■SEMAショー2023レポート
・序章 アメリカではバンライフ仕様が減っている。代わりに台頭してきたのは……
・①米のショーで世界が注目!? トヨタ、日産…メーカー純正のカスタムモデル!
・②トレーラーのトレンドは多様化+快適性向上。新モデルをチェックせよ!
→いまココ ③ルーフトップテントの需要が増加!? 快適を求め進化中
ルーフトップテントの歴史は古く、アメリカでは1990年代からこのアイデアが商品化されてきた経緯がある。
ここ数年のアウトドアブーム、特にハードな場所へとクルマで進んで行くオーバーランディングでは、テント設営場所の足場が不安定なこともあり、ルーフトップテントの需要は高まりをみせているようだ。
基本は上下のハードシェルの中に、折りたたみ式のテントが格納されているものだが、各社のアイデアによって、その耐候性、快適性、構造などは、年々高まっているように見受けられる。
ここでは数社が展示した代表的なモデルをチェックしてみよう。
JAMES BAROUD
老舗メーカーが展開する快適な居住空間
オーバーランド・レディをコンセプトに、20年以上前からルーフトップテントの開発・販売を続けているジェームスバロウド。
用途にあわせて6種類のモデルをラインアップし、さまざまな車種や使い方に合わせたセレクトが可能。
ハードシェルのFRP素材からテント部分のキャンバス生地まで、長い年月をかけた経験によって生み出された高いノウハウの素材をベースに、ヘビーデューティーかつ快適性の高い製品をリリースし続けている。
ジェームスバロウドの上位モデルは、トップパートが垂直に持ち上がるEVASIONとGRAND RAIDの2タイプ。XLサイズなら、親子4人での就寝が可能。
トップシェルの片側が持ち上がるSPACEはオートマチックオープンタイプで、使い心地も上々。小型サイズもそろっているので、小型車との相性もいい。
テント部分ではないが、大きく展開するオーニングと組み合わせれば、クルマの周りを取り囲むようにプライベートな空間を作り出すことが可能。
VISONはトップシェルが180度展開して、大きなフロア面積を確保できるのが魅力。軽量高剛性なアルミフレームで広い空間を確保し、さらに複数の窓を設けているので通気性も高い。
TUFF STUFF
想像以上のサイズに展開するタフスタッフの頼れるテント
そのいでたちから堅牢な雰囲気が伝わってくるタフスタッフのルーフトップテント。ラインアップは10種類にものぼり、ハードシェルとソフトシェルが用意される。
最大就寝人数は5人まで対応できる大型のものもあり、さらにテントとしての機能を重視し、荒天時に対応可能なテントカバーなども用意する本格メーカー。
また多彩なラインアップがそろうオーニングも魅力的だ。
トップシェルを90度立ち上げ、開放側にフロアを伸ばしたALPHAは大人3人が余裕で過ごせる空間を提供。
トップシェルが2段階で斜めに立ち上がり、ルーミーな空間を作り出すAPLINEシリーズ。オーニングと組み合わせるなど、拡張性の高いモデルだ。
ソフトシェルタイプには、丈夫なレインカバーも用意され、悪天候時の水漏れも心配ない。伸縮自在のラダーでクルマの高さを選ばない。
INTREPID CAMP GEAR
独自のアイデアでべッドルームを確保
各社が堅牢性や快適性の研究開発にしのぎを削るなか、室内空間の確保にひとつの答えを見いだしたのが、インタラピッドキャンプギア。
テントの展開時にトップシェルをもち上げると、マルチリンク式のフレームがトップを折り曲げながら開き、テントの前後方向に可能な限り垂直な空間を作り上げることに成功している。
開発スタートからまだ3年と社歴の短い同社では、自信をもって市場にリリースできる製品1種類のみを用意し、現在は単独モデルで展開中だ。
元来他社のテントを使っていたアウトドア仲間が集まり、自分たちの不満点を改善しながら商品を作り上げたという。現在の製品Geo 2.5は彼らの自信作だ。
アウトドアの楽しみは自分の足でいろいろな体験をすることと語る彼らは、ルーフトップテントはあくまでも快適に休む場所と割り切り、居住性、展開や格納の容易性を追求する。
写真、文:Yusuke Makino, June(カーネルUSAブランチ)
初出:カーネル2024年1月号vol.64