【モデルコースの概要】ポイントを絞って、必ず行きたい場所を「狙い撃ち」
餃子の街「宇都宮」でお腹を満たした後、さくら市にある「喜連川温泉」でくつろぎ、色づく「日塩もみじライン」で塩原温泉郷を目指すこのルートは、野球に例えていうと、確実にストライクが取れる「変化球」だ。
「直球」は日光を加えた二泊三日のガイドになるが、この時期の日光は年間で最も混み合うため、渋滞にはまると目論見通りに行動できなくなる。リスクを避けて実を取ることは、車中泊の「旅行術」のひとつといえよう。
モデルルート
【スタート】 来らっせ本店
↓ 約22キロ・クルマで40分
喜連川早乙女温泉
↓ 約4キロ・クルマで5分
道の駅きつれがわ
↓ 約44キロ・クルマで1時間
龍王峡
↓ 約4キロ・クルマで5分
峠の茶屋白滝ドライブイン
↓ 約18キロ・クルマで20分
塩原温泉交流広場<車中泊>
↓ 約32キロ・クルマで40分
鹿の湯
↓ 約6キロ・クルマで10分
那須ロープウェイ山麓駅
↓ ロープウェイで約4分
【ゴール】 那須ロープウェイ山頂駅
餃子の町・宇都宮
一世帯あたりの餃子購入額が、全国で常に上位にランクされる宇都宮。市内には、餃子を扱う店が200軒以上あるといわれているが、そのルーツは満州に駐屯していた陸軍第十四師団が、終戦後に本場中国の餃子の製法を持ち帰ったことにあるという。
宇都宮餃子の特徴
もともとの中国の餃子レシピを踏襲し、白菜を中心に野菜が多く使われている。
旅行者におすすめなのは、名店ぞろいの「来らっせ本店」
「宇都宮餃子会」直営の餃子のテーマパークで、「常設店舗」には5つの餃子専門店があり、「日替わり店舗」では宇都宮餃子会加盟33店舗の餃子が日替わりで食べられる。
SAで宇都宮餃子を食べるなら、東北自動車道「上河内SA」
東北自動車道の青森方面行き(下り線)にある上河内SAのフードコートには、宇都宮餃子の専門店「豚嘻嘻(とんきっき)」があり、焼きたて餃子が食べられる。
日本三大美肌の湯・喜連川温泉
喜連川温泉は、佐賀県の「嬉野温泉」、島根県の「斐ひ乃の上かみ温泉」とともに、「日本三大美肌の湯」として、全国にその名を知られている。
お湯は茶褐色のナトリウム塩化物泉(弱アルカリ性高温泉)で、温泉街はないが、4つの共同浴場を有している。
写真は温泉マニアに人気の高い、硫黄が香る早乙女温泉。少し離れた場所にあって入浴料も高めだが、喜連川温泉に行くなら、ここがべストの温泉館といえるだろう。なお早乙女温泉でも1500円で3軒に入湯できる「湯めぐり温泉手形」が使える。
「三大美肌の湯」とは……
日本の温泉成分などを調査する「中央温泉研究所」と、温泉旅行博士の称号を持つ評論家・藤田聡氏が選出した、上記の3つの温泉とされる。ただし、いつ選定されたのか、また各温泉は「温泉地」を指すのか「特定の施設=源泉」を指しているのかは、明らかにされていない。
喜連川早乙女温泉
大人1100円
10時〜20時(最終受付19時)
木曜定休
無料駐車場あり
※早乙女温泉では、「湯めぐり手形」の利用は可能だが販売はしていない
【車中泊ナビ】2017年4月に温泉併設「道の駅きつれがわ」がリニューアルオープン
道の駅きつれがわは、関東地方で最初に日帰り入浴施設を併設する道の駅として2000年に開駅。その後、2017年4月に大正ロマンをテーマにした内装の新館を増築し、リニューアル。現在に至っている。
首都圏から1泊2日で出かけられる有名な温泉地で、リーズナブルに外湯めぐりが楽しめるところだけに、車中泊ブームと相まって今後ますます利用者が増えることが予想される。
併設している喜連川温泉。大人1回500円、10時〜22時・第2・4月曜定休。良質なナトリウム塩化物泉で、無色透明。内風呂・露天風呂・サウナに加え、水着着用のクアハウスもある。
売店はすこぶる充実しており、弁当や地元の特産品が数多く品ぞろえされている。また隣には周辺の観光情報がよくわかる情報インフォメーションも。
秋は鬼怒川温泉に出て「日塩(にちえん)もみじライン」で塩原温泉までのドライブが◎
「日塩もみじライン」は、鬼怒川温泉と塩原温泉を結ぶ全長28キロの観光道路。標高1000mの高原地帯を走るため、例年10月中頃から色づき、ひと足先に紅葉のドライブが楽しめる。ただしカーブが多く、運転には注意が必要だ。通行料金は620円、途中に休憩施設「峠の茶屋」がある。
龍王峡
日塩もみじラインの手前にある鬼怒川渓谷のビュースポットで、駐車・見学ともに無料。
居心地、泉質、風情の三拍子がそろう北関東屈指の温泉地、塩原温泉郷
