ガレージブランド「38explore」を生んだ宮﨑秀仁さんは、独自のスタイルでキャンプを楽しんできた。今回は新たなクルマを手に入れ、これまでに見たことのない、新しい世界観を作り出してくれた。まさにモノづくりの達人が到達した領域だ。そんな宮﨑さんのスタイルを紹介しよう。
モノづくりの達人が到達したVAN CAMPという領域
深い新緑のなかに、鮮やかなライトグレーのボディが浮かび上がる。力強い直線的なボディライン、ボリュームのある足まわり、特徴的なディテールのコンビネーションが気持ちいいくらい、スマートな印象を放っている。
そして、リアゲートを開くと、繊細なウッドの世界が室内いっぱいに広がっているのだ。
この独特の世界観を作り出したのはオーナーの宮﨑さん。アウトドアガレージブランド「38エクスプロー」を生んだ、モノづくりのプロフェッショナルだ。
オーナー:宮﨑秀仁さん
38エクスプローを展開する38研究所の代表。オリジナリティあふれるキャンプギアを開発し、ユーザーからも高い支持を得ている。既存スタイルにとらわれない自由な発想を楽しんでいる。
以前から、クルマとキャンプを独自の世界観で組み合わせて、オリジナリティあふれるキャンプスタイルを楽しんでいた。
そんな宮﨑さんが、新たなキャンプスタイルを目指し、クルマを探し始めて2年。最高の一台が北海道で見つかった。連絡を受けてすぐに北海道へ。即決だったという。
比較的きれいな状態ではあったが、ボディを仕上げてからの納車になった。手元に来たときはピカピカのドンガラ状態。
これからどのようにして使っていくかを考えながら、車内レイアウトを構想。完全に車内で過ごすだけでなく、キャンプをしながら、アウトドアと車内がどのようにミックスされるかを考える。
北海道への旅の予定があったので、そのタイミングに合わせて、自分でクルマを作り込んでいった。その作りは、本業のモノづくり同様、こだわりが詰め込まれていったのだ。
自ら作り出すキャンプギアとともに
デザイン性の高い38エクスプローのギアがキャンプサイトでも活躍。三脚を使った38パレット、そ
の上にはLEDランタンの38灯 38-kT(MIYABI)。アタッチメントを付けてツインランタン風に。
助手席の後ろにテーブルを設置。支柱が自在に動くようになっていて、車内でも車外でも使える。
このテーブルの上にちょうどハマるのが、写真のアルミのボックス。
アルミボックスに機能性を集約させてユニット化。そのボックスを自在テーブルの上にセットして、フィールドでの使いやすさを追求した。
ボックスにはキャンプ道具や特別なギアが潜んでいる中に食器などがまとめられている。
もうひとつのアルミボックスにはシンクの設備をインストール。浄水機能付きの充電式ポンプがタンクから水を汲み上げ、シンクが使える。排水もアルミボックスの中へためておくことができる優れもの。
オリジナリティを追求したこだわりのインテリアデザイン
クルマは1996年式三菱・デリカバン。3代目デリカの標準ボディ、エアロルーフというタイプだ。
角目2灯の愛嬌があるフロントマスクが印象的なモデル。角目4灯のワゴンタイプ、ロングボディなどもあったが、このバン標準ボディのフロントマスクを好んで求める人も多い。
車内はウッドに覆われていて、暖かい光に包み込まれている。細めのテクスチャーが規則的に並んでいて、フロントからリアへと流れる直線的ラインに目を奪われる。
比較的コンパクトに設計されているデリカバンなので、宮﨑さんはリア部分の空間を最大限に活かしながら、広さを感じさせるデザインを目指したという。
ベッドはサイズを確保するため、フロント、リア、両方にスペースが延びるように設計されている。
そして、上部の収納棚には、ツールボックスがそのまま使われており、車内への圧迫感を少なくする工夫まで。その素材選びから、ビスを隠す木工作業など、こだわりは多数見られる。
宮﨑さん自身が手がけるキャンプギアが、さりげなく車内の照明に使われていた。壁に収納されているギアも、これまで使ってきたキャンプギアが並ぶ。
しかし、その全体的なまとまりは、まったく新しい世界観を出しているのが不思議。
その理由は、「他の人と同じものは作りたくなかったので、常に新しいことを考えていました」というモノづくりへのこだわりに隠されていたようだ。
奥行きのある直線的ラインを強調
インテリアの木目は前後に流れる直線的なラインで統一。フロント側、運転席後方のボックスも縦ラインでそろえられている。
そのボックスにつながるようにフロント側に、ドリンクホルダーを備えたセンターコンソールがある。リアのサイドキャビネットは収納スペース。天板も外せて、上からも荷物の出し入れができる。
キャンプフィールドで存在をアピールする拡張するVAN。ベッド部分のフロアが、格子状にリア側に延長されるギミックが隠されていた。ベッド下には、ギアを収納できる引き出しが取り付けられている。
リア側にはシートがなく、ベッドエリアが広がっている。コンパクトなボディなので、ベッドエリアのスペースを確保するのが大変だったとのこと。
ベッドフレームは延長できるので、寝るときに延ばせば、十分な長さを確保できる。ベッド下は引き出せる収納ボックスが置いてある。
デリカバンの標準ボディは、室内空間が他のモデルに比べて小さい。そこで、収納スペース作りにも工夫が施された。そのひとつが壁の有孔ボード。金具を使うことで、壁収納が可能に。
そして、一番の特徴的な収納が、両サイドに取り付けられた東洋スチールのツールボックス。コンパクト性とデザイン性を兼ねている。
コンビネーションで完成するライティング
インテリアの照明は、天井に取り付けられたLEDのテープライトが室内全体を照らしてくれる。
38エクスプローブランドのライトも使って、車内の雰囲気に合わせたアレンジができる。吊り下げ棚として使っているツールボックスは磁石が付くので、ライトの固定にも有効。ツールボックスのスチールが機能を発揮する。