編集長からの指令で、いざ北海道クルマ旅へ!
ある日、カーネルの編集長・オオハシが、スタッフのトドロキに向かっておもむろにこう言ったという。
「トドさん(トドロキの通称)、キャネルで北海道行ってみない? 奥さんと一緒に」
若い頃に釣りやサーフィンで車中泊を経験している夫のトド。いっぽうで妻の私は車中泊をしたことがほとんどない。そもそもトドロキ家にはマイカーがないのだ。
最近になって、レンタカーで細々と車中泊を始めたが、フラットな寝床作りはなかなか難しい。それならばと分厚いエアマットを買ってみた。うん、これはこれでいい感じ。
でも、一度でいいから、もっと快適な空間で、本格的な車中泊を体験してみたい。
そんなときに神の啓示の如く舞い降りてきたのが、今回の旅の提案。もちろん、ありがたくお受けしました。夢がかなう瞬間が、こんなに早くやってくるとは!
こうして私たちのキャネル旅が始まった。陸路とフェリーで行く10日間の長旅だ。実は出発のとき、キャネルには着替えのほかに釣り竿と焚き火道具を積み込んでいたのだが、結局天候に恵まれず、使うことなく終了。
もっとも、これまでの旅だって計画通りに進んだことは一度もない。飛行機に乗り遅れたり、前日になって宿を変えたりはしょっちゅう。
だから泊まる場所が柔軟に決められる車中泊は、私たち夫婦の旅のスタイルに合っているはず。密が避けられるのも、このコロナ禍には重要なポイント。
さあ、準備完了。感染防止対策も万全に、いざ北海道へ出発!
▼CAMP JAPAN イベントレポート
旅をしたのはこのふたり!
カーネルスタッフのトドロキと妻のユリ。夫婦で青春18きっぷの旅やミニマムキャンプを楽しんでいる。最近はレンタカーで快適に車中泊できる方法も模索中。
【1日目】フェリーで15時間の旅! まるで豪華客船⁉
ルート:自宅→常磐道→仙台港(フェリー乗船)
昼頃に神奈川の自宅を出発。ルーフから服をぶら下げ、初日から自宅感満載の車内。
常磐道で福島第一原発事故の避難区域に指定されているエリアを通過。車窓から荒れ放題の田んぼや雨戸が閉まったままの家屋が見え、震災がまだ終わってないことを実感した。
仙台港から苫小牧行きのフェリーに乗り込む。夕食は船内のレストランでビュッフェ。しばし豪華客船気分を味わう。
客室のコンパートメントは狭いながらもコンセントとハンガー付きで機能的。船内のお風呂に入り、Wi-Fiもスマホも繋がらない夜を、静かに個室で過ごす。
【2日目】船から朝日を拝みつつ苫小牧到着。夜は釧路の屋台村で海鮮天国だ!
ルート:苫小牧→道東自動車道→道の駅 阿寒丹頂の里→釧路河畔駐車場
苫小牧から道東自動車道を経て「道の駅 阿寒丹頂の里」へ。車中泊専用駐車場があるし、今夜はここに泊まるんでしょ? え、ちがうの?
道の駅をあとにして向かったのは釧路市内の屋台村「岸壁炉ばた」。屋台の入り口でチケットを買い、なかにある3軒のお店で食材を選び、自分で焼いて食べるユニークな仕組み。2人で3000円分購入。払い戻し不可なので、ぴったり使い切れるかワクワクドキドキ。
今夜は釧路河畔駐車場で初のキャネル泊。寝心地の良さは予想以上。「でこぼこ」がまったくないし、寝返りを打った時の「揺れ」もほとんど感じない。
【3日目】釧路ってこんなに暑かった? 扇風機を探して日が暮れる
ルート:リモートワーク→釧路市内で買い物→釧路湿原→ビジネスホテル
キャネルの寝心地は良かったが昨夜は蒸し暑かった。釧路には過去に何度も来ているが、こんなに暑いのは初めて。冷感敷きパッドを持ってきて正解。これで扇風機があればもっと快適になる。
そこで午後は市内で買い物。家電量販店を数軒訪れるも、扇風機売り場の棚がどこもすっからかん! かろうじて残っていた小型扇風機の最後の1台を無事購入。
夕方に釧路湿原の展望台へ行くも、ブヨやらカやらに刺されて大騒ぎ。昨夜より暑さが増していたため、今夜は冷房の効いたビジネスホテルに泊まることにした。車中泊にこだわって無理は禁物!
【4日目】カキにツブ貝に花咲ガニ。こんな車中泊したかった!
