自分で作るキャンピングカーに注目が集まっています。5月に行われたアウトドアの祭典「フィールドスタイルジャパン」の会場にも、DIYで簡単に車中泊を楽しめるキットが展示されていました。
プラモデルを組み立てるようにして、自分の持っている軽自動車をキャンパー仕様にできるそのキットとは?
キャンピングカー自作キット「VAN DE Boom(バンデブー)」
会場で展示されていた軽自動車の車中泊車両。その車内に組み込まれていたのが「VAN DE Boom(バンデブー)」というキットです。
2022年末にリリースされ、イベントなどで目にする機会も増えてきました。
VAN DE Boomには2種類あって、こちらはプラモデル型。他にパイプ型というイレクターパイプを使ったタイプもあるそうです。
中古車販売店のガリバーが販売している製品で、プラモデル型はキャンピングカー製造やレンタルなどを行なっているドリームドライブと一緒に共同開発されました。
ベース車両として設定されているのがスズキ・エブリイワゴン。
レイアウトはいたってシンプルで、リア部分がフルフラットのベッドとなり、その両サイドにキャビネットが取り付けられています。
セカンドシートを倒して、リア全体をフルフラットベッドとして利用するのが基本スタイル。
セカンドシートをひとつだけ使って、シングルベッドのみを使った3名乗車、キットをリアにまとめた4名乗車も可能です。
ベッド下は空間になっていて、収納スペースとして利用できる構造。
よく見てみると、仕切り壁に穴があり、ケーブルなどを通せるようになっています。ポータブル電源をセットして、車内配線をする時に役立ちそうです。
キャンピングカーのような本格的な車中泊車両インテリア家具
キャビネットは天井まで立ち上がっていて、上部収納が設けられています。両サイドの家具類は天井に通るハリのような木材でしっかりと固定されていました。
ボディ左側は窓部分が空いていて、外からの光が取り込めるようになっています。その手前にはスペースがあり、小物などを収納できます。
エブリイには純正でボディ右リアサイドに小物入れがありますが、こちらを使えるように、右側のキャビネットには扉が取り付けられていました。
逆の左サイドにはテーブルがセットできるようになっています。閉まっている扉を開けて、支えとなるバーをセットすれば、テーブルとして利用可能。
シンプルな構造ですが、しっかりとしていて、ちょっとしたデスクワークにも使えそうです。
マシンカットでキット化されたインテリアはアレンジ自在
キットをクルマから降ろすと、このような形状。車内の微妙なカーブを再現して木材がカットされてるのが分かります。
エブリイワゴン専用設計なので、車体としっかりフィットするようにできています。
もしDIYで作るとしたら、ここまでのフィット感を再現するのは難しいのではないでしょうか。
全体を見てみると、木材同士を組んで、家具を作っているようです。両方の立ち上がったキャビネットがアーチ型につながっていて、作りもしっかりとしていました。
しっかりとした作りですが、このキットには、くぎも接着剤も使われていません。誰にでも簡単に作れるように、最小限の工具で組み立てられるようになっているのです。
このキットを購入すると、マシンカットされた木材のプレートが届きます。プラモデルのようにパーツの一部がつながっていて、簡単なノコギリなどでパーツを切り離せば、準備完了。
切り欠き部分を合わせて、組み上げると簡単に家具が完成します。
そして、パーツを固定するのが、上写真にあるパーツ。飛び出した板の穴に入れて、パーツを固定します。これだけでも、しっかり固定されるのが不思議なくらいです。
パーツを切り離して準備しておけば、約1時間で完成する、と説明されていました。木材は塗装されていないので、自分の好きな塗料を使ってアレンジしてもいいでしょう。
木材なので、金具のフックなどを追加するときなど、加工もしやすく、DIY向きのキットといえるかもしれません。
リア側のフロア部分はキャビネットと一体型になりますが、セカンドシート側には、上写真のような木のボックスを敷き詰めて、ベッドとして利用します。
このボックスは簡単に移動できるので、クルマの外に持ち出して、キャンプ用のテーブルとしても使えます。
プラモデルを組み立てるように簡単に作れ、車中泊車両の家具となるのがこの「VAN DE Boom(バンデブー)」というキット。
色を塗ったり、パーツを追加したり、楽しみ方は自由に広がりそうです。
写真、文:渡辺圭史
渡辺圭史プロフィール
自動車、アウトドア関連の雑誌やウェブに携わるフリー編集者、ライター。仕事の際はクルマでの移動がほとんど。車中泊をしながら取材先に向かうことが多い。DIYが好きで、休日はクルマの改造に時間を取られている。