Ware OS仕様のスマートウォッチをiPhoneと連携したら……
腕時計型のウェアラブル端末として人気の高まっているスマートウォッチ。スマホと連携させることで、通話やメール、SNSの返信ができたり、健康管理や音楽再生、電子マネー決済など、さまざまなことがリストトップで行えます。
そんなスマートウォッチは、いつでもどこでも身につけていることで最大限に機能を発揮しますが、アウトドアで激しく使うと壊してしまうのではという心配も……。
そこで紹介したいのが、タフなボディを誇るWare OS搭載の「TicWatch Pro 3 Ultra GPS」です。
Googleのスマートウォッチ向けOS「Ware OS」は、Android端末を前提に開発されたOSですが、iPhoneとの連携も可能です。ただし限定される機能もあるようなので、そこも含めて使い勝手をレビューしてみましょう!
アウトドアでガンガン使えるミルスペックモデル
Mobvoi社の「TicWatch」は中国のブランドですが、中華系メーカーの独自OSではなく、GoogleのWare OSを搭載。さまざまなアプリをインストールして、自分仕様にすることもできます。
Googleが出資も行っていて、世界40カ国以上で展開し、グッドデザイン賞やレッドドットデザイン賞も受賞しています。
そんな同ブランドの最新モデルが「TicWatch Pro 3 Ultra GPS」です。このモデルの特徴は、なんといってもそのタフさ。
米軍のミルスペック「MIL-STD-810G」をクリアした耐久性を誇り、傷の付きにくい防指紋加工ゴリラガラスを採用。防塵・防水性能はIP68で、一切のホコリと水の浸入を許しません。これなら安心して登山やカヤックなどのアクティビティを楽しめますね。
心拍、血中酸素濃度……専用アプリで健康管理も!
頑丈で防塵・防水性能に優れているだけなら、ただのアウトドアウォッチ。しかしこれはスマートウォッチですから、もちろんさまざまな機能を備えています。
アプリリストを開くとさまざまなアプリがインストールされています。そのなかにある「TicSleep」や「TicPulse」などの「Tic」シリーズのアプリは、Mobvoiオリジナルの健康管理アプリで、心拍数や血中酸素濃度、疲労度、睡眠などをモニタリングしてくれます。
これらの情報は、スマホにインストールした専用アプリ「Mobvoi」で管理されます。アプリを開けば、計測された疲労度や活動記録、睡眠内容、心拍、血中酸素濃度などの情報が一目瞭然。過去の記録と照らし合わせてみることもできるので、体調管理も気軽に行えます。
とくに「脳疲労」と「エネルギー」をモニターしてくれる機能は、アクティビティを始める前に確認しておくといいかもしれません。
脳が疲労していてエネルギー不足だと、集中力も低下します。そんなときにアクティビティを行うと、ケガをする心配もあります。でも自分が疲労しているということを自覚しておけば、そのリスクも回避できそうです。
ちなみに私の場合、脳疲労レベルが3、エネルギーレベルが3のときに調理をしていて、指先を切ってしまいました……。事前に確認しておけば、こんなケガをしなかったかもしれませんね。
ランニングや登山などの100以上のアクティビティを計測
「Tic」シリーズのアプリのなかには、「TicExercise」というワークアウトをサポートするアプリも搭載されています。
ランニングやサイクリング、登山など、100種類以上のワークアウトを計測することが可能。移動距離や平均スピード、平均心拍、標高の推移、移動ルートなどの記録も残るので、登山の履歴などを管理するのにも便利です。
測位システムは、GPSを始め、北斗、Glonass 、ガリレオ、みちびきの5種類に対応しているので、位置情報の精度も優れています。
また、ワークアウト中に心拍が上昇するなど、異常が見られた場合はアラートが送られてくるので、無意識にムリをしていた場合でも気づけるので安心です。
登山中に「山頂まであと少しだから、苦しいけど一気にいってしまおう」なんてときにアラートが送られてくれば、休憩を入れようかという気にもなりますね。
睡眠中もモニタリングしてくれる
「TicSleep」という、睡眠をモニターするアプリも搭載されています。睡眠時間や睡眠時の心拍数、血中酸素濃度を記録してくれるだけでなく、「覚醒」「急速眼球運動」「浅い眠り」「深い眠り」など、眠りの状態も計測しているので、眠りの質を確認することもできます。「キャンプだと寝ても疲れる」と感じている人は、確認してみると原因がわかるかもしれません。
また「スマートアラーム機能」も搭載されていています。アラームを設定した時間までモニターを行い、深い眠りでないときに起こしてくれるので不快感がなく起床できるという機能です。実際に使っていて、これが機能しているという実感がありませんが……。
有機EL+モノクロ液晶のダブルフェイス
これら搭載されているアプリの性能だけでなく、基本機能も優れています。このモデルの大きな特徴は、ディスプレイが有機ELとモノクロ液晶の2層ディスプレイを採用しているということ。
メインとなる有機ELディスプレイは、非常に高精細で地図も見やすいディスプレイですが、消費電力が大きいので、電池を早く消費してしまいます。
そこで、この上に消費電力の少ないモノクロ液晶ディスプレイを搭載することで、バッテリーを長持ちさせているのです。
待機状態のときはモノクロ液晶を表示させておき、ディスプレイをタッチすると有機ELで表示させるモードや、手首を返して時計を傾けたときに有機ELがオンになるモードが選べます。
スペック上、常に有機ELだけを使った「スマートモード」なら72時間、モノクロ液晶だけの「エッセンシャルモード」なら45日間連続して使えることになっています。
実用的な「タップでオン」モードと「傾けてオン」モードで使用してみると、「タップでオン」モードで72時間、「傾けてオン」モードで30~58時間くらい使うことができました。常に「タップでオン」モードにしておけば、おおよそ3日間は充電しないで使えるので、週末キャンプなら、電池の心配をしなくてすみますね。
気分に応じてウォッチフェイスの変更も可能!