ルート:ビジネスホテル→釧路町昆布森でCAMP JAPANイベント参加→イベント会場で車中泊
CAMP JAPANのイベントに参加すべく早朝から釧路町昆布森へ。トドいわく「スプリングの効いたホテルのベッドよりキャネルのほうが寝心地がいい」。
昆布森では昆布干しを体験し、夕食は牡蠣、ツブ貝、花咲ガニに舌鼓。こんな車中泊なら毎日やりたい! 昆布森での車中泊は、タオルケット1枚でちょうどよい気温だった。
【5日目】標茶のキャンピングカー神社でキャネルの無事故を祈願!
ルート:昆布森→キャンピングカー神社→長坂牧場→取材協力者のご自宅で車中泊
CAMP JAPANの企画でキャンピングカー神社を訪れる。その後、標茶の長坂牧場を見学。
夜は取材協力をしてくださった方のご自宅でジビエやシシャモごちそうになり、車中泊させていただく。この日は霧が濃く夜が寒い。初めて寝袋を使った。
【6日目】釧路湿原を眺め、牧草地で遊ぶキタキツネを遠くから望む
ルート:野生動物探し→虹別オートキャンプ場見学→屈斜路湖→砂湯駐車場
霧が晴れるのを待って、タンチョウやキタキツネなどの野生動物探しを楽しむ。案内してもらった虹別オートキャンプ場では車中泊キャンプができる。
午後は弟子屈の屈斜路湖へ。和琴半島で温泉に浸かり、砂湯駐車場で車中泊。外は雨。こんな夜は寝床作りが少し辛い。寒い夜は温かいものが飲みたくなる。電気ケトル、持ってくればよかったかも。
【7日目】勝手丼で有名な和商市場で、ラーメンを食す理由は?
ルート:砂湯駐車場→和商市場→道東自動車道→道の駅 サーモンパーク千歳
お昼は釧路の和商市場でラーメンを注文。この日は風雨が激しくてとにかく寒く、温かいものが食べたかったのだ。釧路町地産地消センター「ロ・バザール」で昆布森漁協のコーナーを発見。
夜は「道の駅 サーモンパーク千歳」で車中泊。ここはローソン併設で、近所には銭湯と飲食店もあり利便性が高い。雨と風のなかでもキャネルの安定性は抜群!
【8日目】青森県の恐山の山道で、野生のテンとウサギに遭遇
ルート:千歳→大沼公園↓函館港(フェリー乗船)→大間港→大間保養センター→恐山駐車場
久しぶりの晴天のなか函館の大沼公園を散策。林間と湖畔のテントサイトが気持ちいい。車中泊なら「RVパークおおぬま」がおすすめ。
函館港から大間へ向かうも、フェリー会社の窓口を間違えるというミスをしたが、なんとかギリギリでチェックインを完了。本州最北端の温泉施設「大間保養センター」で大間牛のすき焼き。もちろんマグロもいただきました!
夜の10時過ぎに恐山の駐車場に到着するも、灯りがなく硫黄のにおいを感じるだけ。Wi-Fiもスマホも繋がらないのはフェリーの中と同じだが、人の姿が見えないと別世界に来たような気分になる。
【9日目】陸奥湾沿いであたふた。疲れたら無理せず休むべし!
ルート:恐山→陸奥湾沿いでホタテを発送→東北自動車道→安達太良SA
恐山の駐車場で車中泊をし、早朝から参拝。岩場を抜けると極楽が広がる恐山では、異次元に飛び込んでしまったような感覚になる。境内には湯あみができる温泉もあった。
恐山を下りて陸奥湾沿いを走る。ホタテを実家に送ろうと直売店を探すも、見つけられずに右往左往。やっと道を間違えていたことに気づき、大幅な時間のロス。でも両実家ともホタテを大喜びしてくれたので結果よし!
今日中に会津若松市へ到着しておきたかったのだが、疲れてしまったので安達太良SAで仮眠を取ることに。こんな風に柔軟に対応できる車中泊はホントに便利だ。
【10日目】おいしい手打ちそばと採れたての野菜で締めくくり
ルート:安達太良SA→飯盛山&さざえ堂→東北自動車道→自宅
会津若松市の飯盛山とさざえ堂を見学。飯盛山は幕末の戊辰戦争で、会津藩の少年部隊である白虎隊が自害した悲劇の場所。
さざえ堂の中の二重螺旋スロープは上りと下りで別の通路になっているが、この特殊な建築様式を実感するためには、入ってみるのが一番いい。
飯盛山をあとにしてランチ。レトロな雰囲気の七日町で隠れ家的なお蕎麦屋さんを発見。手打ちの十割り蕎麦はこしがあって美味!
再び東北自動車道に入り、那須高原SAで地元の野菜を買って帰宅。9泊のうち7泊を車中泊で過ごしたことになる。キャネル、ありがとう。お疲れさま!
写真:轟 省吾(カーネル)
文:轟 由里子
取材協力:キャンプジャパン