キャンピングカーが各方面で注目されている。その結果、需要が伸び、中古車市場の価格も高騰。人気のモデルは入手しにくくなっている状況だ。そんななか、リセールバリューの恩恵を得る人が出てきた。
乗り続けるつもりでいたけれど、査定金額の高さに心が揺れた
YouTuberの一味たかさんは3年半乗り続けてきたキャンピングカー、ナッツRV・クレアからの乗り換えを決意。
新車で購入したこともあって、本当はずっと乗り続けるつもりでいたが、自分が乗ってきたキャンピングカーの査定金額の高さに驚き、心が揺れたという。
「すごくいいクルマだったので不満はありませんでした。でも、キャンピングカーに乗ったことで友人も増え、オフ会などに参加するようになると、オーニングが欲しくなってきたので、いつかは装備しようと考えていました。また、購入時からの鉛バッテリーは交換しなければいけないタイミングでした」
そんな時、“キャンピングカーのリセールバリューが高い”という話を聞いて、中古車販売店での査定を行った一味たかさん。
査定金額で残りのローンを支払い、次のクルマの購入資金に回せば、自分が欲しかった装備をそろえて新車を買っても、それまで払っていたローンと変わらない、ということに気づいた。
そして、新しいキャンピングカーに乗り換えることに。選んだ新車は今までと同じ「クレア」だった。
「電源システムがハイパーエボリューションにバージョンアップしました。オーニングも付けて、フロントマスクは前回と同じようにカスタムしています」
「ワンちゃんとの旅行をするので、バッテリー強化が必要でした。おかげで安心してクーラーが使えるようになりました」。
これまでと同じ支払いで、より高性能なキャンピングカーを手に入れた一味たかさん。それは、まさにリセールバリューの恩恵といえる。
買い替えでキャンピングカーのステップアップを実現
乗り換えたモデルは同じであったが、オーニング、リチウムイオンバッテリーなど、以前のキャンピングカーより快適な装備が充実している。
さらに、この3年の間に車両価格も上昇しており、前回、キャンピングカーを買った時よりも全体の費用はアップしていたという。
この資金をカバーしたのが、以前乗っていたキャンピングカーを売ったお金だった。ローンが残っていたが、その残債を支払っても、次のクルマの資金にすることができたのは、中古車価格が高かったことに理由がある。
中古車ディーラー「フジカーズ神戸西宮店」に聞いた、キャンピングカーのリセールバリュー
一味たかさんの車両を買い取ったのはフジカーズ神戸西宮店。そこで、同店の水野店長にキャンピングカーのリセールバリューについて聞いた。
「キャンピングカーの中古車価格は年々上昇していると思います。それにともなって、買い取り価格も上がっているのが現状です。新車でキャンピングカーを購入しようとしても、納期も長く、なかなか手に入らないので、すぐに乗り始められる中古車が注目されているようです」と水野店長。
現在、キャンピングカーを新車で購入しようとすると、納車までの時間がかかっている。キャンピングカーに乗りたいタイミングは「今」という人が多いなか、すぐに乗り出すことができる中古車に人気が集まるのは必然といえる。
よって、キャンピングカーの中古車市場も活発で、リセールバリューも高くなっているのだ。以前からキャンピングカーの資産価値は下がりにくい、といわれていたが、近年はさらにその傾向が強い。
しかしその半面、価格が高騰しているキャンピングカーには特徴があると水野店長はいう。
「全般に人気がありますが、高年式モデルに人気が集中しています。古い年式のモデルはそれほど価格が上がっていませんので、買い取り価格も以前とあまり変わっていません。もし、高年式のキャンピングカーオーナーさんで乗り換えを考えているのであれば、早めに相談されることをおすすめします」。
また、買い取り金額が高いとしても、次のキャンピングカーが納車されるまでの時間がかかることも考慮しなければならないという。
しばらく、キャンピングカーなしの生活、その期間を我慢できるかがポイントになるのだ。
文:渡辺圭史
取材協力:一味たか、フジカーズ
出典:カーネル2023年1月号vol.58