レンタカー車中泊の達人:栗原さん夫妻

ふたりで日本各地をまわっている旅好き夫婦。じつはマイカーは所有しておらず、これまではレンタカーに車中泊アイテムを積んで、快適化をはかっていた。『カーネル』Vol.39の読者プレゼント「レンタルキャンピングカー使用券」に当選したのがきっかけで、昨年初めてキャンピングカーでの宿泊を経験。
レンタカーだって快適な車中泊仕様にできるんです!
レンタカーを活用した「車中泊の達人」栗原さん夫妻と、カーネル編集部の出会いは、まさかの本誌読者プレゼント。「キャンピングカー無料レンタル券」にご応募いただきみごと当選! その当選報告のときに、「一般乗用車のレンタカーによる車中泊」指南を聞いたのが、この企画のキッカケだった。

栗原さんの読プレ当選旅のレポートはvol.42に掲載。このときはレンタルキャンピングカーで旅をした。
聞けば栗原さんは、自分で車を所有していない。しかし、車中泊を含むクルマ旅には、一年に20日間ほど行くという。まず我々の頭に浮かんだのは、ただ単に一般車のレンタカーのシートを倒して、仮眠するイメージだ。
「いや違うんです。北海道のような離れた場所に飛行機でアプローチするとき、現地でレンタカーを借ります。だから、前もってレンタカーに合わせた車中泊アイテムを、一式送ってしまいます(笑)。そして、レンタカーを快適な車中泊仕様に変えて、クルマ旅を楽しむのです」
いや栗原さん、ちょっと待ってください!! レンタカーって、旅が終わったら返却しなきゃいけないんですよ!?
「だから私たちのアイテムは、すべて原状復帰が原則。レンタカー返却時に、元に戻せる簡易カスタムしか行いません」
その後、見せていただいたのが、下で紹介しているアイテム一式だ。クルマ旅を重ねていくなかで、試行錯誤の末、ふたりで厳選していったものばかり。しかも、その進化はまだ続いているという。
「先日、ポータブル電源を買ってしまいました(笑)」。まさに終わりなきクルマ旅は、まだ続く。
現地に送るのは段ボール2個分の車中泊グッズ

飛行機などを使用して旅に出る場合、栗原さん夫妻は厳選した車中泊アイテムを段ボール2個にパッキング。現地空港付近の宅配業者の営業所に送付する。
送付する車中泊グッズは、インフレータブルマット、段差解消クッション、シェード、グリップバー、荷物収納ネット、調理用品、ポータブル電源、電気毛布、ランタン、段ボールなど。


空港近隣でレンタカーを借りたのち、宅配業者の営業所で荷物をピックアップ。レンタカーに積み込み、クルマ旅をスタートさせるのが、栗原さんのルーティンだという。また、ポータブル電源などは、機内持ち込みで対応するという。

栗原さんが借りる頻度が高いのは、日産・セレナのレンタカー。使い勝手のいい3列シート、5ナンバーサイズの取り回しのよさが、クルマ旅&車中泊に最適な一台。写真の車は人気の高いe-power。
レンタカーの室内が、くつろぎの寝室に変身!
送付した車中泊グッズをセレナ車内で展開。……すると、大人2名がゆったりと就寝でき、くつろぐことができるリビング&ベッドルームが出現する。
一度セッティングしたら、シェードなどの運転を阻害するグッズ以外は、レンタカーを返却するまで基本このまま。荷物の移動などはあるものの、大きな変更はしないと栗原さんはいう。
ベッドメイキング① 寝床の土台作り

シート就寝の寝床の一部となるのが、段ボールと市販の段差解消クッション。

2&3列目シートを倒して繋いだら、準備していた段ボールをシートの凹凸にはめる。その上から、市販の段差解消クッションを4枚使用して、できるだけフラットに。写真の段ボールは、細かな段差にも対応する2枚重ねのものだが、荷物送付に使用した段ボールを流用してもいい。
ベッドメイキング② エアマットを敷いて弾力性をアップ

携帯性の高いシングルのエアマットを2枚準備。上記の状態のシートに敷いて、よりクッション性を高めている。ダブルサイズや厚いタイプは収納サイズが大きく、送付時にかさばる。
ベッドメイキング③ シーツを被せてベッド完成!


エアマットの上に家庭用シーツを被して、上布団を広げたらベッドメイクが終了。注意点としては、セレナのグレードによってできる2列目の左右シートの中央にできるすき間。予備の衣類用バッグなど、あまり使用しない荷物で埋めればいい。
2種類のシェードを使い分け


フロントガラスと一列目シートの左右の窓には、吸盤を使わず、簡単に脱着できるシェードを使用。2列目シートより後部の窓には、吸盤でしっかり装着できるアイズ製を使用している。特徴の異なる2種類を使い分ける。
意外に収納スペースは多数あり!



ベッドメイクをしたあとも、栗原さんはしっかりと収納スペースを確保している。フラットにした3列目シートの下部や、就寝時には使わない助手席は、サイズぴったりの収納ボックス置き場に。さらに、フロア下にある隠れ収納スペースには、ヘッドレストや替えの靴などを入れる。
天井部には収納ネットを装着


天井のグリップにバーを後付け。ロープなどで装着したネットともに、収納&吊り下げ用アイテムとして活用する。セレナの広い天井スペースを有効活用するアイデアを、レンタカー用にアレンジ。簡単に脱着可能となっているところがポイントといえるだろう。

これがセレナのレンタカー? もともとベッド仕様になっていたかのような完成度! 正真正銘、無改造のセレナにアイテムを装着してセッティングしただけの室内なのだ。さすがレンタカー車中泊旅の達人である。
出典:カーネル vol.44 2020冬号
写真:逢坂聡