クルマでコロナを「広げない、運ばない」ための新マナー
本誌が発売されるのが2020年6月9日。この原稿を書いている5月末の時点では、全国的に発令されていた「緊急事態宣言」は解除となっている。
しかし、新型コロナウイルス感染症の脅威が、完全に消え失せたわけではない。逆に、今後続いていく可能性のほうが高いことを、多くのメディアが報じている。
では、そんな「withコロナ時代」の新しいクルマ旅マナーとは何か? を提案してみたのが今回だ。ここで書いていることを守れば、「必ず大丈夫」とは言いきれない。
しかし、クルマでコロナを「広げない、運ばない」ためには、まず個人でできることを徹底することが大切なのだ。これは「レジャー」であるクルマ旅だけでなく、仕事で全国を走る運送トラックや、営業車にも同じことがいえるのではないだろうか。
次の時代に向けての新マナーが、少しでも浸透することを願いたい。
<基本>出発前にすべきこと
訪れる先、通る土地、住んでいる場所の状況を確認すること
これから下記で紹介するのは、あくまで指針のひとつ。今回のコロナ渦の状況は、場所や日時によって、どんどん変わっていく。出かける場合は、必ず訪れる先、通る土地、そして住んでいる場所すべての状況を確認すること。
検温、体調チェックを数日行う
「ウイルスを運ばない」ため、クルマ旅の出発前に検温や体調チェックを数日行うこと。熱が出た、調子が悪い日が続いたら計画中止を。病院や保健所に相談すること。
絶対に自分の判断だけで出かけないようにしたい。
1 車内専用の除菌アイテムの常備・使用
家や会社に出入りする際は、こまめに除菌スプレーを吹いたり、手を石鹸で洗ったりしていることだろう。クルマの乗り降りにもぜひ同じことを習慣づけたい。
そのためには、車内に除菌アイテムを常備すること。そして、それがすぐに使用できるように、手に取りやすい場所に置いてあることが大切だ。
クルマの出入りをしたときは、除菌アイテムを使う。さらに、定期的に車内を除菌する時間をもうけたい。
※車内に準備しておく除菌用スプレーなどが、「アルコール」製品の場合は要注意! 特にアルコール度数が67%前後より高い製品は消防法上の「危険物」に該当するとのこと。高温になる車内に放置しない。そして、使用時は火器や換気には注意が必要。
2 マスクの枚数は余裕をもって
クルマに限らず、いまやマスクは出かける際の必携アイテムのひとつだろう。そこで、車内にも予備を多めに準備しておきたい。
ひとりでのクルマ旅の場合、「車内はひとりだから」とマスクを外して乗車することもある。しかし、休憩で立ち寄るかもしれない高速道路のSAPAや道の駅は、多くの人たちが利用する場所だ。
何回も着脱することを考えて、予備マスクの常備をスタンダードにしていきたい。
3 こまめに車内を換気する
「こまめに換気する」ことは、自宅や会社、学校と同様に大切。クルマの場合は、乗車後に必ず一度、すべての窓を開けて風を通してから出発するようにしたい。
まずエンジンをかけて、窓を全開にして換気。その後、窓を閉めてから出発すれば、慌ててクルマを動かすより落ち着いて運転でき、スタート直後の事故も減る可能性がある。エアコンを「外気導入」にしていても、換気は窓で行いたい。
4 乗車前、乗車後は石鹸で手洗いを。ハンカチやタオルは数枚準備を
クルマ旅では、「車内にウイルスを持ち込まない」、さらに「移動先にウイルスを持ち込まない」ことが重要。そのため、乗車前、乗車後の石鹸での手洗いは習慣としたい。
休憩で立ち寄ったSAPAやコンビニなどには、洗面所と石鹸があるはず。トイレの後に一度手洗いをしていても、クルマに戻る直前にもう一度洗うように心がけよう。
洗う場所がない場合は、車内の除菌アイテムを活用すること。
また、どんなに手をしっかりと洗っても、その手を拭くハンカチやタオルが汚れていたら、あまり意味はない。手洗い後に使用するハンカチ類も多めに準備を。
