バラエティ豊かな絶景温泉の宝庫
厳密ではないが、相模湾に面した熱海市、伊東市、東伊豆町、河津町までを「東伊豆」と呼ぶことが多い。
北部はテーマパークや美術館なども多く、マリンスポーツも盛んで、首都圏からのアクセスのよさから伊豆で最もメジャーな地域といえる。
海に沿って南北に伸びる国道135号を走ると、至るところに温泉地の標識が現れ、東伊豆の温泉の多さを実感するだろう。
伊東以南になると、いかにも観光地といったスポットが徐々に減り、温泉も秘湯感が増してくる。
東伊豆のおすすめ温泉
稲取東海ホテル湯苑
「絶景温泉と魚介満腹の宿」
伊豆東海岸に小さく突き出た岬にある稲取温泉。その海岸線沿いに立つ稲取東海ホテル湯苑は日帰り入浴も可能。
伊豆七島を望む絶景露天風呂のほか、ねころび湯、ハーブ湯、サンゴサウナなどバラエティに富んだお風呂が楽しめる。海水の成分に似た塩化物泉で、保温効果が高く、湯冷めしにくいのが特徴。
大川露天風呂 磯の湯
トンネルを抜けた先の露天風呂
東伊豆温泉郷の玄関口・大川温泉にある「磯の湯」は、その名のとおり波打ち際にある露天風呂。
アクセス方法が特殊で、駐車場の脇にある地面の裂け目のようなところから小さな階段を下り、土管のようなトンネルをくぐり抜けると温泉小屋に到達する。
浴室は男女別で、5 〜6人が入れるほどの大きさ。お湯は熱めで、海風と相性抜群。駐車場への道は幅が狭いので大型車は注意。
黒根岩風呂
「アメリカを見ながら入る野天風呂」
漁港の町・北川(ほっかわ)にある北川温泉。海岸線沿いの小さな温泉街の入り口にある「黒根岩風呂」。
海抜0mに設けられた波打ち際の露天風呂で、風によっては波しぶきがかかるほど海に近い。浴槽は男女別で、広めの駐車場もあり。
あかざわ足湯
かつては絶景露天風呂だった
赤沢温泉にある、海を眺めながら入ることができる無料の足湯。かつては露天風呂だったが、管理者がいないため、衛生面・安全面を配慮して廃止。
だが、筆者が訪れたときは全裸のおじいさんが肩までつかっていたので、注意が必要かもしれない。
伊豆最大の大滝 AMAGISO ー天城荘ー
ほかにはない! 滝を見ながら露天風呂
7つの滝が見られる河津七滝(ななだる)、そのなかで最大の大滝(おおだる)は、隣接する旅館・天城荘の外湯エリアにもなっている。
大滝までの遊歩道を下ると滝見台があり、受け付けで料金を払えばタオルとレンタル水着が借りられるので手ぶらでもOK。
7つの湯船の温度が全部違うのは、すべて源泉が違うため。夏季にはテントサウナや温泉プールも楽しめる。
溶岩洞窟風呂
東伊豆屈指の秘湯
河津七滝の遊歩道、河津川沿いの岸壁に掘られた「溶岩洞窟風呂」は、七滝温泉ホテルが管理しており、日帰り入浴できる。
タオルや水着着用の混浴で、洞穴は対岸の遊歩道から丸見え。普通の露天風呂では物足りない人にはぴったり。プライベート・キャンプ場も併設。
踊り子温泉会館
河津桜の名所も温泉郷
2月下旬から3月上旬にかけて満開を迎える早咲きの桜として知られる河津桜。その名所である河津町には、この桜並木を眺めながら露天風呂に入れる踊り子温泉会館がある。
またそのすぐ近くには、地上30mまで温泉が噴き上がる峰温泉大噴湯公園があり、迫力ある噴湯を1時間おきに見ることができる。セルフで温泉たまごも作れる。
東伊豆エリアで車中泊するなら
河津七滝オートキャンプ場
河津七滝の奥地にある河津七滝オートキャンプ場は全サイト電源完備のオートキャンプ場。林間サイトと川沿いサイトがあり、どちらも車両乗り入れ可能。
伊豆のキャンプ場では唯一の24時間入浴可能な露天風呂に無料で入ることができる。
厳選! 東伊豆グルメ情報
選びきれないほど多彩な飲食店がそろう東伊豆グルメのなかで、それでももう一度行きたい店を厳選して紹介。
わさび園かどや
河津七滝にあるわさび農家の「かどや」は、人気ドラマ『孤独のグルメ』に2回登場したことのある名店。
セルフですり下ろす「生わさび丼」が絶品で、営業時間は14時までだが、午前中で売り切れることが多い。
かっぱ食堂
稲取のソウルフード「肉チャーハン」発祥の店・かっぱ食堂。豚バラ、キャベツのあんかけとシンプルな卵チャーハンのコンビネーションが絶妙で、ひと口食べたら止まらなくなる。
閑散期はメニューが増えるので、幻のメニュー目当てに訪れるのもいいだろう。
『伊豆の踊り子』に登場する温泉宿
福田屋
『伊豆の踊り子』の舞台となった、湯ヶ野温泉・福田屋。館内には「私」が入浴した榧(かや)風呂が、対岸には踊り子が裸で手を振った共同浴場も現存する。どちらも日帰りは不可なのが残念。
写真、文:rui
写真協力:伊豆市観光協会、東伊豆町観 光協会、稲取東海ホテル湯苑、赤沢日帰 り温泉館、百笑の湯、金谷旅館
初出:カーネル2024年7月号vol.66