涼しくて過ごしやすい! ただし朝晩の冷え込みには要注意
家族一緒にまとまった休みが取れるゴールデンウィークや夏休みが、キャンプのオンシーズンだと言われることが多いけれど、本当のベストシーズンは秋だという人も多い。
そう言われる要因のひとつは“過ごしやすさ”。春のようにスギ花粉に悩まされることもなければ、夏のように猛暑や酷暑といった暑さもない。
また蚊やブユのような吸血虫が姿を潜めるので、本当にリラックスできる。そして涼しくなるから、焚き火も思う存分楽しめるというわけだ。
ただし日中は暖かくても、朝晩の冷え込みは厳しくなるので、防寒装備は万全にして出かけよう。薄手のジャケットはもちろん、フリースなどの中間着も準備しておきたい。
また標高の高いところにあるキャンプ場に出かける場合は、大げさかなと思っても、真冬の装備を準備していくようにしよう。そうすれば、天候の悪化などで想像以上に寒くなっても安心だ。
キャンプ場の選び方
ポイント1 秋を楽しめるキャンプ場を選ぼう
秋の気候や自然を楽しむだけでもいいけれど、秋だからこそ楽しめるキャンプ場に出かけてみては?
例えば「紅葉狩り」のできるキャンプ場や、体が温まって熟睡できる「温泉施設」があるキャンプ場、ハロウィンパーティーや大収穫祭など、秋ならではの「イベント」があるキャンプ場も多い。
そんなキャンプ場を選べば、きっと印象に残る秋キャンプになるはずだ。
ポイント2 注意! 冬季閉鎖のキャンプ場は寒い
11月下旬から春までのあいだ閉鎖するキャンプ場は、冬に水道が凍ったりするほど冷え込むこともある。
そんなことを考えると、秋キャンプでも通年開設のキャンプ場に比べて冷える可能性が高い。帽子や手袋、フリースなどの中間着といった防寒装備をしっかりと準備して出かけよう。
持ち物のチェックをしておこう
ポイント3 ガスカートリッジは寒さに弱い
アウトドアガスカートリッジ(OD缶)やカセットガスカートリッジ(CB缶)を燃料とする燃焼器具は、気温が低くなると気化熱の影響でカートリッジが冷え、火力を得にくくなる。冷え込む秋口の夜などは、バーナーの火力が落ちたり、ランタンの光が暗くなったりすることも。
CB缶のほうがOD缶よりも寒さに弱いので、ガス器具ならOD缶モデルを選ぼう。ガソリンモデルなら寒さに強いので、不安な人はガソリンモデルを準備しよう。
ポイント4 キャンプ場のレンタルをチェック
「自分のシュラフでは寒いかも……」と心配な人は、キャンプ場に毛布やシュラフのレンタルがあるかどうかチェックしておこう。
キャンプ当日、寒くて寝られるかどうか不安になったら、レンタルの毛布やシュラフを自分のシュラフと重ねて使うのもありだ。
冬用シュラフのレンタルがあれば、そちらを借りてもいい。ただし、当日に言っても借りられないこともあるので、事前にレンタルが可能かどうかを確認しておこう。
秋キャンプに行く前に、用意しておきたいギア
ポイント5 リビングを秋キャン仕様に
日中は暖かくて過ごしやすいけれど、日が落ちると気温が徐々に下がって、寒さを感じるようになるのが秋キャンプ。
そこで、夏まで使用していたチェアやベンチ、テーブルにアイテムをプラスして、気温が下がっても快適に過ごせる“秋キャン仕様”にしてみよう。
チェアやベンチは、カバーをかけることで腰まわりの冷えを防止。腰まわりを温かくすれば、体全体も温かく感じられる。
そしてテーブルには火鉢代わりにBBQグリルをセット。炭をおこして暖を取れば、思った以上に暖かく過ごすことができる。もちろん卓上BBQもOKだ。
ポイント6 汗冷えせず保温性があるウエアでレイヤリング
日中は暖かく、朝夕は寒い秋キャンプでは、ウエアを上手に重ね着することで温度調節ができるようにするのが基本。
いちばん下に速乾性のアンダーウエア、その上には薄手フリースなどのミッドウエア、外側には風を通さないアウターウエアを着ることで、変わりやすい気温に対応しよう。
ミッドウエアから上は、脱ぎ着しやすいフロントジップがおすすめ。
ポイント7 焚き火の火の粉にコットンブランケット
焚き火を楽しんでいるときには、飛んでくる火の粉に要注意。化繊のウエアは火の粉に触れると簡単に穴が空いてしまう。
しかしコットン製のブランケットをかけていれば、火の粉からお気に入りのウエアを守ってくれる。コットンは火に強い素材なので、火の粉が少々触れたぐらいでは焦げたりしないので安心だ。
