【概要】ホンダ・N-VANで車中泊を楽しむ夫婦の車内DIYや車中泊スタイルを紹介。収納スペース、ベッドルーム、キッチン&リビングのDIY注目ポイントなど。

オーナー:岩見兼次さん &眞由美さん

釣りが趣味の兼次さんと、ヨガとジュリー(沢田研二)が好きな眞由美さん。眞由美さんは車中泊をしながら風景撮影と御朱印巡りを行っているそう。

ふたりとも車中泊については「どこへでも気ままに行けること」と、「ふだんとは違う世界が味わえること」に魅力を感じているという。

愛車はホンダ・N-VAN +STYLE FUN HONDASENSING。

愛車はN-VANのなかでも上級モデルにあたるグレードで、丸目のかわいらしいLEDヘッドライトが特徴的。

前方のクルマや対向車、それに歩行者との衝突回避を支援する、衝突軽減ブレーキなど、先進機能のホンダセンシングも標準装備。

メーカー発の車中泊カー! N-VANの夫婦旅スタイル

車中泊を始めるキッカケは人それぞれ。例えば、今回のご登場いただいた岩見さんご夫妻の場合、ふたりでの旅の回数がぐんと増えたからだという。

そこで兼次さんが奥様の眞由美さんをうまく説得(?)。いまではホンダ・N-VANで車中泊を楽しんでいる。

N-VANは自動車メーカーが提案する、ビジネスユースとアウトドアでの使い勝手を追求したモデルだ。商用モデルだけに、静粛性や乗り心地、快適性などは一般乗用車に譲るものの、それでもこのクルマを選ぶ理由はたくさんある。

まず挙げられる大きなポイントは、使い勝手のよさだろう。荷物の積載や作業効率を優先するため、シンプルに徹した荷室は、DIYアイテムを装着するには最高の素材。

そして、最大の特徴といえるのは助手席側のピラーがないこと。兼次さんも「(ベッドメイクのときなど)助手席を倒す際にピラーがないのは便利と感じた」そうで、ほかにはない独創的なスタイルが気に入ったようだ。

そして、購入にあたり考えていた条件がある。「普段使いができること」と、「車中泊ができること」。そして「クルマで外出したときに、リラックスできる場所の確保」

特に3項目めは、ふつうに考えれば軽自動車では「?」がつく。しかし! N-VANの細部の寸法まで計算して納めた、兼次さんのアイデアの数々は、今回の見どころのひとつ。ぜひとも参考にしてほしいところ。

さて、そんな岩見さんご夫妻。最近の引っ越しを機に、2台所有していたクルマを1台に集約。その
ため、普段使いから車中泊まで、1台ですべて完結するN-VANが、愛車として最適だったようだ。

そして、釣りが趣味の兼次さん。N-VANで釣りに出かけることもしばしば。だが「釣りはするけど魚は嫌いなの」(眞由美さん談)と、兼次さんが「魚を食べない釣り人」であることが判明。せっかくテーブルもコンロもあるのになぁ。

