【概要】大きくなった焚き火の炎を消火する方法を紹介。砂、水、消火クロスで消化する方法の検証、薪の組み方による炎の大きさの比較など。

癒やしどころか恐怖になる大きな炎

気分が盛り上がったり、ちょっと寒いなと思ったりしたときに、つい大きな炎で焚き火を楽しんでしまいがちだ。

けれど、大きくなりすぎた炎は癒やしどころか、恐怖を与える存在になってしまう。そして大きな炎は火の粉の飛散させてしまったり、手に負えないほどの炎になってしまう危険性がある。

決して必要以上に大きな炎をおこさず、自分でコントロールできる範囲で焚き火を楽しむようにしたい。

大きな炎にしないためには、薪を無闇に入れないこと。燃料となる薪が多いほど、炎も大きくなってしまう。

ちなみにコントロールできる炎とは、薪を動かすだけで火力が調節できるくらいが目安と考えておこう。また、薪の組み方によっても、炎の上がり方が変わってくることを覚えておこう。

炎の特長を知っておけば、火の大きさだけでなく、火の粉の飛散を抑えることもできる。

しかし油断は禁物。万が一、炎が大きくなってしまったときに備えて、消火できるように水などをきちんと準備をしておこう。

薪の組み方で炎の大きさは変わる?

使用した焚き火台:キャプテンスタッグ ラウンド ファイアベース(ブラック)

炎が大きくなると火の粉が舞いやすくなるので、できるだけ焚き火は大きくしないほうがいい。そこで「井桁型」「合掌型」「並列型」3タイプの焚き火を比較してみた。

その結果、

①並列型……炎が高く立ち上ることはなく、最初から最後まで同じぐらいの大きさで終始穏やかに燃え続けた。

②合掌型……薪への着火は遅いが、火がつくと急に大きな炎になる。また薪が燃えると崩れるので注意。

③井桁型……井桁型はすぐに炎が立ち上がり、気をつけないとすぐに大きな火になってしまう。

キャンプでの焚き火は「並列型」が安心だ。

検証! 3つの方法で大きな炎を消火してみた!

「急に風が強くなってきた」「火が大きくなりそう」というときに、どんな方法で消火すればいいのか?

消火に適しているといわれる「バケツに入れた砂」「バケツに入れた水」「消火クロス」の3つで焚き火を消火し、消火しやすさや消火具合などを検証してみた。

その1 バケツの砂で消火

15リットルのバケツに8分目の砂を入れて消火に挑戦。持ち上げるとかなり重量感がある。

投げかけるのは大変!
重い砂を投げるようにしてかけるのは難しく、上からかけるような形になってしまった。

消火は一瞬で終了
ボリュームのある砂が炎にのり、一瞬で消火完了。ただし、しばらくは煙が漏れ出ていた。

【結果】
重いので、上からかけるような感じになってしまった。しかし、まとまった砂が一気にかかって酸素が断たれ、思った以上にスマートに火が消えた。

その2 バケツの水で消火

15リットルのバケツに8分目の水を入れて消火。持ち上げた印象は、砂に比べると少し軽い感じ。

意外と投げかけは簡単
砂のときより火から離れた位置で投げかけることができたので、恐怖感は少なかった。

消火後は煙が……
消火後は火がくすぶることなく見事に鎮火。ただし煙はモクモクで、焼け残りも散乱した。

【結果】
1杯の水だけで消火できるのかどうか不安だったが、しっかり消すことができた。ただ消火後に煙が出るので、周囲に迷惑をかけることになるかもしれない。

消火クロスで消火

初期消火用のガラス繊維製の消火クロスでチャレンジ。サイズは100×100cm。

かぶせるのが少し怖い
広げて炎に近づいてクロスをかぶせなければならないので、3つのなかではいちばん怖い。

密閉が消火の条件
酸素を断つために隙間なくかぶせる。クロスが燃えることはないが表面は多少焦げてきた。

【結果】
10分後、火は消えていたがクロスを外してしばらくすると再発火した。完全消火には長時間かぶせっぱなしにしておくか、種火を水で消す必要がある。

文:牛島義之 
写真:佐藤弘樹
撮影協力:PICA 富士西湖 https://www.pica-resort.jp/saiko/ 
出典:GARVY2021年12月号