「いい車を大切に、長く乗っている」ことも、“車中泊の達人”の条件のひとつではないだろうか。
上の写真に写っているのは、そんなふたりの達人。片や、なんと走行距離45万kmを超えるバンコンを所有。埼玉の人気キャンピングカー・ビルダーである「ティピーアウトドアデザイン」の代表・神木勇さんだ(写真左)。
片や同社で腕を振るう菅野勝明さん(写真右)。こちらは21年落ちのキャブコンで、日々、家族キャンプを楽しんでいるという。
今回は菅野勝明さんの車中泊スタイルを紹介しよう。
「家族4人の家」をテーマにカスタイマイズ
オーナー 菅野勝明さん
ティピーアウトドアデザインで辣腕を振るうハイエースのプロフェッショナル。家族4人を支える大黒柱でもあり、JAC公認オートキャンプインストラクターの資格ももつ。私的キャンプ中、今回の取材を受けていただき本当に感謝!
4年前に購入した21年落ちのキャブコン、アネックス社のニューマックスが菅野さんの愛車。走行距離はそれほどでもないが、年式が古いため、たびたび不具合に悩まされた。現在ではほぼノートラブル! 菅野さんは購入後、70泊以上を同車でしている。
同車のテーマは「家族4人の家」だという。
「この車でイベントに行ったとき、子どもが友だちに『ウチくる?』って言ったんですよね」と菅野さんは微笑む。
元々キャンプ歴は約20年。アウトドアにはよく出かけていたが、4年前に同車を購入して、人生の変化を実感。
21年落ちだけに、最初は様々なアクシデントに見舞われたようだが、そのたびに手を入れ、現在ではまさに「ウチ」と呼べる存在に。
「自分流のカスタムはしていますが、基本はマイナス面を埋める作業がメイン。でも、せっかく古い年式のクルマを買ったので、その風合いも大切にしたいですね」。
キャンピングカー+ワンポールテントの車中泊キャンプ!
キャンピングカーを「ウチ」と称するだけあって、菅野さんの車中泊スタイルはあくまで「日常の延長」を意識したもの。そこに「キャンプ」要素が加われば、「非日常」のアウトドアの楽しみも加味される。
キャブコンにプラスして、いま流行りのワンポールテントも使用。薪ストーブで暖をとりながら、リビングとして活用する。
カーサイドオーニングはキッチンに。そして就寝は車内。各スペースを割りきって使用できるのも車中泊キャンプの強み。
カーサイドオーニングはキッチンに
簡易なスタイルを好む車中泊ユーザーのなかでは、最近あまり見なくなったコールマン・ツーバーナー。ホワイトガソリン仕様でポンピングを必要とする本格派バーナーをメインに、キッチンをレイアウト。
クラシックランタンやペリカンケース(密閉ボックス)など、こだわりのアイテムがキッチンスペースを彩る。
いま大人気のDODワンポールテント
スタイリッシュなワンポールテントは、人気のDODテント。大きなレンコン窓(換気窓)が特徴的で、約390×390×260cmという室内スペースは家族4人ならジャストサイズ。
保温ボトルやランタンなどを置く木製ラック、テント内を温めてくれる薪ストーブは、DODテントの雰囲気にぴったりフィット。
テントを換気しつつ、念のため、一酸化炭素センサーもテント内に設置している。
快適車内は就寝スペース兼パーティルーム!
バンクベッドに2名、ソファベッドに2名がゆったり就寝。
悪天候時や寒いときは、子どもたちの遊び場としても重宝する
室内の快適装備はDIYで!
車内のキッチンスペースには菅野さんの自作ラックを装着。キャンプの場合、野外での調理がメインとなるので、キッチン機能よりも、細かな小物を整理できる収納スペースを増やしている。
開閉式の棚の下にある収納スペースを増設。
大きな音が気になっていた換気扇はPC用ファンに変更。ともに菅野さんのDIYによるものだ。室内をより快適にする工夫はさらに増加中。
新旧装備をともに活用する!
LPガスが装備されているところは、さすが平成9年型。ソーラーシステムももちろん稼働。
特筆すべきは、菅野さんの手によるドアロックのキーレス化。ドアにカンヌキ錠を付け、リモコンで操作できるようにしている。
写真:松木雄一
出典:カーネル vol.43 2019秋号