおすすめできません。車内でのガスの使用は、必ず換気と一酸化炭素警報機の設置を。
③電池の減りが早くなる
スマートフォンやタブレットなどの電子機器は寒さに弱く、バッテリーの残量が急に減ることも。FFヒーターなどを使用しない場合、就寝時はスマートフォンを寝具に入れて一緒に寝よう。
④頭と肩まわりの隙間が寒い
就寝時は、頭と肩まわりをしっかりと覆う寝具がおすすめ。
⑤「貼るカイロ」は救世主
貼るカイロを肩甲骨の間と腰に貼ってみましょう。あたたかい血液が足先に届き、体全体がポカポカに。低温やけどに注意し、厚手のインナーなどの上から貼るのがポイント。
さらに、低温や積雪により予期せぬトラブルに見舞われ、ケガや事故に遭い、最悪、命を危険にさらすことになるかも。
天候悪化や体調不良のときは、ホテル泊に切り替えるなど、無理のない計画を立て、冬の車中泊を楽しんでほしいです。
冬車中泊の前に、知っておくべき重要ポイント
FFヒーターがあれば車内はポカポカ
サブバッテリーで稼働する燃焼式の暖房設備。ひと晩使用しても消費燃料は数リットルと少なく、とても省エネ。
ただし設置費用は高額で専門的な技術が必要なので、装着は必ずプロショップやメーカーに依頼すること。屋外が極寒でも車内をポカポカにしてくれる最強アイテム。
積雪時にアイドリングは厳禁
雪が降り積もるなか、寒いからとエンジンをかけたままで暖を取ると、積もった雪がマフラーをふさぎ、排気ガスが車内に逆流。一酸化炭素が車内に充満し、中毒死する危険もあります。
積雪時のアイドリングは絶対にNG ! 冬車中泊の準備が不足している場合は、無理せず車中泊をあきらめよう。
極寒の地、北海道で培った冬車中泊の寒さ対策
冬の車中泊には何が必要で、どんな寒さ対策をすればいいのか……ポイントは大きく分けて3つ! 各ポイントごとに具体的な方法などを紹介していきます!
ポイント① 冷気を遮断する
シェードで窓をふさぐ
冷気は窓から! 絶対に塞ぐべし! シェードは車内の目隠しとしてだけでなく、窓の断熱として効果を発揮。銀マットで自作できるますが、アイズ・マルチシェードなら、冬の冷気だけでなく夏の高温も遮り、年中使える優れもの。
カーテン+断熱材を装着
窓からの冷気を防ぐには、DIYで丈の長いカーテン(難燃素材)の取り付けもおすすめ。保温効果だけでなく、車内を自分好みの空間に変えられます。
車内が暗くなるのを避けたいときは、緩衝材(プチプチ)もおすすめ。貼り付けられる窓用もあり。
壁や床にも断熱材を使用
床からの冷えを防ぐべし! 車内が暖かくても床が冷たいと寒く感じます。床面に銀マットやカーペットを敷くと底冷えに効果的。
壁の冷えには窓用冷気遮断ボードを立てて冷気を防ぎましょう。おしゃれな柄もあるので、銀マット代わりとしても使えます。
ポイント② 電気の力を使う
ポータブル電源を複数準備
消費電力の大きい家電を使わないなら、中型の電源を複数用意すると給電ポートも増えて便利。故障時の備えにもなります。使用温度範囲があるので、氷点下で使えないということがないように、事前にチェックしておきましょう。
電気毛布+電気カイロなど
電気毛布は上にかけるより下に敷くほうが◎。充電式湯たんぽは、電気毛布より省電力で柔らかく肌触りがいい。どちらも低温やけどには気をつけて!
電源サイトを活用する
RVパークやオートキャンプ場のAC電源サイトを活用すると、電気製品が使用できる。延長コードの準備も必要で、必ず野外用を使用すること。
+α ソーラーパネルで電気をためる
どんなに高性能バッテリーでも、残量がなければただの重い箱。ソーラーパネルで充電ができれば「0」が「1」に。天気や季節で充電量が変わるため、補助として使いましょう。
ポイント③ 凍結・積雪対策エトセトラ
ダウン素材のウエアを多数用意
ダウン製品は、高価だが軽量で暖か。冬の衣類はかさばりがちなので、狭い車内でもコンパクトに収納できるものを選びましょう。
寒いのが苦手な人には、テントシューズやダウンパンツもおすすめ。車内の快適度が大きく変わります。
アプリを活用して天候をチェック
昨日は晴天なのに今日は猛吹雪かと思えば、峠を越えると天気が激変! など、冬の変わりやすい天候、気温、積雪の情報は天気アプリでチェック。天候により、目的地を変えられるのも車中泊のメリット。余裕をもった旅の計画を。
飲料水の凍結に注意して
極寒の世界ではあらゆるものが凍ります。起きてすぐ、氷はペットボトルから出てきません。就寝前にお湯を沸かし保温ボトルに入れておくと、朝すぐに温かいお湯が使えて便利。保温ボトルがない場合は、就寝具に一緒に入れて寝ると凍らないですよ。
「塩カル」対策も忘れずに
北海道などの北国では、氷点下になると道路が凍結しないよう塩化ナトリウムや塩化カルシウムなどの凍結防止剤が撒かれます。それが車体に付着すると錆の原因に。雪道を走行後は、入念に車体の下まわりを水洗いするのがポイント。
軽油などには寒冷地仕様がある
ディーゼル車の燃料である軽油は、タンク内で凍結する恐れがあるため寒冷地仕様があります。軽油は5種類あり、その地域の気温に合わせた軽油が販売されているので、雪国を訪れる場合は現地で給油すること。ウォッシャー液も同様。
駐車時から積雪を考えておく
大量に積雪が見込まれる場所では、車中泊を一考すること。安全第一が原則。朝目覚めると自分の周囲だけ雪を残して除雪されているということもあります。また、長時間駐車する場合は、ワイパーを立てておくと雪下ろしがしやすいですよ。
ノーマルタイヤでは走らない
スタッドレスタイヤを装着するのは、積雪が予想される地域では常識。積雪が少ない地域でも、道路が凍結しブラックアイスバーンになることもあるので注意。古いスタッドレスタイヤは、経年劣化し性能が落ちている恐れもあります。
凍結&積雪アイテムを準備しておく
雪を下ろすためのスノーブラシや鍵穴の凍結防止剤も購入しておきたいアイテム。手袋もあると便利。防水だけど湿気は通すテムレスの手袋は、アウトドアシーンでは人気。ホームセンターで購入可能。ワイパーも寒冷地仕様に変更しておきましょう。