【概要】クルマ業界のリーディングカンパニー・トヨタが、被災時を想定した車中泊避難の実践講座を開催。「“命を守る”ということを最大の目的とする」、その内容を紹介。
トヨタが開催した画期的な試み
熊本地震により「車中泊避難」がクローズアップされてから5年以上が経過した。その間、車中泊雑誌『カーネル』は、さまざまな問題を抱えながらも、今後必須となる車中泊避難の知識を紹介しつつ、進むべき道を模索してきた。
そして、『カーネル』同様に車中泊避難に対して、行動を起こしたのがトヨタ自動車だ。
まずは社内向けではあるが、車中泊避難についてのセミナーなどを実施。今後、熊本地震同様の災害が起こった場合に備えて、いち早く「自動車メーカー」の枠組みを超えて対処できるように、多くの取り組みを進めている。
そのなかで開催されたのが、今回の「モビリタ車中泊避難実践講座」だ。富士スピードウェイ内にある「トヨタ交通安全センター モビリタ」を使用。
参加者にはマイカーで来てもらい、実際に車中泊できるシートアレンジに挑戦していただくという斬新な企画を実施した。
さらに、「エコノミークラス症候群」については榛沢和彦氏、「睡眠」については甲斐田幸佐氏という、両分野における興味深い講義もあり、濃密かつバラエティ豊かな講座となっていた。
今回はモビリタでの運転実技講習もプログラムに盛り込まれ、ギッシリした内容を受講した参加者の皆さん。改めて気づきの多かった一日となったようだ。
今後はトヨタ社内だけでなく、一般参加者も視野に入れて、この車中泊避難講座を進めていきたいという同社。もちろん『カーネル』も全面的に協力していきたい。
文:大橋保之(カーネル)
撮影協力:トヨタ自動車、トヨタ交通安全センター モビリタ
出典:カーネル2022年3月号vol.53