【概要】エコノミークラス症候群予防検診のためのクラウドファンディングの紹介。プロジェクト内容など。

2004年10月23日に発生した新潟県中越地震から今年で19年。最大震度7を記録し、各所に大きな被害、影響を及ぼした。

“地震大国”といわれる日本では、これまでにも数々の大きな地震が発生している。

そしてその度に取りざたされるのが、避難所や車中泊避難生活で正しい寝方をしていなかったために引き起こされるエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)だ。

このエコノミークラス症候群の予防検診や研究費サポートなどを募るクラウドファンディングがスタートした。

実施しているのは、エコノミークラス症候群予防・検診支援会(会長・榛沢和彦氏)。

新潟県中越地震でエコノミークラス症候群による死亡者が出たことから、医療関係者などで結成された団体だ。

そもそもエコノミークラス症候群とは? 簡単に説明しよう。

エコノミークラス症候群は、長時間同じ体勢で過ごしたあと、歩き始めたときなどに、急に呼吸困難やショックを引き起こす病気のこと。

震災被災地で狭い避難所や車中泊避難などで、水分を十分に取らずに長時間イスに座ったままでいると、足の血管に血のかたまり(深部静脈血栓)ができることがある。

それが歩行などをきっかけに血栓が肺に流れ、肺の血管をふさいでしまう(肺塞栓症)、命の危険もある病気だ。

エコノミークラス症候群予防・検診支援会は、20年近く震災被災地でDVT(足の深部静脈血栓)検診を行ってきた。

その研究調査の結果、DVTの発症は避難所の生活環境と関連があることがわかったという。

また治療後のフォローアップ検査によると、DVTが20年近く残存し続けている人もおり、そのなかには症状が悪化したり、肺塞栓症になる人もいた。

さらに地震発災8年後の聞き取り調査結果では、DVTを検診で指摘されたことがある被災者の脳梗塞は4倍、虚血性心疾患は2倍、肺塞栓症は73倍多いという結果が出たという。

そのようなこともあり、同会は震災被災地で車中泊や避難所でDVTができ、それが残っている人の健康被害の予防、DVTを指標にした避難所環境の改善を目指して活動を続けている。

今回のクラウドファンディングのプロジェクトは、エコノミークラス症候群の予防検診を進めるとともに、これまでに蓄積したデータを解析し、血栓の陽性率と避難所の環境について、DVTを起こす原因の調査やその後の健康被害についての研究費サポートとなる。

またこれらの結果をもとに、2024年2月17日に行われる「第10回震災・災害シンポジウム」を開催。

さまざまな災害の専門家、非専門家との議論を通じて、さらなる災害対策・避難環境構築を目指す予定だ。

支援は1100円~22万円まで7コースを用意。支援の締め切りは2023年12月21日(木) 17時まで。詳細はエコノミークラス症候群予防・検診支援会のクラウドファンディングページへ。