【概要】EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド)の特徴や違い、使い道、車種などを紹介。電動化の進むクルマで車中泊やキャンプをするための可能性について解説。
クルマに積んである電池、キャンプや車中泊に使えないの?
近年、自動車業界で騒がれているのが「クルマの電動化」だ。クルマにモーターと電池を組み込んで、カーボンニュートラルを目指すという。そこで気になるのが電池だ。「クルマに積んである電池をキャンプや車中泊に使えないの?」ということ。実際に、どのようなクルマがあり、どんな使い道があるのかを紹介しよう。
第一章 EV(電気自動車)の現在位置
コンセント付きは少数派だがそのポテンシャルは高い
EV(電気自動車)が、その内に抱える二次電池には、大きな電力が蓄えられている。2010年に初代が登場し、今は第2世代となっている日産リーフでは、40kWhと60kWhの2タイプが販売されている。
日本の一般家庭が1日に利用する電力は12kWh程度であることを考えると、満充電のリーフ1台で3~5日分の電力を賄える。EVの電池の大きさには、HV(ハイブリッド)もPHV(プラグインハイブリッド)も到底かなわないのだ。
EVは車中泊やキャンプで使える?
こうした電力を、キャンプや車中泊に使えれば便利だろう。まず、EVの電力を使うときに、大きな音や排気ガスが発生しないのがいい。深夜であろうとも、どこであろうとも、静かで、クリーンで周りに迷惑をかけないからだ。
照明にも使えるし、調理や暖房にも使える。クルマにあるエアコンも、エンジンがないから、真夜中に使っても問題はない。
ところが、現実に目を向けると、意外なことだが、キャンプや車中泊に向いたEVは少ない。ほとんどのEVには、家電などに使えるAC(交流)の100Vコンセントが付いていない。標準装備とかオプションではなく、そもそも、そうした設定が存在しないEVが多いのだ。
もちろんEVの電池を外部で利用しようという考えは、珍しいものではない。初の本格量産EVである、日産のリーフや三菱のアイミーブが登場した直後から、EVの電池を外で使うための外部給電装置が発売されている。
しかし、その装置が大型で、50万~100万円と高額だった。キャンプに気軽に持っていくのではなく、万一の災害時に使う据え置き型装置の色合いが濃かったのだ。
そういう意味では、数ある量産EVのなかで、初めからAC100Vコンセントの「パワープラグ」を標準装備する日産の「e-NV200」は貴重だ。しかも、ベースとなる「NV200」は、キャンピングカーとしても利用されている。
つまり、改造用キットやノウハウが十分にそろっている。これほどEVキャンピングカーに向いているクルマはほかにないのだ。
・〈コラム〉日産 e-NV200 給電機能付きの本格商用EV
日産の人気商用バンをベースにEV化されたのが「e-NV200」だ。ユニークな点はAC100Vのコンセント2つを備える「パワープラグ」を全車標準装備とすること。
搭載した駆動用の二次電池から外部へ、1000Wの電力を最大で約15時間も供給できるのだ。車両価格は、バン仕様で約400万円(2人乗りと5人乗り)、ワゴン仕様で約460万~476万円(5人乗りと7人乗り)。