“どこにでも快適な家をもって移動できれば”というコンセプトに基づき、最新テクノロジーを詰め込んだのがペブル・フロー。スリークなデザインの大柄な2トーンボディに、270度のパノラミックウインドウが印象的なトーイングRVだ。
見た目のカッコよさだけでなく、トレーラーなのにじつは自走可能なEVでもあるハイテクモデル。
時代の転換期ではあるが、ここ数年EVの技術革新は目覚ましい発展を遂げた。そのひとつがバッテリーの進化であることはまちがいない。
ペブル・フローもテスラなどと同じタイプのバッテリーを搭載。けん引式トレーラーRVがどのように電気自動車としての機能を発揮するのかというと、まずはけん引される際に自車が引っ張られる車速に合わせて自走する能力をもっているということ。ふたつのモーターを備え、左右それぞれのタイヤを駆動する仕組みとなっている。
これにより実質重量が約3tのトレーラーにも関わらず、けん引時の前車の負担を大幅に減少させることができるのだ。
さらにペブル・フローは常に走行時の車速などを感知しているので、前車に合わせた加速、巡航、減速といったすべてのタイミングで、適切かつ能動的な姿勢を取ることが可能。これは、アメリカ全体で年間5000件を超えるというトレーラーの自走事故を大幅に減少させる狙いもある。
もちろんトレーラーRVとしては、駐車時に使える電気容量が多いにこしたことはない。自走できるほどのボリュームがあるペブル・フローの蓄電能力は一般のRVとは比較にならないほど大きく、その安心感はもちろんトップクラスだ。
さらにサイトに到着したあとに、トレーラー本体を水平に安定させるためのセルフレベリング機構や、エアロパーツやステップの展開・格納などもすべてが自動で行われるという、ハイテク装備も見逃せない。
電気自動車として機能するためには、一般的なEVと同じように充電は必要だが、たとえば減速時に充電をすることができる回生ブレーキも備えており、ルーフ全体に敷き詰められたソーラーパネルにより、条件が整うタイミングであれば常にバッテリーは充電状態となる。
また自車の充電に関しては、現在そろえられるあらゆる電圧の充電器に対応。自宅にあるときには緊急時用電源になるのはもちろんのこと、ほかのEVを充電できるほどの余力まで備えている。
ペブル・フローに搭載されたテクノロジーは自車をコントロールするあらゆる部分に活かされ、室内の空調コントロールなどだけでなく、すべてのセッティングが専用アプリによって管理できる。これもペブル・フローの大きな特徴のひとつ。
使用時の環境に合わせた各種セッティングやすべてのドアロック、登坂走行時のエネルギー配分など、走行時のシチュエーション設定などもすべてアプリで管理できるなど、まさにハイテクの粋を集めたといえるのが、ペブル・フローRVなのだ。
近未来的デザインだけど、アウトドアもよく似合う!
カリフォルニアでは見かける機会が増えてきたサイバートラックとのコンビネーションも悪くない。ピックアップでのけん引も想定し、ペブル・フローはエアロダイナミクスにも留意したデザインだ。
自車の重心を下げて走行時の安定性を確保するために、重量物であるスチールフレームとバッテリーを腰下に配置し、上部はすべて軽量なアルミフレームとFRPパネルで構築される。
近未来的なボディフォルムだが、アウトドアのシチュエーションもよく似合う。
合理的かつ開放的なインテリア
すべてが合理的にデザインされたペブル・フローのフロアプラン。リビングのテーブルは折りたたみ式で、大人4名がゆったりと就寝できる能力をもつ。
側面ならびに後面が大きなウインドウとなっていて、室内からも270度のパノラマビューが楽しめる。
室内はホワイトとナチュラルウッドで統一され、明るく開放的な雰囲気。
ハイテクの“粋”が集結
現在市場に存在する120〜240Vのすべてのタイプのチ ャージャーに対応しており、どこでも快適に充電を行うことができる。
タブレットにダウンロードしたアプリから、すべてをコントロールできる。大容量バッテリーにより充電設備のないオフグリッドエリアでも、通常の使用状況なら7日間活動できる充電容量を備えている。
通常は、けん引車側がバックして接続しなくてはならない面倒なヒッチコネクトの作業も、ペブル・フローなら、自車が走行して簡単に連結作業が完了する。
独立したインホイールモーターが組み込まれているので、左右のタイヤを逆回転させて戦車のように“超信地旋回”をしたり、けん引車なしで自走も可能だ。
文:Yusuke Makino(カーネルUSAブランチ)
初出:カーネル2024年7月号vol.67