【概要】車中泊旅の朝ごはんについてつづる車中泊専門誌『カーネル』のリレー連載コラム。第9回は編集長・オオハシが担当。
今回の選者/カーネル編集長・オオハシ
車中泊雑誌『カーネル』編集長。最近ではクルマや飛行機を使用することが多いが、以前は新幹線移動も多かった。愛知県一宮市出身ということもあり、東京(神奈川)⇔名古屋間を何往復したか、数えきれいほど。同じくらい東京(神奈川)⇔一宮間の高速道路(東名、新東名、中央道)も往復しているけどね。
クルマ旅でも食べる新幹線の大定番
地元・愛知県一宮市から上京して、今年で28年。実家に帰る新幹線に乗車する際に、使用する駅は徐々に変化してきた。埼玉県在住時は東京駅、神奈川県川崎市に住んでいたときは新横浜駅。いまは横浜市に住んでいるのだが、アクセスがシンプルなので品川駅を使っている。到着駅が名古屋駅なのは変わらない。
そして、28年間必ずといっていいほど新幹線の車内で食べてきたのが、崎陽軒のシウマイ弁当だ。写真は昨年のものだが、プライベートでも仕事でも、もはや何往復したかわからないなかで、明確なルーティンがこの弁当を買うことだった。
やや硬めのごはんで箸を折った経験もある。片方だけ短くなった箸だってもちろん完食。シウマイに醤油をかけてからしを付けると、ほかのおかずにも付いてしまうのも、もう慣れた。
鶏の唐揚げ、卵焼き、かまぼこ、鮪の漬け焼は無難に食べられるのだが、あんずを食べるタイミングはいまでも迷う。筍煮でご飯を食べすぎると、シウマイが余る。切り昆布&千切り生姜は、ご飯を食べきったあと、お茶のつまみとして食べる。
きっとそれぞれの人によって食べ方のクセや手順があり、それぞれに物語が詰まっているのがシウマイ弁当。ぼくは特に、朝の新幹線に乗る際、朝ごはんとして食べることが多かった。売り切れで買えなかったときや、乗り口をまちがえて、売っている売店に寄れずに改札をくぐってしまったときなどは、その日一日、ずっと引きずってしまうほど。
と、ここまで読んでくれた読者の皆さんのなかには、「あれ、今回はクルマ旅の朝ごはんじゃなくて、鉄道?」なんて思った人もいるかも。大丈夫。安心してください。ちゃんとクルマ旅でもシウマイ弁当を食べているんですよ、ぼくは。
クルマ旅の場合、なかなか駅に立ち寄って購入することも難しく、以前は売っているお店を探すのが大変だった。多くは駅やデパート、ショッピングセンターなどに入っている店舗が大半だったから。でもね、なぜか最近、駐車場のある路面店も増えてきて、ぼくの自宅の近くでも購入できるようになった。本当にうれしい!
ただし、こういったお店は早朝から営業しているわけではないので要注意。ぼくの自宅近くにできた路面店は10時から。なので、やや遅く出発するときに寄って、ブランチとして食べることが多いかな。
ちなみに、シウマイ弁当が買えるお店一覧は、WEBサイトにも掲載されているので参考にしてほしい。現在では、神奈川県を中心に、東京都、千葉県、埼玉県、静岡県、そしてなんと台湾にまで出店しているというから驚きだ。
さらにさらに、まねき食品とのコラボで、関西シウマイ弁当なるものまで販売されている。おかずの種類が異なるので、いつか食べてみたいと思っているが、いつになることやら。どこに売っているかも、まだ調べてない。
さて。そんなシウマイ弁当の思い出といえば……あれ、何もないぞ。本当ならここで、青春時代の思い出や家族のエピソードを書きたいところだが、いつも新幹線でもクルマ旅でも、シウマイ弁当を購入するときはひとりのことが多く、誰かとのエピソードはあまり思いつかない。
ただ、強烈にいつも感じるのは、弁当を食べていると、「関東から西への長旅」を心身ともに感じることが多い。「さあ、行くぞ」か「帰ってのんびりしたい」か。仕事か休みかで変わるのだが、シウマイ弁当がその切り替えを担っているというのは、少し言い過ぎか。
どちらにしろ、今後も食べ続けるであろうシウマイ弁当。旅のお供として、これからもよろしく。
崎陽軒 シウマイ弁当
東海道新幹線に乗車する人たちには、もはやおなじみともいえる駅弁の定番。28年間食べてきたが、味が変わらないのがすごい(たぶん)。現在は900円だが、28年前は記憶にない。朝ごはんではなく、遅い時間の新幹線のときは売り切れになっていることもしばしば。
※記事の内容は掲載当時のものになります
写真、文:大橋保之(カーネル編集部)
初出:カーネル2023年9月号vol.62