Q.2000回充電OKって、たとえば何年くらい使えるの?
A.満充電になって1回なので、使い方によります
バッテリーの1回充電とは、「コンセントに差した時点で1回」ではなく、たとえば「残量40%を60%まで充電(0.2回)→残量20%になったので100%まで充電(0.8回)すると充電1回」なのだ。
そのため使い方次第で5年以上使えるし、2年でダメになる場合もある。特に高速充電は600W出力のアダプターやソーラーパネルを使って素早く大容量バッテリーを充電できる技術。便利だが満充電1回のペースが速く、その分劣化も進む。
Q.冬はあっという間に電池切れになるけど対策は?
A.冷え切ったバッテリーはカイロくらいでは回復しません。車内で使うならエアコンで暖めてから!
大型のポータブル電源は、カイロくらいでは内部までその熱が届くことはない。電源そのものを冷やさないことが肝心だ。
車中泊では使う前にエアコンを効かせた車内で冷えを解消させると有効。エアコンを使わずブランケットでくるむだけでも効果は高い。
ただし、ファン搭載のバッテリーやアダプターが熱を発しやすいものは毛布でくるんではダメ。使用可能な温度と空間を説明書で確認しておこう。
Q.使っていると、本体がすごく熱くなっていて心配
A.置き場所に注意! 夏はクルマから降ろして涼しい場所で保管しましょう。できれば放熱性の高いアルミ合金製ボディを選んで
本体やアダプターが発熱するのは仕方がないことで、熱による劣化や発火を防ぐため、各社はファンを搭載したり放熱性の高いアルミボディを採用したりして対策している。
ユーザーは車内に置きっぱなしにせず、使用後は涼しい場所で保管。屋外ではタープ下など日陰に設置しよう。また、ファンが搭載されている機種は排気口をふさがず、壁から十分な距離を空けて熱がこもらないようにしたい。
Q.斜めにしても大丈夫?
A.落下に気をつければ問題ありません。それよりも濡れや結露には要注意
少しくらい傾斜した所に置いても問題なし。もっともポータブル電源がずり落ちる、落下の危険があるなら話は別だ。衝撃によって基板が損傷する危険があるのだから。
また、転んだはずみで倒さないよう整理整頓を心がけて。落下と同じくらい濡れや結露による感電やショートにも注意が必要だ。野ざらしにせず、濡れた手で触らないように。
Q.やっぱり最新機能が多いほうがいいの?
A.技術は日進月歩。買い替え時期には新しい機能・規格に入れ替わっているので、今必要な機能を吟味して
ポータブル電源の登場からわずか15年。その間に鉛蓄電池からリチウムイオン電池が誕生した。USBの規格も次々に更新されており、現在の最新機能も2年後、3年後には古いものになっている可能性は高い。
いつか使う最新機能付きの上級モデルを選ぶのではなく、今使う機能を重視。数年後の買い替え時に改めて検討するほうがクレバーだ。
Q.カーチャージでサブバッテリーみたいな使い方ができる?
A.クルマのアクセサリーソケットからの充電は時間がかかります
アクセサリーソケットから取り出せる電流は、車種によるがおおよそ10Aでサブバッテリーの走行充電より少なく、時間がかかるのだ。
容量400Wh以下のバッテリーであれば2〜3時間の走行で8割ほど充電できるが、例えば1000Whのバッテリーを終日利用して残量20%になった場合、2時間の走行では残量約45%まで戻るのみ。
Q.買い増しで2台持ち、買い替えで大容量。どっちがいい?
A.目的次第。でも、買い替えは大容量を選ぶ人が多い傾向があります
ソロで車中泊をするために500Whのバッテリーを購入したけれど、結婚や子どもが増えたのを機に容量を倍にしたい。よく聞く話だ。
持ち運びやすさ重視なら同容量を2台持ち。モバイルバッテリーで動く電気毛布や電気あんかが増えているので、こうしたものを組み合わせるのも手だ。
もっとも古いポータブル電源を使っているうちにパートナーが便利さに目覚め「ケトルやドライヤーを使いたい!」ということは多く、大容量に買い替えるケースがほとんどだとか。パートナーの意見を聞こう。
Q.中古で手に入れても大丈夫?
A.何回充電されたのかわからないので中古は避けて。アダプターを替えるなどカスタム済みの場合、新品であってもメーカー保証がききません
個人売買サイトには多くのポータブル電源が出品されている。お手頃価格なのはうれしいけれど、前の持ち主がどんな使い方をしているのかわからないのが困ったところ。
「購入後3カ月だけ使用」とあっても連日充電を繰り返しているか、箱に入れっぱなしだったのかで電池の状態が大きく変わる。もしかしたら地面に落として内部が破損しているかもしれない。信頼する知人から譲り受けるならまだしも、ポータブル電源の中古売買はリスクが高いのだ。
中古に限らず、気をつけたいのがアダプターだ。ポータブル電源付属のものではなく、他社の急速充電用アダプターを使うなどカスタムすればメーカー保証がきかないので注意。
Q.ポータブル電源の処分の仕方は?
A.自治体に問い合わせて。一部、引き取ってくれるメーカーもあります
発火や有害な溶液に触れる危険があるので分解は御法度。まずは自治体に問い合わせて処分方法を確認して。自治体の回収がなくても、地域に引き取ってくれる業者がないか相談しよう。買い替え時に販売店に引き取りを打診するのも手だ。
引き取り業者がわからない場合はメーカーに問い合わせ。一部メーカーでは、譲渡証を交わすなどひと手間かかるが安全に処分してくれる。そういう意味でも、サポート体制が整ったメーカーを選ぶと安心だ。
文:大森弘恵
イラスト:岡本倫幸
出典:カーネル2022年5月号vol.54