2020年にデビューしたアウトドアブランド「ラルファ」より、この春、待望の幕が発売される。オープンタープ、2ポールのシェルターそして大型テントの3兄弟だ。
そのなかから最も簡単に設営でき、初心者ファミリーはもちろん、ベテランキャンパーをもサポートしてくれるエアフレーム式2ルームテント「ジオAIR TC BK」(12万1000円)を一足早く試してきた。
本体を広げて空気を入れたら8割完成
サンプルのため収納ケースはなかったが、収納サイズは75×42×H35cmで総重量約16kg。
重量感はあるがフレーム不要なので、フライシートを広げて手持ちのペグで四隅をペグダウンしたら、あとはポンプで空気を入れるだけ。とにかく簡単だ。
付属ポンプはシングルアクションで、1回押し込むと約2リットルの空気が入る。約90回空気を送れば完成だ。
何気圧入れるか……ではなく、回数が規準なのがわかりやすい。ただし夏は、空気を控えめにする必要がある。
エアフレームは厚手のチューブに空気を入れて、本体を立ち上げるためどうしても重くなる。
けれども風で折れることはないし、細かな作業がないので寒い日の設営・撤収も簡単だ。
SUP用のダブルアクションポンプや電動ポンプを使えばより素早く設営できる。
フライシートが立ち上がったら、張り綱とペグで固定する。エアフレームの真ん中あたりにも張り綱がある。
パネルを張り出したり巻き上げたりすることもあると考え、今回は固定しなかったが、ここの張り綱を固定すればより強固になる。
手持ちのポールを使い、出入り口を張り出せば開放感抜群だ。
ちなみにラルファのポールは先端が斜めになっており、抜けにくい仕様。
ポリエステル65%、コットン35%のTC素材で抜群の遮光性と通気性を備えている。メッシュ部分はブラックメッシュで落ち着いた雰囲気。
一年中心地よく過ごせそう
インナーテントは吊り下げ式で、最大幅280、奥行き210cmで大人4人が楽に横になれるサイズ。大きく開くメッシュパネル付きドアを備えており、通気性良好だ。
インナーテントの側面にもメッシュあり。土や石を蹴り込まないよう、ドアパネルの縁が高めなのも好印象だ。
デイジーチェーンをエアフレーム部分にバックルで取り付ける。LEDライトで室内を照らす、レインウェアを乾かすなどいろいろ使えそう。
エアチューブ部分にはファスナーが取り付けられている。万一、空気が抜けるなど不具合が生じたときも、自分で破損箇所を見つけて修理ができるというわけ。
インナーテントを取り付けたときのリビング部分は、高さ200cmの中央部分が140×325cm。さらにだんだん背が低くなるけれども235×325〜270cmのゆとりもある。
幅120cmのテーブルとラルファ「ファイヤーサイド テーブルロング」を置いてもゆったり。
パネルを跳ね上げれば家族4〜5人でも余裕で過ごせる。
そもそもなぜTC? エアフレーム?
ラルファは2020年スタートの若いアウトドアブランドだが、立ち上げにたずさわった社員は、長年、テントに強い老舗キャンプメーカーに勤務していた経歴を持ち、開発担当ではなかったものの「こんなテントがあったらいいな」という理想型を胸に抱いていたという。
「ジオAIR TC BK」は、ファミリーが楽に設営・撤収できることと、長く使えることに注力した製品だ。
シームテープがいらないTCは、テープ剥がれの心配がないし加水分解もない。紫外線などによる劣化はあるが化繊よりも長く使えるという性質がある。
厚手TCを採用することで遮光性があり、夏の日差しを和らげる効果もある。
また、エアフレームであればフレームの順番、組み合わせ方に迷わない。真夏は空気が膨張するので空気の量を控えめにする必要があるが、風に強く、設営・撤収がとにかく楽なのだ。
「ジオAIR TC BK」と同時にブラックカラーのTC製幕たちがデビューする。オープンタープ「エルメスTC BK」、2ポールシェルター「オデッサTC BK」という名付けなど(ヒントはアウトドアモンスターの隠れキャラ)遊び心と実用的な機能が両立した3兄弟だ。
コンセプトとルックスは優秀だけど、いまひとつ不便……なんてことがないのは、若いブランドだけれども豊富な経験と知恵があればこそ。
全国のアウトドアショップやイベントで熱烈PRが続くので、ぜひ実物をチェックして担当者の熱い想いを聞いてほしい。2023年4月29日発売予定だ。
【問】ラルファ
文:大森弘恵
写真:大森弘恵、SOTOBIRA編集部
撮影協力:オートキャンプ・フルーツ村
大森弘恵 プロフィール
キャンプを中心としたアウトドアや旅の雑誌、ウェブメディアなどで活動するフリー編集者&ライター。キャンプの仕事に携わること約30年、ソロキャンプ歴は36年のおひつじ座 。