【概要】2021年12月にフルモデルチェンジしたダイハツ・ハイゼットカーゴ、アトレーの紹介。車中泊での使い勝手や注目ポイントなど。また旧ハイゼットカーゴ―オーナーの車中泊YouTuber・ちょもかさんによる新車チェックも。
先代の弱点を全解消! 名実ともにクラストップに
2004年から17年間にわたって生産されてきた10代目ハイゼットカーゴ。2度のマイナーチェンジと数回の仕様変更を行うことで、驚くほどのロングライフを誇ったモデルだが、2021年12月についにフルモデルチェンジを果たした。同時に、兄弟車のアトレーも一新している。
さて、先代のハイゼットカーゴといえば、市場では登録台数ナンバーワンを記録してきたが、室内寸法がエブリイに劣っていたことから、車中泊派には賛否両論のモデルであった。しかし今回のモデルチェンジによって、先代の弱点をすべて解消。名実ともにクラストップに立った。
新型はDNGAに基づき設計されており、ボディ、パワートレーンなどを一新。ボディは衝突安全性などを向上しただけでなく、よりユーザーフレンドリーなデザインとなった。
一見すると、エブリイを強く意識していることが感じられるが、アトレー、ハイゼットカーゴとも現代的で好感のもてる顔付きになっている。
最大の進化は車内空間で、実用サイズが拡大しただけでなく、車内の出っ張りを極力解消。荷物の積載、そして車中泊でストレスなく使えるように熟考されている。
アトレーは、従来はハイゼットカーゴの5ナンバー軽ワゴン版という位置づけだったが、あえて4ナンバーに変更。これはレジャー派の荷物が増加傾向にあることを鑑みたもので、セカンドシートはリクライニングしなくなったものの、フラットな荷室と350kgの最大積載量を可能にした。
その他、パワートレーンなども新しくし、魅力が大幅にアップした両モデル。アクティブ派にぴったりの一台だ。
ハイゼットカーゴ&アトレーの注目ポイント!
荷室が大幅に使いやすくなった
ハイゼットカーゴは言うまでもないが、アトレーもまた完全フラットな荷室を実現。さらにサイドや床面に従来はあった出っ張りをほぼなくし、デッドスペースを解消している。
床面が完全フラットになったことで、車中泊などのレジャーユースでの快適性もグッと向上。もちろん、各車内寸法も拡大している。
写真はハイゼットカーゴのクルーズ系で、他の2グレードは助手席もフラットになる。
ユーザーフレンドリーにイメチェン
従来はグリル部分とバンパー部分がクッキリと分かれ、ヘッドライトも吊り目だった。しかし、表情を若干柔和にして、ハイゼットトラックに近い色使いをトップグレードにしている。
なお、ぶつけたときにパーツ交換がしやすいように、上下二分割のバンパーを採用。プロユースを意識したベーシックグレードは、交換費用が抑えられる無塗装バンパーを採用している。これにより、従来のイメージを欲している人にも対応している。
アトレーにもデッキバンがラインアップ
一部のプロに愛用されていたハイゼットカーゴのデッキバン。バンとトラックのメリットを両取りしたボディバリエーションだが、レジャー派にも注目されていた。
今回のフルモデルチェンジで、アトレーにもデッキバンをラインアップ。4名乗車を実現しながら、マリンスポーツやアウトドアのアイテムを、気兼ねなく荷台に積載できるようになった。
また、ハイゼットカーゴのデッキバンとは一線を画すカラーリングも設定されている。
CVT採用で運転しやすくなった
660ccという限られた排気量、しかも荷物を満載する機会が多い軽バン、特にAT車にとって急坂は嫌なシチュエーションといえる。
力強いトルクを得るには低速ギアがいいのだが、変速スケジュールによってはギアアップ&ギアダウンしたり、変速ショックが気になったり……。
そんなストレスを解消し、燃費向上のために採用されたのが、無段変速のCVTだ。このアトレー、ハイゼットカーゴのためにFR用CVTが新開発された。
クラス最高の使い勝手! ハイゼットカーゴ徹底チェック!