箒川(ほうきがわ)の谷あいに、11の温泉地が点在する塩原温泉郷は、紅葉の季節にふさわしい車中泊の旅先だ。最初に元湯温泉が発見されて以降、1000年を超える歴史を有し、温泉郷全体では実に150以上の源泉が存在する。
だが着目すべきはその規模ではない、湯治場風情が残る昔からの共同湯や、ワイルドな無人の混浴露天風呂が、今なおきちんと維持管理されており、温泉郷全体で、多様な温泉ファンのニーズに応えつづけている点にあるだろう。
ひと味違う「湯めぐり手形」
塩原温泉郷の湯めぐり手形は、1年間有効で900円。値段は安いが無料入浴券は1枚しかない。ただし掲載されている温泉施設は、期間中なら何度でも半額で利用でき、リピーターには魅力的だ。塩原もの語り館で販売中。
もみじの湯
箒川のほとりにある混浴露天風呂。古町温泉に建つ「塩原もの語り館」の駐車場にクルマを置き、紅の吊橋を歩いて渡る。女性はバスタオル巻きが認められているが、脱衣所には目隠しがなく、湯船は紅の吊橋や渓流歩道からよく見える。入浴料100円。利用は日中のみ。※写真は11月19日に撮影
散歩は古町温泉街が◎
塩原温泉郷で唯一、温泉街らしい風情が残っているのは古町温泉だ。おすすめは塩原温泉交流広場にクルマを置いて、妙雲寺の先から箒川沿いを歩き、紅の吊橋を渡って温泉街を戻るコース。ゆっくり歩いても1時間ほどで戻ってこられる。
【車中泊】塩原温泉交流広場駐車場
塩原温泉郷には、ここ以外にも七ツ岩吊橋とビジターセンター、さらには源三窟前に、トイレがある無料の観光駐車場がある。利便性が高いのは古町温泉街に近い、この塩原温泉交流広場だろう。ナビは那須塩原商工会塩原支所(☎0287323767)に設定を。
「幅広い受け皿」が魅力
塩原温泉郷は箒川沿いに長く延びた温泉地だ。数日間滞在して全体をまわるには、車中泊場所を変えるほうが便利だろう。さいわいにも、車中泊客専用の宿泊方法までそろえた、高規格オートキャンプ場の塩原グリーンビレッジを筆頭に、道の駅やトイレがある無料の観光駐車場まで、ここには多彩な車中泊スポットが点在しており、各々の都合に応じた選択をすることができる。
秘湯と早い紅葉が魅力 那須高原
那須連山の主峰・茶臼岳(1915m)の山麓に広がるリゾートエリア。麓にはカップルやファミリー向けのレジャー施設ばかりが目立つが、630年開湯と伝わる那須温泉郷まで上ると、殺生石などの史跡や、御用邸の約半分を一般開放した那須平成の森など、自然豊かで落ち着けるエリアに出る。
鹿の湯
「かぶり湯」と呼ばれる独特の入湯法で有名。8時〜17時30分(閉館18時)・無休。大人500円。
那須ロープウェイ
大人往復1,800円(片道950円)、通常8時30分〜16時30分。
【車中泊ナビ】ボルケーノハイウェイ沿いに車中泊スポットが点在
那須高原だけで考えるなら、殺生石園地から大丸温泉間に点在する無料駐車場が候補地になる。トイレがあるのは殺生石園地、那須高原、大丸温泉の3カ所だが、大丸温泉の駐車場は傾斜がきつく、車中泊には適さない。塩原温泉郷を兼ねてまわる場合は、中間付近に位置する道の駅那須高原友愛の森がおすすめだ。
ここにも訪れたい! 那須塩原エリアの注目スポット
塩原温泉郷の「表玄関」 道の駅 湯の香しおばら
ここでも湯めぐり手形が購入できる。
「理想郷」に近い車中泊スポット 塩原グリーンビレッジ
写真の駐車場で車中泊ができる高規格オートキャンプ場。「RVパーク」の料金はクルマ1台550円、入場料ひとり550円、入湯税ひとり100円。宿泊者は福の湯に370円で入湯できる。
塩原温泉郷の情報を入手 塩原もの語り館
1階に塩原観光協会のデスクがあり、塩原温泉郷のマップや、見どころ、食べどころ、温泉などの情報を得ることができる。また湯めぐり手形も購入できる。
営業時間:8時30分〜18時
入館および駐車料金:無料(※資料館入館料:大人300円)
女性に人気の温泉宿 美肌と寛ぎの宿 光雲荘
湯めぐり手形が利用できる温泉宿。美肌効果の高いメタケイ酸を豊富に含む自家源泉が、広々とした和風庭園づくりの露天風呂にかけ流されている
入浴料:800円
営業期間:通年
営業時間:14時〜20時
硫黄の共同温泉 むじなの湯
新湯(あらゆ)温泉にある3つの共同温泉のひとつで、男女別の内湯がある。温泉はpH2.4の強酸性で、硫黄分が強く白濁している。目印は八汐別館で、横の石段を下りた先にある。
入浴料:300円
営業期間:通年
営業時間:7時〜18時(月・金曜は9時〜16時)
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