収納スペース

寸法キッチリで無駄のない自作棚

購入のポイントである「普段使いができること」を実践するため、荷室上部左右に収納スペースを確保。

商用車ということもあり、ボディ鉄板が剝き出しの荷室は、造作がたやすいレイアウトとなっている。

細部にはボルト穴が設けられており、それを使うことで剛性感のある棚をつくりあげている。ちなみにN-VANは、標準タイプでハイルーフ。

さらに開口部の左右幅が1230mmあり、最大荷室幅は4名乗車時でも1390mmも確保されている。

その幅とハイルーフを活用した、DIYの収納スペースが、今回のモデルの大きな特徴のひとつといえるだろう。

ラゲッジ上部左右へ対象に配置

収納棚は、日用品の寸法をキッチリ測定。左の収納棚の幅は150mm、右は食器を入れるので200mmとなっている。

上部のテーブルは前後で2分割になり、天板の端部には「返し」を製作。小物を置いてもテーブルから落とさないように、細かいテクニックが見られる。

運転席側は上水タンクと食器置き場

棚を製作する前、食器が大きくて「入らないのでは……」と思案した結果、棚と窓のわずかな空間も活用することに。

左右の扉の長さと開き方が違うのは、使い勝手を考えて。ちょっとした物を置けて便利なように、右側は吊り下げ式にしたという。

上水タンクは当初ペットボトルの使用を考えていたが、スペースに収まらず今の形状に。浄水タンクを固定する棚も細部まで計算されている。

助手席側の棚はサブバッテリーとTVモニター

助手席側後部の棚には、約8年間使用中の市販ポータブルバッテリーと、増設した自作のディープサイクルバッテリーBOXを設置。

今後、ルーフにソーラーパネル(12W×2セット)を設置する計画で、ディープサイクルのバッテリーと組み合わせたプランを練っているとのこと。

上部は、収納できるTVモニター台(配線類はまだ)と、棚にはタオルや小物などを収納している。

棚の固定はボルト穴とアングル材でしっかり

N-VANには荷室後部の窓付近にいくつかボルト穴が設定されている。運転席側と助手席側それぞれに13穴ずつあり、そのボルト穴にアングル材を使って棚を固定しているので、高い剛性を実現。

脚の上にあるふたつの台座は、2枚の渡し板(テーブル)を置くためのもの。上下2段式のテーブルは、下段の板がスライドして、使用・収納できるようになっている。

棚は前愛車から流用! 「こたつ」のアイデアはここから

今回紹介している収納棚は、前愛車のスズキ・スクラムで製作したアイテム。スクラムを手放すときに解体して保存。N-VANが納車された際に試してみると、運転席側の収納棚はピッタリ収まったという。

棚に渡し板を置いて、「こたつ」のように使うアイデアはこのころのアイデアだ。

ベッドルーム

バンならではの広さでベッドメイクもほぼ無用!

「車中泊ができる」という条件で購入したN-VAN。もちろん車中泊には不満はないが、さらに同車を選んで得た大きな収穫。それがベッドメイクにかかる時間だ。

以前のスズキ・スクラムでは10分ほどだったが、N-VANにしてからはほぼ無用! ピラーレスということで、助手席を倒すのも手軽。車中泊の回数が多くなるほど、その恩恵は大きいはず。夫婦での就寝もご覧のとおり!

しかし、そんな寝床でも新事実発覚(!?)。自分の寝床の長さは事前に確認済みだった兼次さんだったが、眞由美さんの寝床に関しては納車されてから試してみた、というのは内緒の話。

身長176cm+156cmでピッタリ!

運転席側には身長156cmの眞由美さんが就寝。運転席の背もたれは前方に倒しているが、座席はスライドさせることもなく、そのまま寝られる。

助手席側には身長176cmの兼次さん。助手席がフラットになって、快適な寝床となるのはN-BOXならでは。

さらに、ピラーレスにより、こんなに広々とした開放感のあるスペースが生まれるのだ! これは驚き!

ベッドはさらに拡張することも可能

このアイデアは、今後の車中泊のカタチを考えたコンセプト。リアドアを少し開放し、300mmベッドを延長。ワイヤーで固定することで、さらに車内を広く使用できるかも……。

リアドア左右の開口部は網戸か、テントなどで仕切ることを考えているという。現在は、テーブルやイスとして使用している。

室内の高さは着替えもできてグッド!

荷室内の高さは床から1365mm。空間にゆとりのあるおかげで、車内で着替える際も余裕あり。後席と収納スペースの天井が分かれているのは、定員乗車時に窮屈にならないような工夫だ。

天井部分もしっかり活用!

天井にも収納スペースを設定。前後からアクセスが可能で、奥行が約500m、左右は約900mm、高さは約190mm。

キャンプ道具のイスやテーブルなどを収納する。ポイントは、リアドア上部にあるミラーが隠れていないこと。つまり後部の視界を確保していることだろう。

使用状況に合わせたシートアレンジ

4人乗車でも荷室内に車中泊の道具はしっかりと収納。就寝時は助手席を倒して、荷室に敷いてあったマットレスを引き出すだけ。

下段のテーブルは、このようにスライドして引き出せるようになっている。

テーブルの下をおふたりは「こたつ」と呼んでおり、冬はそこに湯たんぽを入れて就寝するとホクホク暖かだという。

カーテンは家庭用がDIYしやすい

カーテンレールは家庭用の出窓に使われる樹脂製を使用。微妙な曲線の加工もしやすいという。レールの固定は、「スリムくん」というDIY店で販売しているアンカーを使っている。

リアカーテンは前愛車のものを流用。寸足らずなのはN-VANのほうが開口部に高さがあるため。