グレード
グレード構成は全5タイプ。ターボ車は1グレードで、あとはNA車。今後、デラックスをベースにしたキャピングカーが多く発売されそうだ。
スペック(クルーズ 2WD 5MT)
●全長3395×全幅1475×全高1890mm ●車両重量:900kg ●最小回転半径:4.2m ●エンジン:658cc 直3DPHC ●最高出力:47kW[64PS] ●最大トルク:91N・m[9.3kg・m] ●WLTCモード燃費:14.7km/ℓ
エブリイをしのぐ荷室寸法とユーティリティ
新型は従来型よりも、荷室長+55mm(1915mm)、荷室高+15mm(1250mm)、荷室幅+35mm(1410mm)と大幅にサイズアップ。結果、エブリイよりも広い荷室を実現し、クラストップのスペースユーティリティを誇っている。
オプションで車中泊もラクラク
スペシャル系のセカンドベンチシートをフラットにしたときに、シートのつなぎ目を消す荷室マットをオプション設定。室内の収納ラックやルーフラック、ドレスアップパーツなど、レジャーで便利に使えるアイテムが豊富だ。
ライフスタイルに合わせたグレード選びが可能
上位2グレードは運転席・助手席のシートが豪華版で、後部席も左右分割タイプ。ロアグレード2つは、後部席がベンチとなる。インパネは全グレード共通だが、上位2グレードにはカーナビ用のスペースがある。
4ナンバーになった! アトレー徹底チェック!
乗用車らしいスタイリッシュな外観
新型アトレーは軽4ナンバー登録だが、位置づけとしてはハイゼットカーゴの乗用車系になっている。そのため、デザインの一部で差別化を図り、メッキパーツを多用。インテリアも豪華仕様になっている。
スペック(RS 2WD)
●全長3395×全幅1475×全高1890mm ●車両重量:970kg ●最小回転半径:4.2m ●エンジン:658cc直3DOHCインタークーラーターボ ●最高出力:34kW[46PS] ●最大トルク:60N・m[6.1kg ●WLTCモード燃費:14.9km/ℓ
完全フラットな荷室に変貌
従来型ではシートの快適性を重視したため、シートをフラットにしたときに床面が波打ち、凹凸も多かった。新型ではハイゼットカーゴ譲りの完全フラットな荷室を実現し、車内寸法、室内容積も向上している。
防水フロアでアウトドアライフにピッタリ
従来型ではフェルト系の床材が使われていたが、清掃が面倒だった。そこで防水性のあるイージーケアフロアを採用し、濡れたり汚れたりしても、サッとふけるようにした。まさにアウトドアユースにぴったりだ。
アウトドア向けのオプションも豊富
車内でテーブルやベッドとして使える「収納式デッキボード」や、カーテン、収納のための天井ラックなど、アウトドアユースを意識した純正オプションを設定。これらを取り付ければ、すぐに車中泊仕様になる。
まだまだあるぞ!両モデル共通ポイント
両側パワースライドドアを採用
アトレーのRS、デッキバンに標準装備されている両側パワースライドドア。ハイゼットカーゴの一部グレードにオプション設定されている。乗降や荷物積載時に役立つ快適装備だ。両側イージークローザーも同時に採用された。
ウェルカムオープン機能で荷物の積載もラクラク
下車時にあらかじめスイッチを押しておけば、カードキーを持って車両に近づけば自動でドアオープン。両手がふさがるような状況で重宝する機能だ。アトレーのRS、デッキバンに標準装備。
電子制御4WDをクラス初採
前後に最適な駆動トルクを配分するフルタイム4WDと直結4WDが選べるシステムをクラスで初採用。降雪地や未舗装のキャンプ場などで大いに威力を発揮してくれる。
アクティブに使える撥水性シート生地
アトレー、およびハイゼットカーゴのクルーズターボ、クルーズ、デッキバンGに全席撥水シート生地を採用。デラックスとデッキバンLには前席のみ採用している。アウトドアユースにぴったりだ。
デジタルミラーで視認性アップ
デジタルミラーと鏡面の切り替えが可能なルームミラーを採用し、荷物満載で後方が見えない場合でも安心して乗ることができる。ミラーのモニターはバックカメラとも連動している。
安全装備もグレードアップアトレーにはACCを採用
ハイゼットカーゴは全13種類、アトレーは全14種類の安全機能を標準装備。特にアトレーには、軽バン初となるアダプティブ・クルーズ・コントロールが標準装備となり、高速道路での利便性が向上した。
文:山崎友貴