使いやすさを追求したレイアウトは、繊細さとダイナミックさが融合
![画像: 使いやすさを追求したレイアウトは、繊細さとダイナミックさが融合](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/1f130fc899f4a186eb4a151a10a78a3b5eae3f92_xlarge.jpg)
※こちらの記事は2020年12月発売のカーネルvol.48に掲載したものです
リアゲートを開けると、ベッド下には、たくさんの仕事道具が積み込まれている。建築から店舗などの内装のデザインまで、いろいろな現場で大工として活躍してきた鈴木大地さんにとって、このクルマは仕事道具のトランスポーターであり、大切なパートナーでもある。
![画像: 運転席の後ろからリビングエリアが広がっている。カーテンで仕切ってしまえば、完全にプライベートスペースを確保。フロアはフラットにつながっているので、運転席とリアスペースの行き来もストレスフリー。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/606696e5a1c4442622f0b2d69617d7f977f46880_xlarge.jpg)
運転席の後ろからリビングエリアが広がっている。カーテンで仕切ってしまえば、完全にプライベートスペースを確保。フロアはフラットにつながっているので、運転席とリアスペースの行き来もストレスフリー。
車内へ乗り込むと、インテリアはリアゲートから見える景色から一変し、まったく違った表情を見せてくれる。美しい木目が広がり、包み込まれるようなやさしさを感じるのだ。そして、規則正しいテクスチャーがさらに心地よさを加速させる。
![画像: リアゲートを広げると開放的な空間が広がる。内装の木材には松を使用。杉ほど柄がうるさくなく、ラフな感じが気に入っているという。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/88b7dc4be2c3eb02e07d8c1a38d59da97776c816_xlarge.jpg)
リアゲートを広げると開放的な空間が広がる。内装の木材には松を使用。杉ほど柄がうるさくなく、ラフな感じが気に入っているという。
ウッディなインテリアは、ログキャビンのような、ワイルドな空気感を漂わせている。しかし、不思議とラフな印象を感じることがない。そのすべてが計算されつくし、一つひとつの部材が、正しい位置に収められているからだろう。まさにプロフェッショナルの技といえる。
![画像: ルーフにはフレキシブルソーラーパネルとキャリアを設置。キャリアはリアゲートのラダーからアプローチするため、後方側にセットされている。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/2b02a01743f05658c3afef45c55221138a79f0c0_xlarge.jpg)
ルーフにはフレキシブルソーラーパネルとキャリアを設置。キャリアはリアゲートのラダーからアプローチするため、後方側にセットされている。
鈴木さんが、ベンツのT1Nを手に入れ、クルマを作るきっかけとなったのは、職場での出合いであった。
「仕事場にあった本に、バンライフのクルマが載っていて、自分が求めているのは、これだ!という直感を感じました」と語ってくれた。
![画像: 壁側に収納スペースをまとめたレイアウト。ベッド側のカウンター下は収納スペースとして利用。シンプルですっきりとしたデザインで、インテリアに統一感をもたせている。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/b4b20de641ed5b7bf50544f7c7ac81a0db228856_xlarge.jpg)
壁側に収納スペースをまとめたレイアウト。ベッド側のカウンター下は収納スペースとして利用。シンプルですっきりとしたデザインで、インテリアに統一感をもたせている。
制作当時は資料も少なく、海外ユーザーのSNSなどを参考にしながら、試行錯誤を重ねた。レイアウトの概要は決まっていても、細かい設計図があるわけでもなく、作りながら、自身の感覚で細部を作り込んでいった。おかげでダイナミックなデザインが生まれ、全体的なまとまり感も強調されている。
![画像: 仕事やワークショップで使う工具がたくさん積み込まれている。扉には布製の収納ポケットが取り付けられ、小物などを収納。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/07214eb77a7bd76c6367066f28a7d37d4b591d87_xlarge.jpg)
仕事やワークショップで使う工具がたくさん積み込まれている。扉には布製の収納ポケットが取り付けられ、小物などを収納。
ワークショップの開催やイベントサポートなど、クルマを使うシチュエーションも増えてきた。そんなとき、使いやすさを左右するのが、道具の積載量と取り出しやすさ。リアに広いラゲッジスペースを確保したのは、そのためだ。
![画像: 景色のいい場所に行ったら、このようにリアゲートを開き、ベッドでリラックスすることも。頭上に十分なスペースがあり、圧迫感がない。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/16406f13d6a724c3347fac3e5f3f20bf64262746_xlarge.jpg)
景色のいい場所に行ったら、このようにリアゲートを開き、ベッドでリラックスすることも。頭上に十分なスペースがあり、圧迫感がない。
さらに、疲れた体を休めるためにも、快適な居住空間を確保することも大切。快適性を追求するには、ストレスフリーな動線を確保できるレイアウトと、くつろげるスペースを設けること。
![画像: カウンターに座っていると、不思議と落ち着くという鈴木さん。クルマの中でお気に入りの場所。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/81d4c6d58d8926f386fca557d32796a91152c616_xlarge.jpg)
カウンターに座っていると、不思議と落ち着くという鈴木さん。クルマの中でお気に入りの場所。
鈴木さんにとって、少し高めに設定されたカウンターがお気に入りで、自身でハンドメイドしたチェアに腰をかけると、ほっと落ち着いた気分になれるという。
![画像: クルマを作るとき、ボディと室内の間に張られた断熱材。室内を広く使いたいため、なるべく薄いタイプを選んでいる。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/4764d36c91a6186de5a12af45c0da57d01b609ab_xlarge.jpg)
クルマを作るとき、ボディと室内の間に張られた断熱材。室内を広く使いたいため、なるべく薄いタイプを選んでいる。
車内環境を向上させるため、壁で見えなくなっているが、車体と木材の間に、しっかりと断熱材が入れられている。このようなレイアウトであれば、必然的に車内で過ごす時間も長くなるし、厳しい環境での作業も多くなってくるので、その効果は大きいといえるだろう。