ブランケットの用意が難しいようなら、コットン製のズボンやジャケットを着ていれば、穴が空く心配はない。
ポイント8 焚き火の足元にはLEDランタン
夜の焚き火では、炎がとても明るいので足元は暗くなりがち。そんなときに、足元にある薪などに気が付かず、子どもがつまずいて焚き火の上に転んでしまったら大変だ。
そんなことにならないよう、焚き火のそば、とくに薪などが置いてあるところにはLEDランタンを置いて、足元がよく見えるようにしておこう。
お酒を飲んでほろ酔いになっているお父さんの安全のためにも、ぜひ準備しておこう。
ポイント9 体の中を温めるのに便利なボトル類
焚き火やウエアで暖まるのも必要だけれど、温かいものを飲んで体の中から暖を取るのも、秋キャンプにはおすすめだ。
ホットドリンクを保温ボトルに入れておけば長時間保温できるので、時間が経っても温かいまま飲むことができて便利。
また気軽に温め直しができるシェラカップやマグカップも、寒いときには重宝するアイテムなので準備しておきたい。
ポイント10 フィールドでお湯が出れば洗い物も楽
炊事棟に給湯器があるキャンプ場ならいいけれど、水しか出ない場合は油汚れが落としにくい。とくに気温が低くなる秋口は水温も下がってしまうので、油が冷えて固まり、かなり落としにくくなる。
それをしっかり落とそうと思うと洗剤の量も増えてしまうので、エコロジーの面でも抵抗を感じてしまう。
そんなときにあると便利なのが、サイトでお湯が使えるようになるアイテムだ。こんなアイテムがあれば洗い物も簡単だし、自然にも優しくできる。
就寝時の防寒対策も忘れずに
ポイント11 キャンプ地の気温に適した寝袋
秋キャンプを快適にするには、寝袋選びが重要。夜寒くて寝られないことほどつらいものはない。秋キャンプをつらい思い出にしないために、選び方のポイントを押さえておこう。
ポイントとなるのは寝袋の「快適温度」。この気温なら快適に寝られるという目安だ。キャンプ地の最低気温からマイナス5℃の快適温度のモデルを選べば安眠できる。
ポイント12 分厚いインフレーターマットがトレンド
寒い季節の睡眠では、地面から上がってくる冷気も大敵。せっかく温かい寝袋を用意しても、地面からの冷気を遮るものがなくては、寝袋の効果も発揮できない。やはり断熱性の高いマットが必要だ。
最近は、断熱効果の高い厚さ10cm前後のインフレーターマットが多くのメーカーから登場。エアマットのように空気が抜けにくく、電動ポンプも必要ないので便利だ。収納袋がポンプ代わりになるモデルが多いので、さらに空気を注入したいときも楽に行える。
またバルブが大きいので空気が抜きやすく、収納が楽に行えるのもうれしい。
ポイント13 寒いかな? と思ったらインナーを追加
持っている寝袋ではちょっと寒いかもしれないとは思っても、冬用の寝袋を購入するのは、経済的な負担になるから躊躇してしまう。
そんな人は、リーズナブルなインナーシュラフやブランケットを追加しよう。冬用寝袋までは温かくならないかもしれないが、標高が高いなど真冬並みの気温でなければ、秋口のキャンプにも十分対応できる。
それでも寒いと感じたら、さらにフリースなどの防寒着を着て寝るのもおすすめだ。
万が一に備えて準備をしておくのが大切
ポイント14 スズメバチが凶暴になるのは秋
スズメバチは7~10月にかけて活発に活動するが、とくに攻撃的なのが秋。新女王バチが羽化し、たくさんのエサが必要な時期にも関わらず、エサとなる昆虫が少なく気が立っている。
香りの強い化粧品や香水、甘いにおいのお菓子やジュースにも寄ってくることがあるので、香水は付けず、お菓子やジュースはこまめにしまっておこう。
もし刺されたらその場から50m以上離れ、患部を水洗いしてポイズンリムーバーで毒を吸い出し、ステロイド軟膏や抗ヒスタミン軟膏を塗って直ちに病院へ。
ポイント15 夏とは違う紫外線に注意
真夏に比べると紫外線量は減るものの、9~10月は初夏と同じくらいの紫外線が降り注ぐ。また、秋は太陽の位置が低いため、日差しは斜め上から降り注ぎ、首筋や顔全体にまんべんなく当たることになる。
日焼けが気になる人は、夏と同様、日焼け止めを準備しておこう。日焼けをすると疲れやすくなり、ケガにつながることもあるので注意しよう。
※こちらの記事はGARVY2020年10月号掲載の企画を再編集したものです
文:牛島義之
写真:佐藤弘樹
撮影協力:ボスコオートキャンプベース
転載元:GARVY2020年10月号