2023年の2月から3月にかけて、1カ月弱の行程で楽しんだアメリカ大陸横断の旅。
前回までのレポートでは南カリフォルニアから、東端の目的地フロリダ州キーウエストで折り返した後、アメリカ東海岸の街の魅力を紹介した。
今回以降のレポートは前回の最後の宿泊地テネシー州メンフィスから出発し、我々の地元であるロサンゼルスまでの行程を紹介しよう。
前回レポートしたとおりアメリカンミュージックの聖地のひとつでもあるメンフィスだが、ほかにも歴史的な名所がたくさん。
なかでも68年にマーティン・ルーサー・キングJr.が暗殺されたロレイン・ホテルは、皮肉なことに街で最も著名な観光スポットとなっている。
このホテルは映画『グリーンブック』で知る人も多いであろう、黒人向けガイドブックに掲載されていたホテルでもあり、黒人実業家であるウォルター・ベイリーが切り盛りし繁栄していた場所でもあった。
そんな黒人文化がブルースなどの音楽とともに発展し、キング・オブ・ロックンロールと称えられたエルビス・プレスリーが誕生した街を離れ西に向かう。
メンフィスのすぐ西を流れるミシシッピ・リバーを渡れば、お隣のアーカンソー州に入る。延々とフィールドが続く景色を見ていると、アメリカが農業大国であることを実感する。
州の真ん中にあるリトルロックまでは2時間ほどだが、州で最も大きなこの街でも人口は20万人程度で、すべての人がゆったりと暮らしていることがうかがい知れる。
リトルロックは全米を左右に走るI-40の通過地点でもあるが、ここは西側に向けI-30の起点でもあるのでここからI-30に入り、次の目的地テキサス州ダラスを目指す。
ダラスはテキサスの中でも、オースティンやヒューストンと並ぶ主要大都市のひとつ。
またダラスの北に隣接するプレイノはトヨタ・ノースアメリカの本社や、多数の日系企業が集まる街で、ここに暮らす日本人も多い。
もともとトヨタ・ノースアメリカは自分の地元ロサンゼルスにあったが、約10年前にビジネス拠点をテキサスに移した。
ほかの米系企業も政治や経済的な事情でテキサスに移動している事例が多く、テキサスはこれからも米国経済の重要な拠点のひとつである事は間違いない。
おすすめの映画『GREEN BOOK』
黒人に対する人種差別をテーマにした映画はたくさんあるが、なかでも 『GREEN BOOK』はおすすめの1本。
映画のタイトルでもあるグリーンブックとは1930年代から使われていた黒人の旅行者が利用できるホテルやレストランのガイドブックで、ロレイン・ホテルも掲載されていた。
映画『GREEN BOOK』はハートウォーミングなファミリー・ムービーなので、まだ観ていない方はぜひご鑑賞いただきたい。
CHECK! USで旅する(暮らす)なら支払いはクレジットカードが基本
アメリカはかなり以前から、クレジットカードを中心としたキャッシュレス支払いが日常に染み付いている。
今回の数週間に及ぶロードトリップでも、現金が必要だったのは、ホテルのメイドさんに置いておくルームクリーンのためのチップだけだった。
だからあらかじめ1ドル札と5ドル札のみ自宅から持ってくるが、足りなくなると食料などの買い出し時に現金を使い、お釣りをチップ用にキープする感じ。
またクレジットカードだが、アメリカでは実際に不正利用されたり、また自分のカードを遠方で使った場合に不正利用の疑いをかけられたりして使えないことがある。
そのためVISAとマスターを中心とした複数のカードに加え、自分の銀行に紐づいたデビッドカードを携行しておくのが旅行では必須。
またアップルペイなどはかなり広範囲で使えるので、スマートフォンにクレジットカードを紐づけておくと便利だ。
写真、文:Yusuke Makino, June(カーネルUSAブランチ)
取材協力:ミシシッピ・リバー・カントリー、カリフォルニア観光局
初出:カーネル2023年11月号vol.63
※記事中で紹介しているルートや場所は、事前に安全を確認し行動しています。慣れない場所でのトリップには、治安面を含めた安全をしっかりご確認のうえ、計画行動する事をおすすめします。