①ベンツ トランスポーターT1N 鈴木大地さん
大工としての経験を活かして、バンライフ、車中泊車両の製作や、ワークショップなどを開催している鈴木さん。この車の内装も自身の手によるもの。プロが手掛けるハイセンスな仕上がりとなっている。
リアゲートを開けると、たくさんの仕事道具が積み込まれているが、車内に乗り込むと景色は一変。ログキャビンのようなウッディな空間が広がっている。
内装の木材には松を使用。杉ほど柄がうるさくなく、ラフな感じが気に入っているという。
制作当時は資料も少なく、海外ユーザーのSNSなどを参考にしながら試行錯誤を重ね、自身の感覚で細部を作り込んでいったそうだ。
壁側に収納スペースをまとめたレイアウト。ベッド側のカウンター下は収納スペースとして利用。シンプルですっきりとしたデザインで、インテリアに統一感をもたせている。
景色のいい場所に行ったら、このようにリアゲートを開き、ベッドでリラックスすることも。頭上に十分なスペースがあり、圧迫感がない。
スイッチやコンセントもこだわりの仕様。インバーターが組み込まれていて100V2000Wまでの家電が使える。仕事でも電動工具を使いたいため、出力は高め。
写真:中里慎一郎
文:渡辺圭史
出典:カーネルvol.48 2021年冬号
②三菱 ミニキャブ トラック 木内 良さん
ログハウスビルダーとして、幅広い活動をしている木内さん。軽トラキャンパーに本格的なログハウスの技法を取り入れ、オリジナリティのあるモデルを製作している。
こちらの軽トラックの荷台にピタリと収まるログキャビン。これは木内さんがテレビ番組の企画で、1週間という限られた時間内で作り上げたもの。
製作時間は制限されていたが、プロとしての譲れないポイントがあった。それは安全性と実用性、そして木へのこだわりだ。
木材はスギで統一され、室内は心地よい木の香りに包み込まれている。キャビン構造はログハウスと同じつくりだ。45㎜厚のスギの壁板は断熱効果も高い。
安全性では軽トラの最大積載量350kgを超えることがないように、材料を選び、加工することで軽量化を実現。加工には精密な木材のカットができるNCルーターを使っているので、自身の思いどおりの形をつくり出せるという強みもある。
ベッドとカウンターは同じ長さ。ベッドがベンチシートのように利用できる高さで、そのサイズ感はプロの仕事を意識させる。
写真・文:渡辺圭史
出典:カーネル vol.43 2019秋号
③スズキ エブリイ 三沢真実さん
“キャンプのある暮らし”をテーマに、ライフスタイルを発信するクリエイターズユニット「キャンモック」三沢真実さん。
仕事で荷物をたくさん積み込むことが多く、ラゲッジスペースは効率的で広い空間を確保。そうでありながら、木材で包み込まれたような心地よい空間が広がっている。
圧倒的な完成度の高さで、細部を見ても仕上がりの美しさが宿る。それもそのはず、この車は、ウッディなキャンプギアを展開し、バンライフ車両を製造する「シエルブルー」が手がけた車なのだ。
壁と天井には木の無垢材を使用。両サイドから立ち上がった木のパネルは、曲線を描いて天井部分へ、そしてリアからフロントへときれいにつながっている。天井とサイドの接合部は加工が難しいのだが、違和感がない。
リア開口上部に出っ張りがあるのだが、細かいパーツを使って、きれいに木材でカバーされている。まさにプロフェッショナルの技。
サイドステップ部分やその上のあるパーツも木材でカバーされている。室内もしっかりと外装用の塗料が塗られているのがわかる。
三沢さんが一目惚れしたモデストカーズ「ピコット」のキットで、レトロなヨーロピアンスタイルに。外観もおしゃれ!
写真:中里慎一郎
文:渡辺圭史
出典:カーネルvol.49 2021年春号
④ダイハツ ハイゼットカーゴハイルーフ 渡辺圭史さん
渡辺さんはアウトドアや車関連のフリー編集者。仕事の際は車での移動がほとんどで、車中泊をしながら取材先に向かうことが多い。
長距離移動も多いので、仕事用に泊まれる車中泊車両をDIYすることを決めたという。
イメージしたのは、木に囲まれた、古い船のキャビンのような狭い空間。参考になる資料が少なく、インターネットでいろいろなスタイルを探したという。
木材を張るにしても、室内は極力狭くしたくなかったので、板張りの方法で頭を悩ませたそうだ。着替えしやすいように、室内の高さを確保することも大切だった。
構想期間は約3カ月。材料はすべて、ホームセンターと通販サイトのアマゾンで買えることが条件。木材加工に1日をかけて、車への組み付けは2日。計3日で基本的構造物が完成した。
室内の家具といったら、自作のテーブル程度。床の板はフロアに置いてあるだけで、板を固定するために、メタルプレートで木材を連結した。
自作のテーブルの下にあるのはワイン用の箱。自宅の荷物整理用に購入していたものを2個を並べて、鉄のクランプで2カ所固定し、横長に置いている。
テーブルや収納ボックスは置いているだけなので、ボディのサービスホールにアンカーを取り付け、カラビナやロープで固定している。
リアサイドは朝日を感じたいので、スリット状の木製シェードを自作した。磁石で脱着できるようになっている。
写真:中里慎一郎
文:カーネル編集部
出典:カーネルvol.49 2021年春号
⑤日産 バネット 澤野優美子さん
バネットの内外装をバンライフ仕様にDIYし、快適でおしゃれなテレワーク空間を作り上げた澤野さん。
DIY初心者の澤野さんは、キャンピングカー作りをサポートしてくれる「葉山RVサイト」と元大工の北澤さんの力を借りて製作。
葉山RVサイトでは、バンライフしたい人のために新サービス「HayamaRV-SITEキャンカーDIY倶楽部」を行なっているのだ。
予算10万円と決めて、気軽にカスタムできるキャンピングカーを目指した。天井裏には断熱効果の高いスタイロフォームとアルミシートを張り、日差しの強い日でも気温上昇を軽減してくれる構造に。
床にもスタイロフォームとコンパネをコーキング剤で接着して、その上にタイルカーペットを敷き詰め、下からの熱を遮断している。
家具を最小限に抑えたスケルトン仕様。シンク、棚、シートを下ろすと、車内は広々とした空間として利用できる。フロアは40×40㎝のタイルカーペットを20枚敷き詰めた。
流しの付いたキッチン家具は、子ども用のおもちゃとしてイケアで売っていたものるものだというから驚き。
室内の木材塗装はBRIWAXのクリアを使用して、木本来の色味を活かしている。
外装にはタカラ塗料のビスケットをセレクト。ハケやローラーで簡単にクルマのオールペイントができるので、DIYユーザーには人気の塗料だ。
写真:中里慎一郎
文:渡辺圭史
出典:カーネルvol.49 2021年春号