【概要】車中泊専門誌『カーネル』のUSAブランチによるアメリカ大陸横断1万2000kmロードトリップレポート第14弾・帰路編。ニューメキシコ州最大の都市アルバカーキとホワイトサンズ国立公園へ。

超おすすめの街アルバカーキは進化を続けるすてきなアートタウン

濃いニューメキシコ文化を楽しめる街サンタフェから、わずか1時間のドライブで到着するアルバカーキは、ニューメキシコ州最大の都市。現在はI-40が通過する交通の拠点でもあるが、旧道であるルート66の時代からも重要な交流地点となっていて、いまもそのルートがメインストリートとなって残っている。

過去にも数回訪れたことがあったこの街に、今回ゆっくりとステイすることで新しい魅力を発見できた。

アルバカーキは古くから栄える街だが、現在は近隣にIT関連企業やアート関連の大学などが増えてきており、メインストリートを中心とした街の様相がとてもおしゃれに進化している。

写真を見ればおわかりいただけると思うが、古くからの建造物や看板などを生かしたまま、現在のニーズにあったビジネスを展開し、街に活気があふれている。

品のよいネオンでライトアップされるアルバカーキのメインストリート。メキシコ料理を中心においしいレストランがズラリと並ぶ。

アルバカーキで過ごすすてきな時間も、ボクたちがニューメキシコ州を強くおすすめしたい理由のひとつだ。

朝ごはんは町外れのカフェに行ってみた。サンドイッチもスープも期待以上の味にびっくり。都会から働きに来る人も増えていて、食文化が大きくレベルアップしている。

ピアノのシェイプの建物が印象的なベン・マイケル・レストラン。気さくなオーナーのベンに、この街に立ち寄った理由を話すと、ボクたちのストーリーを即興で歌詞にしてオリジナルの曲を歌ってくれた。なんともサプライズなレストランだ!

チェック! 30人ものアーティストが 参加したポップデザインのZAZZ HOTEL

アルバカーキの雰囲気が気に入ったボクたちはこの街で一泊を過ごすことにした。いま全米を旅していて目に付くのが、古いモーテルを改装し、ポップデザインを取り入れたブティックホテル。

このZAZZHOTELも30人以上もの若手アーティストの作品をホテル全体に散りばめデザインされているとかで、ベッドルームだけでなく、プールや共用施設、隠しドアがあるバーなど、そこかしこにすてきなデザインがあしらわれていた。

フロントではアフリカ出身の優しい女性が出迎えてくれる、再び訪れたくなるホテル。

何十キロも続く真っ白な砂丘 驚きのホワイトサンズ国立公園

全米にある幾多の国立公園に足を延ばしたけど、何度でも行ってみたくなるのが、ニューメキシコ州のホワイトサンズ国立公園。広大な砂漠の中に突然現れる真っ白な砂丘は約600平方kmもの面積をもつ、およそ地球とは思えない場所。

まさに雪が降り積もった新雪の大平原といった様相で、じつはこの場所は太古の時代に海の底だったものが、地形の隆起で現在は海抜約1300mの砂漠の中に存在するという、とにかく絶景のひと言に尽きる場所。

砂紋ができた真っ白な砂丘。砂の感触はサラサラで、真夏でもひんやりとして気持ちいい。この写真からでもサラサラ感が伝わるはずだ。

ここの真っ白な砂は雪花石膏の粒子のため、キラキラと輝いていて、真夏に太陽が照りつけても熱を吸収しないので、常にひんやりして夏の日中でもはだしで歩けるのが特徴。さらにこの砂はサラサラの触感で気持ちいい。

ホワイトサンズができるまでを解説したパネル。2億8千万年前にさかのぼった歴史がおもしろい。

太陽の光で真っ白に輝く砂丘もいいけど、サンセットの空に合わせて色が染まってゆく時間も最高にすてきな空間になる。ここもニューメキシコに行ったら必ず立ち寄ってほしい場所だ。なぜならボクたちも今回、わざわざ遠回りしてでも再訪してしまったほど魅了されている国立公園だからだ。

ホワイトサンズ国立公園近くの アラモという街にあるWorld’s Largest Pistachio。後ろには広大なピスタチオの畑があり、 ギフトショップではユニークなス イーツなどを楽しめる。

ホワイトサンズから西に戻る途中に立ち寄ったベリー・ラージ・アレイ。アメリカ国立電波天文台で、直径25mもある巨大なパラボラアンテナを27基設置することで、直径130mの仮想電波望遠鏡として使用し、宇宙探索をしているとか。なんでもスケールが大きいのがアメリカ。

写真、文:Yusuke Makino, June(カーネルUSAブランチ) 
取材協力:ミシシッピ・リバー・カントリー、カリフォルニア観光局 
初出:カーネル2023年11月号vol.63