大抵の料理ができる! しかも、おいしくなる魔法の鍋
アメリカの西部開拓時代から愛されているダッチオーブン。焼く・煮る・蒸す・揚げるくらいはほかの鍋でもできるけれど、名前のとおり、フタに炭や薪を載せれば丸鶏のロースト、グラタン、パンといったオーブン料理も作れるのが特徴だ。
また、全体にどっしりしていて、スタンドを使えば重ねて調理ができるなど唯一無二の機能も。それに、そうそうフタが持ち上がらないのでうまみを閉じ込め、ただのローストがワンランク上の味わいになる魔法の鍋なのだ。
▼ダッチオーブン、だからおいしいレシピ▼
どの大きさがおすすめ?
日本では、直径8インチ(約20cm)〜12インチ(約30cm)が主流。憧れの丸鶏ローストをするなら12インチで深めを選択しよう。
火のコントロールがやや難しいが、丸鶏が小さければ10インチでもなんとかなる。日常的に使うならIH対応で8〜10インチが扱いやすい。
ダッチオーブンの魅力ってなに?
ほかのクッカーとの違いはその重厚感。熱が均一に行き渡るし、フタの上に薪や炭を載せてもフタがゆがむことはない。
それにフタが浮き上がることもないからうまみが逃げず、パサつかない。なんでもおいしくなるのだからやめられない!
1.重厚感がうまみを逃がさない
ダッチオーブンの重量は、8インチであっても3kg、4kg なんて当たり前。重く持ち運ぶのは大変だが、分厚い鉄やステンレスだから熱が集中せず、蒸気も逃げない。うまみを閉じ込めて離さないのだ。
2.上火を使えて料理の幅が広がる
ダッチオーブンのフタは重厚かつ、フチがあるので熱々の炭を載せても転がり落ちない。上からも下からも加熱できるので野外でオーブン料理ができる。
3.でっかい肉を焦がさず、芯まで火を通す
四方から均一な熱が伝わるので、ローストビーフや丸鶏のローストなどでっかい肉でも、ほったらかすだけで表面を焦がすことなく芯までじっくり火が通る。
4.蓄熱性抜群だから火から下ろしても熱々
熱源から下ろしてテーブルにサーブしてもしばらくグツグツ! 当然、料理が冷めにくいので、寒い時期でもずーっと温かい。秋冬キャンプでは何よりのごちそうだ。
5.フタがスキレット代わりに
一部で見られるフタ裏にデコボコが付いたものは少々厳しいが、フタをひっくり返して鉄板やスキレットのように炒め物ができる!
6.地面に置ける脚付き
一部のダッチオーブンには鍋底に脚が付いているものがある。脚があると家庭のガスコンロでは扱いづらいが、炭に載せた時、炭が崩れても倒れないし、土の上にそのまま置ける。ダッチオーブンを重ねて調理することも!
7.重ねて調理をすれば熱を無駄にしない
スタンドを使うことで重ねて調理できる。フタの上に載せた炭が上の鍋の熱源となるので無駄がない。
ダッチオーブンの素材は?
大きく分けると下記の3種類。それぞれの特徴をチェック!
鋳鉄製
伝統のダッチオーブン。使用するたびに湯沸かしをして汚れを落として乾燥、薄く油を塗ることで油がなじみ、焦げにくい鍋になる。鍋を育てる楽しさは格別だ。錆の不安はあるが、サイズも形状も豊富で自分好みの鍋を見つけやすい。
ステンレス製
伝統の鉄製ダッチオーブン並みの重厚感を踏襲しつつ、食材を入れっぱなしでも錆びにくいステンレスの利点をいかしており扱いやすい。洗剤使用可。
黒皮鉄板製
鉄板生まれなのでフタと鍋の隙間がピタッ。酸化皮膜を作っているので鉄製であっても洗剤使用可。ただし、鉄製なので料理を一晩ほったらかしにしてはおけない。比較的衝撃やヒートショックにも強いことも利点のひとつになっている。
扱いやすい鉄鍋に育てる第一歩、シーズニング
最近はシーズニング不要の鉄製ダッチオーブンが増えている。とはいえ、万一、ダッチオーブンが錆びてしまったら、金ダワシで錆を落とした後、もう一度最初からシーズニングをしなおせばいいので、シーズニングの手順を覚えておいて損はない。
フタと本体を洗剤で洗った後、煙が出るまで熱して防錆加工を焼き切る。無塩植物性オイルをたらしてフタも鍋も外側にも塗り広げて熱し、オイルを拭き取る(3回)。野菜くずを炒めて鉄臭さを取り除き、薄くオイルを塗り完全に冷まして保管。
教えてくれたのは……Heroのイベントディレクター・石橋拓土さん
関東・東海地方の手ぶらで利用できるBBQ会場を提供する「Hero」のイベントディレクター。野外料理の楽しさを広めるため、全国の会場を駆け巡る。今年は動画で野外料理の知恵やマナーを提供中。
若洲アウトドアセンター
石橋さんが所属する「Hero」が運営。手ぶらでバーベキューのプラン、道具のみレンタル、燃料の販売など若洲公園でのキャンプとバーベキューをサポート。
出典:GARVY 2020年10月号
写真:佐藤弘樹
文:大森弘惠
制作:カーネル