有機ELディスプレイで表示されるときのフェイスは、39種類の中から選ぶことができます。好みや気分に合わせて表示できるのがいいですね。
ただいちばん実用性の高い「タップしてオン」モードにしているときは、手首を傾けて時間を見るときに表示されないので、あまりこだわらなくてもいいかもしれません。
その代わりといっては何ですが、モノクロ液晶ディスプレイのバックライトは、18色のなかから選ぶことができます。個人的にはウォッチフェイスよりも、こちらのほうを真剣に選んでしまいました。
キャンプや車中泊旅でこんな機能が役立った!
このほか個人的に、キャンプや車中泊旅で役に立つ機能としては、こんなものがありました。
スマホで再生している音楽をスマートウォッチで操作できること。スマホをカーオーディオにBluetooth接続して再生しているとき「この曲はスキップしたいな」と思ったら、すぐに手元で操作できるのが便利です。
SpotifyやYouTube Musicなどの音楽ストリーミングサービスをスマートウォッチにインストールすれば、直接スマートウォッチに音楽をダウンロードできます。そうすればスマホなしで音楽を聴くこともできますが、ダウンロードできるのは有料サービスのみです。
そのほかには「デバイスを探す」機能。普段と違う動きをすることが多いキャンプでは、よくスマホをどこに置いたかがわからなくなることがあります。そんなときにスマートウォッチからスマホを呼び出せば、すぐに見つけることができます。
またGoogleアシスタントで「OK Google、3分計って!」で、カップ麺の調理時間を計れるのも便利です。もちろんカップ麺の時間だけでなく、本格的なキャンプ料理を作るときも、手で操作する必要がなくて便利ですよ。
iPhone連携ではこんなことができなかった
ここまで「TicWatch Pro 3 Ultra GPS」の便利な機能を紹介してきましたが、前述したように、今回はiPhoneと連携をして使用しています。それゆえにAndroid端末ならできることが、iPhoneではできないことがあるのです。
Android端末なら、音声通話・メッセージ返信が可能ですが、iPhoneでは電話の対応をすることはできますが、スマートウォッチでの通話はできません。またメッセージも確認することはできますが、返信することはできません。
また、スマートウォッチはGoogleペイ対応なので、Android端末ならスマートウォッチで買い物をしたり、電車に乗ったりすることはできますが、端末がiPhoneでは使用することができません。
さらにGoogleマップを使用したとき、Androidなら現在地はもちろん、経路検索を行った際のナビゲーションもスマートウォッチ上で行ってくれます。
しかしiPhoneの場合は、現在地の確認ができるだけ。場所によっては地図がなかなか表示されないこともあります。
同様に、登山用アプリ「ヤマレコ」との連携もできませんでした。「ヤマレコ」はWare OSに対応しているので、Android端末を使用したときはさまざまな機能が利用できるのですが、iPhoneでは連携しないので、設定ルートを外れたときのアラートを受けることはできません。
高性能でリーズナブル。アウトドアでも活用できる!
このように「TicWatch Pro 3 Ultra GPS」は、スマートウォッチが搭載できるほとんどの機能を備えている“全部入りモデル”。そんな高機能モデルでありながら、定価は3万円台とリーズナブルです。
iPhoneとの連携だと利用できない機能がありますが、それを含めてもアウトドアでもタウンでも、十分に活用できるモデルではないでしょうか?
写真:牛島義之、中里慎一郎
文:牛島義之