【概要】車中泊専門誌『カーネル』のUSAブランチによるアメリカ大陸横断1万2000kmロードトリップレポート第8弾。マイアミでの滞在を紹介。

大陸横断トリップも後半に突入。目的地であった本土最南端のフロリダ州マイアミから東海岸を北上し、フロリダから北上し、ジョージア州、サウスキャロライナ州の海岸線の街を数日かけて楽しみながら、内陸に舵を切った帰路の前半を数回に分けてレポートする。

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ロサンゼルスから出発した今回のロードトリップ。

最終目的地はフロリダ州にあるアメリカ本土最南端の街・キーウエストにある“サザンモーストポイント”。そこまでの行程はこれまでに紹介したとおりだ。

このキーウエストに行くためのベースキャンプともいえる都市がマイアミなのだが、ここまで10日間以上もかけた長旅なので、さすがにこの街には3泊し、ゆっくりと過ごすことにした。

アメリカのビーチにはどこに行っても、海の安全を見守るライフガードタワーがあるけれど、マイアミのそれは独特。通常は地域ごとに同じデザイン、同じカラーリングのものが並ぶが、このエリアはデザインも色も千差万別。

マイアミの人気ホテルは大半がビーチに面していて、日中になるとホテルの前のビーチは、それぞれのパラソルが花のように咲き乱れる。

遊泳客に安全や注意を促すフラッグのルールは統一されているけれど、ライフガードタワーのデザインや色はそれぞれ個性があって、とてもカワイイ。

我々が訪れた3月上旬は、一年で最もフロリダの天候が安定している理想的な時期。

ちょうど到着前日まで、ビーチエリアでは巨大なフードフェスティバルが開催されていたとあって、まだまだアフターカーニバルの余韻が楽しめた。

ビーチシティ・マイアミだが、この砂浜の景観は何もここだけではない。大西洋に面したフロリダ半島の東海岸のほぼすべてにビーチの景観が続く。その総延長距離は約550km!

プールサイドのトンネルを抜ければ、宿泊者のためのビーチが広がる。海上の空を飛んでいるのは小型飛行機によって引っ張られる広告バナーで、これはアメリカの人気ビーチでは一般的な広告手法だ。

さらに、そこから北のジョージア州、サウスキャロライナ州も海岸線は大半がビーチなので、どこの州でも美しいオーシャンビューが楽しめるのが、アメリカ東海岸の魅力でもある。

ミッドセンチュリースタイルで建てられた、すてきなデザインのホテルがメインストリートには残されている。

フロリダの街は古くから避寒地として楽しまれてきたリゾート地。

20世紀前半から中盤にかけて、多くのすてきなホテルが建設され、いわゆるミッドセンチュリー時代の美しい建築物がたくさん残っているのも魅力だ。

アールを用いた当時の柔らかい表情をもつ建物と、ポップなカラーリングがマイアミの街特有の空気感を作り上げている。

カリフォルニアでも同じ時代の歴史的な住宅やホテルなどの建物が見られるが、マイアミのそれはいかにもビーチリゾートらしい淡い彩色が施されたものが多く、独特な街の雰囲気を形成している。

水路沿いに建てられた豪邸には大きな桟橋があり、クルーザーが停泊する。この写真のボートはごくごく小さいサイズ。なかには、すでに個人用のクルーザーには見えない戦艦のような巨大な大きさの船も停泊している。

ダウンタウンには巨大なビジネスコンプレックスビルや高級コンドミニアムが立ち並び、さらにビーチタウンを外れた場所に並ぶ数々の豪邸は、各邸宅に大きな桟橋をもっていて、想像をはるかに超えるサイズのクルーザーが停泊している。

マイアミの夜は眠らない。メインストリートやビーチ沿いのバーやクラブはもちろん、レストランもかなり遅くまで毎晩営業を続けている。もちろんピークシーズンは観光客でごった返している。

何もかものスケールが我々の知っている世界とは異なり、アメリカ経済の奥深さを感じずにはいられない光景だ。

目抜き通り沿いにセットバックして建てられたカフェ・レストラン。すてきなたたずまいで、夜には長い行列ができていた。

またマイアミは観光地かつ年配の富裕層がたくさん暮らす街でもあるため、レストランなどの質は平均より高い印象を受ける。

比較的新しいドラッグストアも、近代アート的なデザインでカッコいい。こうした商業施設にもミッドセンチュリーモダンのテイストが盛り込まれている。

東海岸なので、比較的イタリアンレストランなども多いが、マイアミで楽しみたいのは、キューバからの移民による本格的なキューバン・キュイジーヌだ。

ほかの中南米の国々とは異なり、独自の文化を育んできたキューバ。そんなキューバのおいしい料理に舌鼓を打ったあとも、マイアミビーチではさまざまな楽しみ方がある。

CHECK! マイアミで楽しむキューバン・キュイジーヌ

マイアミに行ったら、ぜひとも楽しんでほしいのが本格的なキューバ料理。

なかでも著名店でもある「ベルサイユ」はグレードも味も格別。ビーフ、ポーク、チキンの肉料理はどれを注文してもナイフがいらないほど、お肉がホロホロ!

また映画『シェフ』のフードトラックで提供していたキューバン・サンドイッチも抜群においしいので、ぜひぜひトライしてほしい!

写真、文:Yusuke Makino, June(カーネルUSAブランチ) 
取材協力:ミシシッピ・リバー・カントリー 
http://mrcusa.jp 
初出:カーネル2023年9月号vol.62

★マツダ・MPVでアメリカ大陸横断ロードトリップ①~⑦