ファミリーキャンプ、わが家のお手伝い事情
ちょっと失敗したなぁ……と思っている。というのも、ウチの子(7歳男児)は「キャンプのお手伝い」をしてくれない。自業自得ではあるのだけれど。
だって、テント設営もサイトセッティングも、親がやったほうが断然早い。それに加えて、キャンプ場への到着がいつも遅めで「とにかく早く設営を!」という思いが先に立ち、「私が設営しておくから、ちょっとどこかで遊んできて!」と、オットと子どもを送り出していたからだ。
これを繰り返していたら、いざお手伝いをお願いしてみても、面倒くさがって「お手伝いを拒否する子」になってしまった……。
けれどキャンプは共同作業。家族みんなで協力して、ひとつのことを成し遂げるという体験もしてほしい。
そんな思いをアウトドア・ライフスタイル・プロデューサーの小清水哲郎さんにぶつけてみると、「そりゃあ手伝わないですよ。だって、やらなくてもいいってこと、覚えちゃいましたから」。
嗚呼……。長年、野外教育に携わってきた小清水さんでも打つ手なし? 「でも方法はありますよ」。
「子どもがやったことがないこと、初めてやることなど、“ワクワク”を見つけてあげるんです。ワクワクは楽しいですから、それをお手伝いにするんです」。
「設営は手伝ってくれなかったとしても、料理はどうですか? アウトドア料理なんてお手伝いに最適ですよ。奥が深いから、初めてのワクワクが見つけやすい。お手伝いの幅が広く、レベルもさまざま」
「例えば、事前準備でメニュー決めから始めたっていい。どんなメニューがあるのか、何が食べたいのか、聞いたり、自分で調べたり。一つひとつクリアしていくことで、自己肯定感も上がります。まずは会話しながら、子どもがどんなことにワクワクするか、見つけてあげるのがコツですよ」
なるほど! わが家にも希望の光が見えてきた⁉ さっそく次のキャンプに向けて、今からワクワクを探って仕込んでおこう。
読者のみなさんは、すでにきちんとわが子のワクワクを見つけて、楽しくキャンプのお手伝いをしてもらっていると思う。
けれど、わが家のようなファミリーへ、そしてこれからキャンプのお手伝いをしてもらおうと考えているファミリーがわが家と同じ轍を踏まないように、小清水さん流キャンプお手伝いのコツを伝授! ぜひ参考に!
小清水哲郎さんプロフィール
アウトドアコンサルタント。ウィルダネスリスクマネジメントジャパン理事。野外教育指導者の育成に携わること25年。野外系の企画・開発をはじめ、チームビルディングアウトドア・キャンプ系の教育研修も行う。家庭では二児の父。
子どもがワクワク楽しめる「キャンプのお手伝い」5つのコツ
コツ1 キャンプでは親子関係をフラットにする
家庭ではどうしても、親子という上下関係がある。けれどキャンプでは、「その上下関係はなくすイメージ。フラットな関係で」と小清水さん。
「例えば、キャンプ初心者の友人がなにか失敗をしたとしても、いきなり叱ったりはしませんよね。それよりも、できることや得意なことをたくさん手伝ってもらったほうが、キャンプ全体の雰囲気が良くなります。それと同じ。一緒にキャンプを楽しむ仲間と考える。そのイメージを前提として持つことが最初の一歩です」。
コツ2 失敗も成功も、楽しむ気持ちで
子どもが失敗しそうになると、ついつい口を出してしまいがち。だからお手伝いは簡単なものばかりで……。
「キャンプ仲間なんですから、失敗も一緒に楽しみましょう。失敗してもチャレンジを重ねて成功させる。よほど危険なことじゃない限り、口出しはしない。キャンプは少々大胆に、そんな経験ができる場です。失敗も成功も一緒に楽しめる雰囲気を作ってあげましょう。お手伝いでの成功体験が、自己肯定感を高めてくれるはずです」。
コツ3 初めてのワクワクを見つけてあげる
「“ワクワク”って楽しいこと。わが子がどんなことにワクワクするのか、それをまず見つけてあげる。そしてそのワクワクをお手伝いにするといいですよ」と小清水さん。
特に初めて経験することに、ワクワクが多いという。「ちょっぴりハードルの高いお手伝いをお願いしてもいいかもしれません。最初はドキドキ=不安感が勝るかもしれませんが、その不安感を薄めてあげれば、それはワクワクに変わります。会話を通して、ぜひ探ってみてください」。
コツ4 アウトドア料理はお手伝いに最適!
初体験のワクワクを探すのに、最適なのは「アウトドア料理」なのだそう。焚き火、炭火を使った調理や燻製など、やることの幅が広く、子どものレベルにあったものが見つけやすい。
「例えばスモークウッドに火をつけるだけかもしれない。でも、みんながそれをおいしいと食べますよね。『これボクが作った!』と自己肯定感が上がります。そこからお手伝いの幅が広がるはず。あと失敗してもいいように、メインの料理は多めに作っておくと、気持ち的に楽ですよね」。
コツ5 先が読めないと不安? ワクワク? わが子のタイプは?
「動画を見せて作り方を研究するのもいいですね。ただし注意が必要です」。その注意とは?
「人間は、先が読めないと不安なタイプと、ワクワクするタイプの2つに大きく分かれます。不安なタイプの子には、先に動画などで手順を予習させておくと安心します。逆にワクワクタイプは『これ知ってるよ!』と、やらなくなっちゃうことも。だから事前に動画は見せず、現地で創意工夫しながら『これどうするんだ⁉』というパニックも楽しむ(笑)。子どもがどちらのタイプかで変えてみてください」。
文:横山穂波
写真:逢坂聡
出典:GARVY2020年8月号