もしくは、車内に使い捨てのペーパータオルやキッチンペーパーを準備して、その都度、持ち歩いて使用してもいい。
5 車内にも体温計を常備しよう
クルマ旅の出発前に検温や体調チェックを行うことは前述したが、旅の途中でも、朝の検温をルーティンにする。
熱が出た、調子が悪いと思ったら、旅の日程半ばでもけっして無理をしない。地元に帰る前に、旅先の病院や保健所に相談を。絶対に自分の判断だけで行動しないように。
6 載せる荷物の除菌も忘れずに
ていねいに手洗いをして、こまめに体や服を除菌すれば、もちろんその効果は大きい。しかしウイルスが、車内に持ち込むバッグや荷物に付着することも考えられる。
特にふだんから持ち歩くバッグは、食事や買い物でさまざまなところに触れていることを忘れずに。車内に戻るときに体と一緒に除菌すること。
ラゲッジの荷物も、積み下ろしの前後は必ず除菌スプレーや除菌シートを使用したい。
7 外食や食事の購入時はまだ油断しない
全国的に「緊急事態宣言」が解除になったのが5月末。その後、出かける人は徐々に増加していくことが考えられる。しかし、まだ完全に終息したわけではない。
外食や買い物では、旅先でもまだ「三密(密閉、密集、密接)」を避けるようにしたい。油断していると「ソーシャルディスタンス」も忘れがちだ。提唱されている人との距離は2m。「手を伸ばして届く距離」ということを念頭におくように。
8 立ち寄り湯ではロッカーなどの脱衣所で注意したい
特に暑い夏の車中泊において、温泉やスーパー銭湯などの立ち寄り湯は、利用しないわけにはいかない施設だろう。
高温多湿に弱いといわれている新型コロナウイルスは、浴場内では移りにくいとされている。が、念のため、体を洗う場合は“密”にならないようにしたい。
それよりも、ロッカールームや待合室のほうが要注意。長時間滞在しないこと。会話は控えることなどが注意点として挙げられる。施設が除菌・清掃をこまめにしてくれていると思うが、自前の除菌アイテムを持ちこんで使用してもいいだろう。
9 いまこそ穴場へ! 混雑を避ける場所選び
混雑を避けてのレジャーほど難しいものはない。しかし、わが『カーネル』読者ならば、あまり知られていない穴場スポットを、きっと秘めているはず。いまこそ、そんな穴場スポットへのクルマ旅を楽しむときだ。
さらに、今回のコロナ渦のなかで、遠方へは行かず、地元で旅を楽しむ「マイクロツーリズム」も提唱されている。まずは地元の穴場へ足を運ぶことから、車中泊を再スタートするのもいい。
10 車中泊を活用して、オフピークの移動を
車中泊の利点をもう一度振り返ってみると、「渋滞を避ける」ことが挙げられる。渋滞=「三密」ではないが、混雑を避け、ソーシャルディスタンスを考えるならば、「車中泊の旅」の強みを生かすべきだろう。
夕方出発して、人込みの少ないSAPAに立ち寄り、目的地付近で車中泊。まだ混雑前の朝から観光を楽しみ、待ち時間がないうちにランチを済ませる。まさに本誌が提案してきた時間割りが生きるはず。
出典:カーネル2020夏号vol.46
写真・文/大橋保之(本誌編集部)
カーネル2020夏号vol.46、6月9日発売!
今号の巻頭特集は「猛暑をしのぐ快眠術」。近年、ニッポンの夏は猛暑続きですが、今年はさらに暑くなりそうな予感……。どうする、夏の車中泊旅!?
ということで、夏の暑~い夜をしのぐための、車中泊快眠術を紹介します!
便利な車中泊グッズから、涼しく寝られる標高の高い車中泊場所、みんなのTIPSなどなど、熱帯夜でも快眠に導く車中泊テクニックが満載! ぜひ参考に!
ほかにも、夏から秋の北海道をめぐる車中泊旅のコースガイド、車中泊避難の基本、キャンピングカーで行くホタルイカすくい、車中泊の達人フォトギャラリーに、こちらで紹介した「“withコロナ”時代の新クルマ旅マナー」などなど、内容盛りだくさんですよ!
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