「車種検討期間15年を経過したある日、わが家に突然、犬が来た。これがきっかけとなり、犬との車中泊生活がついに始まった」
クルマやアウトドア誌などで活躍する編集&ライター・山崎友貴さんの連載がスタート!
ひとり+1匹 いつでも一緒に旅したい!
日本RV協会がまとめた「キャンピングカー白書2023」によれば、キャンピングカーを購入した人の約4割(2022年統計)が、ペットとの旅のために、キャンピングカーを買っていることがわかっている。
犬や猫との生活をしていない人だと、「旅行するならペットホテルに預ければ?」ということになるのだが、1日あたりの費用は意外と高い。さらに、他人に何日も預けるのは心配でならない。
かといって、ペットと泊まれる宿泊施設は高いし、何かと制限があって気が休まらないのである。
わが家に柴犬が来てから、いろいろ経験してみたのだが、やはりキャンピングカーがベストだという結論に達した。
仕事柄いろいろなモデルを見てしまっているため、この15年間、どれを購入するか迷い続けてきた。
キャンピングカーはよく「買う時が買い時」なんて言われるが、わが家で後押ししたのは、じつは愛犬だったのである。
購入したのは、フロットモビールの「シュピーレン」。なぜこれを選んだかは後述するが、納車の翌週から愛犬との“ワンピングライフ”がスタートするのである。
犬とキャンピングカーで旅するなんてありきたりなのだが、始めてみるとさまざまな準備や工夫が必要なことが、出かける度にわかってくる。
そこで今回は、購入から第一段階の準備をどのようにしたか? をお伝えしたい。
ちなみに、この執筆をしている段階で、すでに5000㎞を旅し、キャンピングカーでのワンピングライフがいかに楽しいかを実感中だ!
なぜ「シュピーレン」を選んだ?
「シュピーレン」はタウンエースバンをベースにしたバンコン。サイズ的には軽キャン以上、ハイエースのバンコン以下となる。
ウチは自分と犬だけなので大きなサイズはいらないし、かといって軽キャンを使いこなせるほど上級者でもない。
シュピーレンがいいのは、装備がシンプルで空間効率がよく、各部の使いやすさが際立っているから。欲しい機能だけが確実に備わっている。まさに自分のスタイルにジャストサイズといえる。
愛車のためにも養生が必要
最初にした準備が、シートやベットマットの養生だ。人間もしかりだが、犬の毛や臭いはケアが大変。
そこで、シートにはカバーをかけて、マット部分には適当な敷物を買って敷いた。この上にさらに布団を敷くことで、マットの汚れを防いでいる。
愛犬の安全性もしっかりと
大抵の愛犬家がしていることだが、やはりウチでも犬用のシートベルトを2本用意した。後部でくつろぐとき用の長いものと、助手席に座るときの短いタイプだ。
ウチの犬はなんでも噛むのでいろいろ買ったが、バリスティックナイロン製にたどり着いた。
冷蔵庫は犬こそ必要!?
夏は一年で最も犬に苛酷な季節だ。体調を管理するために、わが家では冷たい水を用意している。
ドメティックの温冷蔵庫は、車中泊時の食生活を支えてくれるだけでなく、愛犬に常に冷たい水やエサを与えるための必需品。本当に重宝している。
リードアンカーも欲しい
サイドオーニングを出してくつろごうとしたときに気づいたのが、犬をどこにつないでおくか? ということ。
最初はスライドドアのラッチに、カラビナを使ってつないでいたが、意外と力があるため歪むのが心配に。そこでリードアンカーを購入して、家具にネジ留めした。
ファンと扇風機はダブルで!
いかに車内の環境を犬に合ったものにするか? というのが、夏の車中泊の課題だ。シュピーレンにはマックスファンが付いているが、車載用扇風機でより空気が流れるようにした。
シュピーレン専用クーラー(上写真)の計画もあるが、発売は先になりそうだ。
注意! ワンコがNGな施設もある
これは、行くまで誤解していたのだが、RVパークやオートキャンプ場はどこでも犬同伴可能というわけではなかった。なかには犬嫌いな人もいるので、当然といえば当然だ。
犬連れを理由に泊まれなかったことが3度ほどあった。事前にペット同伴可か、確認したほうがいい。
山崎友貴プロフィール
車中泊雑誌『カーネル』はもちろん、クルマやアウトドア専門誌などで記事を製作する編集・ライター。クルマ旅やキャンピングカーなどの記事も数多く手がける。
写真、文:山崎友貴
取材協力:フロットモビール https://flott-m.com/
初出:カーネル2024年9月号vol.68