アウトドア専門店はもちろん、ホームセンターや100均にも手のひらサイズのミニライトが並んでいる。
明るさやバッテリーの保ちなど、並べてみると細かな違いはあるけれど「結局どれを選んでもそうそう変わらない」と思ってはいないだろうか。
登山好きのエンジニアが生んだアウトドア家電ブランド「FLEXTAIL(フレックステイル)」が作ったミニライト「TINY REPEL(タイニーリペル)」はφ36×144mmのスティック型で重量148g。
カラビナが付いていることをのぞけば何の変哲もないライトに見えるが、蚊とりマットを用いた虫よけ機能を搭載した、ありそうでなかったミニライトだ。
蚊とりマットは2枚装着可能。
マットを差し込み、正面左側のボタンをダブルクリックすれば虫よけ機能が働く。
ダブルクリックなので勝手にバッグの中で蚊とり機能がオンになることはまずない。
緑色に点灯すると「キャンプモード」となり、低温(110℃)で有効成分をじんわり広める。その範囲は約1.7mで10時間連続使用可能。
風の影響を受けるので万全とはいえないが、キャンプサイトでゆっくり過ごすときに適したモードだ。
もう一度クリックすると赤色に変わり「アウトドアモード」に。
165℃の高温で成分を広範囲(約3m)に広め、7時間連続使用ができる。こちらはトレッキングや釣りなど身体を動かすシーンに適したモード。
いずれのモードでもほんのりあたたかみを感じるが、“熱っ”と投げ出すようなことはなく、ベルトに吊して歩いてもやけどの危険はない。愛犬や小さな子との散歩なんかにも使えそうだ。
底にも工夫がある。
三脚用1/4インチのネジ山付きなので、手持ちのカメラ用三脚にねじ込みOK。
スティック型ライトを卓上で使っていると、不意に天板に脚が当たるだけで倒れてしまう。
これが案外ストレスのもとで、写真右奥のFLEXTAIL「ヴィラランタン」(9880円)のような小さくても安定感のあるライトに頼らざるを得ないのだが、「TINY REPEL」に小さな三脚を取り付けることで倒れにくくなる。
カメラ用の三脚に取り付ければ、テントの天井にフックがなくても高い位置から照らせるのも◎。
また、底部にはマグネットを内蔵。金属製品にくっつけられるのでフレームに付けて高い位置から照らすのはもちろん、アイアン製テーブルの脚にくっつけて、足もとの虫よけに使うなんてこともできて重宝する。
肝心の明るさは、ダブルクリックで点灯(50Lm)、以降、クリックするごとに100/200/400Lmとなり、4段階に光量を変えられる。
コンパクトなボディだけれど4800mAhのバッテリーを内蔵しており、連続点灯時間はそれぞれ50Lm60時間/100Lm24時間/200Lm13時間/400Lm10時間。
虫よけ機能と点灯は別々にも同時にも使えるが、バッテリー残量が25%以下になると同時使用はできないという。
虫よけ機能も使う場合、一泊のキャンプなら50または100Lmで点灯するのが現実的か。
ちなみにUSBポートは内蔵バッテリーへの充電だけでなく、スマホなどへの給電もOK。
ポート脇にあるインジケーターがバッテリー残量の目安だ。自転車や徒歩キャンプの場合、明るさを50Lmに抑えればスマホへの充電・虫よけも使える計算だ。
ボタンが硬めで指の力が弱い人は押しづらい傾向はあるが、道具が減り、身軽になるのは大歓迎。
それに、付属の説明書は文字が小さくて40代以降の疲れた目にはかなり厳しいが、直感的に操作できるのがいい。
付属の保管用ケース(写真奥)はゴツく、「TINY REPEL」とUSB-AtoCケーブル、そして手持ちの蚊とりマットを安全に持ち運べる。
けれどそもそも「TINY REPEL」は防水性能はIPX5で、さらに1.2mの高さから落としても壊れにくい設計。
徒歩キャンプならケースにいれず、本体のみを持ち運んでもなんら問題がない。
ただ、防水性能があっても濡れると虫よけ機能は使えない。虫よけ機能も使うなら持ち運び時にはビニール袋に入れるなど工夫は必要ではある。
虫よけ・モバイルバッテリー・ライトという1台3役の「TINY REPEL」。
秋になってもキャンプ場にはまだまだ虫は多い。夏キャンプはそろそろ終盤だが、「TINY REPEL」は防虫以外の働きも十分。いまから手にしても遅くない。
【問】ヨカビト info@yocabito.co.jp
写真、文:大森弘恵
撮影協力:PICAさがみ湖 https://www.pica-resort.jp/sagamiko/
大森弘恵プロフィール
キャンプを中心としたアウトドアや旅の雑誌、ウェブメディアなどで活動するフリー編集者&ライター。キャンプの仕事に携わること約30年、ソロキャンプ歴は36年のおひつじ座 。