車中泊旅の楽しみのひとつといえば“食”。旅先で、その地ならではのご当地グルメに舌鼓を打つ人も多いはず。そんな車中泊旅の食欲を満たすべく、車中泊専門誌『カーネル』ではテーマに沿って全国各地の味覚を紹介する「全国うまいものMAP」を展開。
今回は、お正月に欠かせない「お雑煮」を紹介! だしも具材も地域によって様々で、見ているだけでも面白い! 旅先グルメや車中泊レシピの参考に!
【岩手県】くるみだれ雑煮
![画像: 【岩手県】くるみだれ雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/ac7981d4e297c73cea75e57bb1cfbbe4a4eb4d72_xlarge.jpg)
岩手の一部では「おいしい」を「くるみの味がする」というほど、くるみは古くからなじみのある食材。お雑煮も、お餅を別皿のくるみだれにつけて食べるそうだ。釜石の「小島かふぇ」では、くるみだれ雑煮を「釜石雑煮」の名で販売している。
【宮城県】焼きはぜ雑煮
![画像: 【宮城県】焼きはぜ雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/85eaf3113b58f67ecf2ea68cbc324ca3297b1533_xlarge.jpg)
存在感のある「焼きはぜ」は、昔は囲炉裏の炭火で焼き、煙でいぶしたものを、わら縄で束ねて軒先に吊るしていたという。お雑煮のだしも、焼きはぜでとる。地元名産のいくらが一緒に盛られ、新年の華やかな雰囲気を彩る。
写真提供:宮城県観光課
【福島県】凍豆腐(こおりどうふ)入り雑煮
![画像: 【福島県】凍豆腐(こおりどうふ)入り雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/c20081c1f978fd81ab34ec9b5bfeaa702a6ebf47_xlarge.jpg)
「凍豆腐」とは、昔、福島・円通寺の住職が高野山の豆腐を持ち帰り、福島の気候に合わせた製法でつくりだしたとされるもの。この凍豆腐と根菜を入れた具だくさんのお雑煮は、福島のお正月に欠かせない料理だ。
【東京都ほか】関東雑煮
![画像: 【東京都ほか】関東雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/6aee51874dbb14c4e29e3a62569beade4e92fd4b.jpg)
関東地方のお雑煮は、かつお節や昆布でだしをとり、しょうゆで味つけしたすまし仕立ての汁。そこに、とり肉と小松菜、焼いた角餅をいれるというのが一般的。ちなみに、埼玉では里芋などを加えて「いも雑煮」にする家庭も多いそうだ。
【千葉県】はば雑煮
![画像: 【千葉県】はば雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/9ac22a46e82cd0eda33c371c82ae309ac38ce529.jpg)
千葉県・房州でとれる「はば(波葉)」は、うすい塩味がある独特な風味の海藻。千葉の山武を中心とした外房地域ではお雑煮に、あぶってもんだたっぷりの「はば」と、青のり、かつお節が欠かせないのだとか。
【長野県】ぶり雑煮
![画像: 【長野県】ぶり雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/c7cbf1c7e84ffefc2d5fc55e89c8354092371619.jpg)
かつて、富山湾で水揚げされたぶりは、「塩ぶり」にして一路、信州へと運ばれた。長野、特に松本周辺の地域は、その「ぶり街道」に面し、お雑煮にも塩ぶりを入れる家庭が多い。「出世魚」であるぶりは、縁起物の具材でもある。
【福井県】かぶら雑煮
![画像: 【福井県】かぶら雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/94f797ecb6cb33d2540e02f479f2d922c4c8c19b_xlarge.jpg)
味噌仕立ての汁に、茎付きのかぶが入った福井の「かぶら雑煮」。かぶは「株を上げる」という縁起をかついだものでもある。味噌は白味噌や赤味噌など家庭ごとに異なり、人参やとり肉、かつお節なども具材となる。
【愛知県】名古屋雑煮
![画像: 【愛知県】名古屋雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/80f386cd11cb24b3d39e95cd0dee19b5715acd72.jpg)
煮た角餅と「餅菜」、そしてかつお節だけという「名古屋雑煮」は、実にシンプル。「名(菜)を上げる」といわれる餅菜は、地元で採れる小松菜の仲間。本物は手に入りづらく、小松菜で代用することも多いとか。
【京都府】京雑煮
![画像: 【京都府】京雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/aa4bbc4c9a12433b580fe834c8fdd65bc3e3e804.jpg)
京都のお雑煮といえば、とろりと白い汁。味の決め手は、米麹の甘さが特徴の西京味噌。西京味噌で仕立てられた甘くこくのある汁に、ゆでたお餅や大根、人参、かつお節などが入る。大きな頭(かしら)芋を入れるところも。
【奈良県】きな粉雑煮
![画像: 【奈良県】きな粉雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/a297c34e88d7654d11a2e242455d148bd80d2634.jpg)
奈良のお雑煮には、砂糖入りのきな粉がセット。白味噌仕立てのお雑煮からお餅を出し、きな粉につけていただく。お雑煮の具は、人参や大根、里芋や豆腐など。きな粉の黄色には、家族の健康と子孫繁栄への願いが込められているとされる。
【広島県】オップリ雑煮
![画像: 【広島県】オップリ雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/55d08e9e1944af39b08e789ce03a1d6944768a4f.jpg)
島根の十六島(うっぷるい)で採れた岩海苔をのせたお雑煮が、広島・高野町では一般的。「うっぷるい」がなまって「オップリ」と呼ばれるそうだ。高野町の「道の駅たかの」で例年、1月1〜2日に数量限定で販売される。
【香川県】あんもち雑煮
![画像: 【香川県】あんもち雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/bbd451d55f643b083cd23767438a99257581ef35.jpg)
白味噌にあん入りのお餅が浮かぶのが、香川のお雑煮。甘いものの少ない時代、あんもちの入ったお雑煮を、お正月のごちそうとしていただいていたらしい。具は地域によって様々で、人参や里芋、油揚げなども。
【徳島県】祖谷の雑煮
![画像: 【徳島県】祖谷の雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/0969b49cd2b2c57d8cd480181fc1e6180d31c6e5_xlarge.jpg)
徳島・祖谷地方の珍しい“お餅なし”のお雑煮(写真左下)。器には、いりこだしがきいたすまし仕立ての汁に里芋が。その上に祖谷地域特産の固い豆腐「岩豆腐」が2丁、鎮座する。豆腐を十字に置く様子から、「うちちがえ雑煮」とも。
【熊本県】ひご雑煮
![画像: 【熊本県】ひご雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/6004a0970c075fcbd24dd99ad8968db7c2386842.jpg)
熊本の伝統的なお雑煮「ひご雑煮」の具材となるのは、「熊本京菜」「水前寺もやし」「長人参」などの「ひご野菜」。なかでも熊本京菜は小松菜に似た郷土野菜で、昔から熊本のお正月には欠かせないという。
【長崎県】具雑煮
![画像: 【長崎県】具雑煮](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783346/rc/2018/12/20/79fce125c4ff11e5c2d0073b2d35146a2f2411f8.jpg)
島原の郷土料理の代表格である「具雑煮」。その由来は、「島原の乱」までさかのぼる。天草四郎が信徒と籠城した際に、お餅を兵糧として蓄え、山海の食材とお雑煮にし、栄養をとりながら戦った……という逸話が残る。
※当記事は車中泊専門誌『カーネルvol.32』の内容を一部抜粋、再編集したものです。