【概要】冬の車中泊に向けた「三種の神器」(寝袋、シェード、マット)の選び方を紹介。

「車中泊 三種の神器」とは、車中泊雑誌『カーネル』が提唱している“車中泊の必需品”。それは「マット」「シェード・カーテン」「寝袋」の3点だ。

冬に車中泊するなら、この「三種の神器」も寒さ対策を兼ねたアイテムの方が暖かく、快適に眠れる。ではどんな素材や機能を備えたアイテムがいいのだろうか? 冬車中泊版「三種の神器」の選び方を紹介しよう。

「寝袋」選びのポイント

マミー型の雪山仕様の寝袋は、慣れるまで落ち着かないかもしれないが、保温力は羽毛布団をしのぐ。寝袋内はTシャツ、短パンで寝る人もいる。

車中泊でもテント泊同様に「快適使用温度域」を確認

寝具を選ぶなら登山用の高機能な「寝袋」がイチオシ。なかでもダウン製の雪山仕様なら、−20℃の気温でも寝られて、コンパクトに収納できる。もちろん、やや値は張るが、命にかかわるアイテムなので、あまり妥協しないほうがいい。

寝袋選びのポイントは、各製品に設定されている「快適使用温度域」。自分が使う季節や場所を想定して、購入時に必ず確認してほしい。

寝やすさを考えたら布団が一番。さらに羽毛布団であれば保温力も高い。しかし、どんなに小さくたたんでも、車内に置いておくにはかさ張る。常設ベッドなら布団もあり。

注意点としては、クルマであろうとも暖房設備がない場合は、テント同様に車内は冷えるということ。そして「フィルパワー」は保温力ではなく再現力を数値化したもの。さらに寝袋には「限界使用温度域」も設定されているが、これは使用できるギリギリの温度なので、やはり基準にすべきは快適に寝られる「快適使用温度域」だろう。

寝袋はコンパクトに収納できるのが魅力。

〈CHECK!〉
・車内は「テント内と同様」と考える
・フィルパワーは「再現力」の数値化で「保温力」ではない
・「限界使用温度域」ではなく「快適使用温度域」で選ぶ
・収納も考えるとコンパクトになる寝袋がベター

「シェード」選びのポイント

保温材の入った市販品がベター

量販店で販売している銀マットを加工して、シェードとして使用している人も少なくない。もちろんそれでも、銀マットの厚さがあれば、ある程度の効果は得られるだろう。しかし、冬の車中泊を想定した場合、やはり市販品を選ぶほうが無難といえる。

まさにジャストサイズのアイズ製品。結露を軽減する効果も期待できる。さらに、カーテンと一緒に使用すると防寒効果は上がる。

写真はカーネル編集部でも愛用しているアイズ製品。同社は、数多くの車窓に合う型を所有しているため、装着時にすき間ができにくい。素材は、難燃性フレンチパイル生地や180g/㎡の中綿が採用されている。断熱効果が高く、キャンピングカーでもフロントガラスに装着する人もいる。

寒さ対策にこだわるなら、しっかりとした防寒効果が期待できるアイズなどの市販品を装着したい。

〈CHECK!〉
・窓にフィットした保温材入り
・カーテンとの併用は効果あり
・緩衝材(プチプチ)や銀マットも効果あり

「マット」選びのポイント

底冷え防止なら厚さ5~10cm前後が目安

クルマをテントに置き換えることによって、登山用品に代替え可能。そして、車中泊での防寒対策に応用できることは幾度となく紹介してきた。しかし、マットだけはその方程式が使えない。

なぜなら登山用マットは、一部では保温材が採用されている製品もあるが、「防寒」性能はそれほどでもないからだ。最低限の寝心地と、軽量・コンパクトに持ち運べて、かさ張らないことが登山用のマット選びの基本といえる。

厚みのあるキャンプ用マットや、カインズなどの市販マットも人気。マットの下に銀マットやラグを敷くと、さらに効果がアップする。

しかし、車中泊で使用するマットに求められる条件は、まったく逆で、その厚さがポイントとなる。特に冬の寒さ対策として使用するなら、底冷え防止として5~10cmの厚さがほしいところだろう。

〈CHECK!〉
・厚みがあって保温材入りなら問題なし
・シート就寝でもあったほうがいい
・銀マットやラグなどを併用すべし

文:大橋保之(カーネル編集部) 
初出:カーネル2024年3月号vol.65