ベテランキャンパーは薪ストーブを使っているけれど、それって大丈夫? 暖かい?
冬キャンプの寒さ対策として効果的な薪ストーブ、石油ストーブ、ガスストーブ、電気毛布、湯たんぽなど、暖房アイテム別にキャンプ利用のメリット・デメリットを考えてみた。
教えてくれたのは……WILD-1 雄鹿裕樹さん
2年前よりWILD-1デックス東京ビーチ店のキャンプ担当となり、お客さまにあった道具選びを手助け。自衛官の父親の影響で幼少期からアウトドア遊びに精通している。
WILD-1デックス東京ビーチ店は、都心にありながら大型テントを数張り常設する広さが自慢。スタッフの知識が豊富でギアやフィールド選びの参考になる。店舗限定アイテムを探すのも楽しみだ。
キャンパー注目の防寒アイテム おすすめの使い方
湯たんぽと焚き火だけがキャンプで暖を取る手段じゃない。優秀で低価格、コンパクトなポータブル電源やモバイルバッテリーが増えたおかげでAC電源サイトのないキャンプ場でも電気毛布やこたつを使えるようになったのはうれしいが、これらで冬の厳しい寒さを乗り切れるのだろうか。
「電気毛布やホットカーペットはテント内でも安心して使えますが、寒さを完全に防げるわけではありませんし、使用中の低温やけどの心配もあります。かといって石油ストーブやガスストーブ、薪ストーブは一酸化炭素中毒や火災、やけどの恐れがあるのでテント内では原則使えません」(雄鹿さん)
ただ、最近はキャンプメーカーとコラボした石油ストーブが登場している。対応するテント、危険性を抑えた使い方を示しており、これらを利用すれば冬キャンプが劇的に安全で快適になるというのだ。
また、雄鹿さんはこうも続ける。「テントにしろコテージにしろ、1台の暖房器具で全体を暖めようとするのではなく、パーソナルな暖房を併用するのがおすすめ。石油ストーブと湯たんぽ、薪ストーブと足元用の小型ストーブといった具合です」(雄鹿さん)
湯たんぽ
熱湯によって足やおなかをあたためるというシンプルな構造で壊れにくい。「お湯を入れるもののほかに最近は充電式もあり、扱いやすいと人気になっています」
メリット
・じんわりおなかや足をあたためる
・一酸化炭素中毒の心配なし
・ぬるま湯は洗面に使える
デメリット
・使用中の低温やけどに注意
・お湯を入れる際は漏れに注意
・充電式は加熱や過充電による破損ややけどの恐れがある
電気毛布
通電することで発熱する毛布型暖房器具。体をすっぽり覆うものからひざ掛けまでサイズはいろいろ。モバイルバッテリーで利用できるものならスポーツ観戦やお花見などにも使える。
メリット
・大きいサイズ、ひざ掛けなどサイズいろいろ
・テント内で使っても空気を汚さない
・モバイルバッテリーで使えるモノも
デメリット
・使用中の低温やけどに注意
・電源サイトやポータブル電源が必要
薪ストーブ
ストーブ本体から出る遠赤外線の輻射熱で体を芯まであたためてくれる。テント内使用禁止だが一部対応テントがある。使用時は燃やしすぎに注意し、一酸化炭素警報器を携行。
メリット
・体を芯からあたためてくれる
・調理ができるモデルも
デメリット
・テント内で使うと一酸化炭素中毒の危険あり
・薪ストーブによる火災、やけどの危険あり
〈TIPS〉かさばるこたつとホットカーペットはレンタルでもいいかも
AC電源や大容量ポータブル電源があるなら、ホットカーペットやこたつを使うのも手。どちらもかさばるので自宅のモノを持って行くよりキャンプ場でレンタルするほうが楽でいい。
ガスストーブ
カセットボンベを使う暖房器具で、製品によって室内限定、室内・屋外使用可能、屋外専用がある。どこで使うかを想定し、製品の使用条件を確認してから手に入れよう。
メリット
・コテージだけでなく野外でも使えるモデルがある
・燃料は手に入れやすいカセットボンベ
デメリット
・テント内で使うと一酸化炭素中毒の危険あり
〈TIPS〉効率よく室内を暖めるストーブ用ファン
コテージやテントで対応ストーブを使ってもなかなか暖かく感じないことがある。ストーブファンをストーブに載せて空気を攪拌して、暖かい風を感じよう。
石油ストーブ
灯油を燃料とする屋内用の暖房器具。遠赤外線効果や燃焼効果で空気も暖めてくれる。屋外やタープ、テントでの使用は不可だが、特定テントに対応する石油ストーブもある。
メリット
・コテージ全体を暖めやすい
・特定テント内で使えるモデルがある
デメリット
・テント内で使うと一酸化炭素中毒の危険あり
・火事、やけどの危険がある
〈TIPS〉火のそばで過ごすなら難燃素材のポンチョを着用
自分の好きなダウンウエアが難燃素材とは限らない。グリップスワニーほか難燃生地のポンチョをすっぽりかぶって大切なウエアを火の粉から守ろう。
文:大森弘恵
写真:逢坂 聡
出典:GARVY2022年12月号