ふだんから「車中泊避難」の準備をしておく
1月17日で阪神・淡路大震災から26年。その後も、東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨など、大きな自然災害は絶えません。
家には戻れない、でも車はなんとか使える……。
そんなとき、「車中泊避難」の準備があれば、きっと心強い味方になってくれるはず。ここでは、車に準備しておくと被災時に役立つ、車中泊避難用グッズとその使い方を紹介します。
防寒&着替え用の衣類を圧縮袋に詰めて、車に積んでおく
圧縮袋などを活用して緊急用の衣類を入れておけば、汚さず、そしてかさ張らずに車載しておくことが可能です。
普段あまり使用しないラゲッジ下の収納スペースのような、小スペースに積んでおくことができ、日常の荷物の出し入れの流れで、車から下ろしてしまうことも減るでしょう。
被災時、このような予備の衣類があると、緊急時の着替えや防寒で使用できるだけでなく、余った衣類は下記のようにシートの段差を解消する際にも使えます。
ただし、注意してほしいのは、成長期の子どもや乳児などが家族にいる場合。体の大きさにあった衣類でないと、せっかく準備していても着れなければ意味がありません。
1~2年(例えば車検時など)に衣類のサイズをチェックして入れ替えるなど、「衣替え」とともに、積んでおく衣類の「メンテナンス」もお忘れなく。
就寝時はタオルや毛布を活用して、「フラット」を心がける
震災などの緊急時に車中泊を行う場合、自分の車がラゲッジで寝られるタイプか、シートでしか寝られないタイプかで、就寝人数や快適さは大きく変わります。
まずはマイカーのシートアレンジを事前に復習しておくことが大切。そのシートアレンジによって、何人まで車中泊できるかが把握できます。
被災時、誰が車中泊で、誰が避難所へ行くのか?などのシミュレーションは、やはり事前に行っておくべき。
また、一般車のシートやラゲッジは、最近の一部の「車中泊仕様」をうたったモデル以外、基本的には「就寝時の快適性」は考慮されていません。シートやラゲッジを最大限に倒しても、思った以上に凹凸があるもの。そのまま寝ると、体に負担がかかってしまうこともしばしば。
そこで、タオルや毛布、そして上記のように保管していた衣類などを使い、へこみやすき間を埋めると、ぐっと快適になるはずです。
タオルや衣類は、窓の目隠しとしてもおすすめ
窓に目隠しをすることは、プライバシーを確保できるだけでなく、防犯面においても非常に重要。車内のグリップにロープを渡し、大きめのタオルや上着をかけて洗濯ばさみなどで留めるだけで、簡易的な目隠しに。窓にタオルを挟むなどの方法もあります。
車内が外から見えないというだけで、就寝時のリラックス度は大きく変わります。避難時、すべての窓をふさぐことが無理な場合は、人通りの多い側面のみでも構いません。
「外からよく見えない」=プライバシーの確保が少なからずできるはず。特に女性や小さな子どもがいる家族は、着替えや授乳などを車内で行えるだけで、心の余裕が生まれることも。
さらに、仮設トイレが避難所に準備されるまでに多少の時間がかかります。目隠しさえしていれば、簡易トイレを車内で使用することもできます。
水分と非常食の準備もしっかりと
避難生活のなかで、食料や水が避難所に届くまでの期間を考えて、非常食と水の準備も必須。準備する水分は、スポーツ飲料や栄養ドリンクなどよりも、ペットボトルの「水」がベスト。非常食を調理したり、ケガの傷口を流したり,顔や手を洗ったりするなど、汎用性が高いからです。
そして、熊本地震で大きな注目を集めたエコノミークラス症候群。その予防のひとつとしても、水分は欠かせません。避難中の女性のなかには、トイレ状況を考えて、水分摂取を抑える人も少なくありませんが、これは非常に危険です。
もちろん、不便な避難生活のなかで潤沢に水があるとは限らないので、水分摂取するペースを考えたうえで、水と非常食の数量を計算し、しっかりと準備しておきたいところです。
工具などは常備しておく
ふだんから車の中に工具を積んでおくことができれば、非常時の様々な状況に対応可能になります。工具といっても、ペンチやドライバー、カッター、ひも、ガムテープなど、家にあるもので大丈夫。それだけでも、あるとないとでは大違いですよ。
代用トイレも考えておく
車内にトイレが確保できれば、安心感はぐっと上がります。写真のようなしっかりした簡易トイレがあればベターですが、量販店などで購入できる使い捨てトイレのほうが保管するスペースは小さく、便利な場合もあります。車内スペースや家族構成なども考えて準備したいところです。
また、市販のトイレが準備できなかった場合、手軽に自作することも可能。バケツや段ボール箱にビニール袋をかぶせて、子ども用紙おむつか新聞紙を丸めたものを入れれば用は足せます。
荷物の移動を面倒くさがらない
おすすめグッズというわけではないが、少しでも体をリラックスして寝るためのテクニックをひとつ。荷室や後部座席の荷物を一時的にでも車外などに置ける場合は、寝る前に荷物を移動し、体を横にできる就寝用のスペースをできるだけ広く確保すること。移動は手間だが、その手間を惜しまないことで、体への負担を段違いに減らすことができます。