![画像: スイッチやコンセントもこだわりの仕様。インバーターが組み込まれていて100V2000Wまでの家電が使える。仕事でも電動工具を使いたいため、出力は高め。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/967d8961d754cca75228537d53b8908d722d90c2.jpg)
スイッチやコンセントもこだわりの仕様。インバーターが組み込まれていて100V2000Wまでの家電が使える。仕事でも電動工具を使いたいため、出力は高め。
電源システムでは、サブバッテリーを搭載。ソーラーパネルからの充電ができる仕様だ。壁にアウトレットコンセントを設け、コーヒーメーカーを使ったり、スマホ充電や電気毛布など、家電品を気軽に利用できるようになっている。
![画像: カーテンは遮光、難燃タイプ。断熱効果もあり、冬場は冷気を遮ってくれる。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/f11fa1d4821aefff29fc721ce078cb4ba672962c.jpg)
カーテンは遮光、難燃タイプ。断熱効果もあり、冬場は冷気を遮ってくれる。
寒さ対策としては、窓からの冷気が流れてくるのを防ぐために、カーテンを設置。カーテンは試行錯誤して、現在のタイプに落ち着いている。
![画像: 車内で最も効果の高かった寒さ対策が寝具だった。羽毛布団と発熱機能を持つカバーで、寒くても布団に潜り込めば、快適に寝られるという。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/1d7eb7445f8a844760b2de7eb7e226fc28240108_xlarge.jpg)
車内で最も効果の高かった寒さ対策が寝具だった。羽毛布団と発熱機能を持つカバーで、寒くても布団に潜り込めば、快適に寝られるという。
また、暖かい機能性を発揮する布団を使っているので、寒いときは布団に潜り込むだけで、寒さを感じることはないという。実践での車中泊経験で裏付けされたセレクトなのだ。
オーナー 鈴木大地さん
![画像1: オーナー 鈴木大地さん](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/6487b3ec9961885a1ff19faeab7e6261eca7f424_xlarge.jpg)
大工としての経験を活かして、バンライフ、車中泊車両を製作したり、ワークショップなどを開催する行動派。移動できるモバイルハウスとなる、自身のクルマを作って、リアルなバンライフを楽しんでいる。
![画像2: オーナー 鈴木大地さん](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/99ef248955f2ef232877418ed253e9f8b60b0b45_xlarge.jpg)
愛車はベンツのトランスポーターT1N。海外ではバンライフの定番車両で、高さがあり、室内の広さが特徴。リアサイドにガラスの入っていないモデルをセレクトすれば、架装もしやすい。
![画像3: オーナー 鈴木大地さん](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/9b64f82f512ad165d379ceab0c5aeef241b9c594_xlarge.jpg)
キャリアの上に載っているボックスは防災を意識して、いざというときのアイテムを収納するためのスペースとなっている。
まだまだあります、こだわりの車内DIY
![画像1: まだまだあります、こだわりの車内DIY](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/6274032fad9df4ecca02af7d572b211f6f8e69e1_xlarge.jpg)
上段の棚はエントランス側にぐるりと回った特徴的なデザイン。製作途中で思いついたアイデアも多く、カウンターを伸ばしたのも、製作途中のアイデアだったという。
![画像2: まだまだあります、こだわりの車内DIY](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/afbd2690f3196cee0a3922f14d78577f6c0ca200_xlarge.jpg)
カウンターの上部にはお酒などがちょうどよく収納できるラックを設置。ロープを使ったハンガーにはカップなどが吊り下げられている。
![画像3: まだまだあります、こだわりの車内DIY](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/a1283d75d69cfdf16a83bcb5a488851bf00c9c15_xlarge.jpg)
ベッド下の収納スペースは室内側にも扉が付いていて、荷物の出し入れが可能。ポータブルトイレはいざというときの非常用。ベッドサイズは横1800㎜、奥行き1400㎜。
![画像4: まだまだあります、こだわりの車内DIY](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/0c58e7b3e261d67630d329d17c85052b6d75aecb.jpg)
室内壁の両サイドに取り付けられた照明がアンティークな雰囲気を醸し出す。船舶用のライトをエイジングリメイクをして、電球を好みの暖色LEDに変更した。
![画像5: まだまだあります、こだわりの車内DIY](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/96b4fd6f37b95e58ae6502027629afa2af32d9e1_xlarge.jpg)
エントランスを入ると目に飛び込んでくるのがこの光景。鈴木さんのクルマ作りは、エントランスから見える第一印象を大切にしているという。
![画像6: まだまだあります、こだわりの車内DIY](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/b34ad543a6a469537caa77a3dbd5252af55e1711.jpg)
棚などの基本的な構造材は強度の高い26㎜の合板を使っている。
![画像7: まだまだあります、こだわりの車内DIY](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/3d2a55270da11038cf32013475d408fb82e6e29c_xlarge.jpg)
発電機は予備の電源として確保。
![画像8: まだまだあります、こだわりの車内DIY](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2021/02/01/fe317df086b9fa33f7b8d5615ae6865d968d91d3.jpg)
フロアは土間をイメージして、一般的な建材のタイルが貼られている。エントランス部分はその上にラグマットを敷いている。
写真:中里慎一郎、文:渡辺圭史、出典:カーネルvol.48 2021年冬号