【概要】車中泊専門誌『カーネル』のUSAブランチによるアメリカ大陸横断ロードトリップレポート第6弾。カリフォルニアからフロリダまでマツダ・MPVで旅をする。MPVの仮眠車中泊仕様DIYについても。

『フォレスト・ガンプ』の舞台となったアラバマを抜け、いよいよフロリダへ

まさに映画『フォレスト・ガンプ』の世界が広がる! アメリカ南部の州各地にあるプランテーションと呼ばれる綿花などの畑をもっていた主人の豪邸。

テキサス州より左側にある西部の州に比べると、アメリカ東海岸の各州の面積はコンパクトだ。

ルイジアナ州とフロリダ州の間には、ミシシッピー州とアラバマ州がメキシコ湾に面する形で並んでいるけど、どちらも海岸線に面する部分は短い形状の州なので、I-10フリーウェイで走り抜ければ、それぞれ1時間半もかからずに通過してしまう。

ニューオーリンズを出発したあとは、早めに最終目的地のフロリダ州に入りたいという狙いもあったため、今回の往路ではミシシッピー州はカリフォルニアに戻る時に立ち寄ることとし、次のストップをアラバマ州のモビールにした。

ルイジアナ州にある有名なOak Alley Plantation。写真の小さな家は使用人として働いていたアフリカ系アメリカ人が暮らした家だそうだ。

モビールは、州内で唯一メキシコ湾に面する都市で、古くは油田開発によって発展した。

ところが現在では、1994年に公開された映画『フォレスト・ガンプ』のヒット以来、すっかり人気観光地として定着しているようだ。

実際の映画撮影は、アラバマ州から少し離れたノースキャロライナで大半が行われたとのこと。

しかし、映画の設定がアラバマで、そこで生まれ育ったフォレストの生涯をテーマにしているので、映画を想起させるムードのある風景がそこかしこにあり、その風情を楽しめる街として人気が高い。 

アラバマ州モビールのダウンタウン。閑散期なのか人影はまばらだったが、イマドキなカフェなどが何軒もあり、週末にはにぎわう感じがした。

どこに行ってもレインボーフラッグが描かれた場所が増えており、アメリカ全体がLGBTQに寛容になっている印象を受ける。

またアラバマ州は、サザンロックを代表するレーナード・スキナードの大ヒット曲『スイート・ホーム・アラバマ』の人気もあり、どこかアメリカ人の心の故郷的な存在となっているのかもしれない。

写真のタキシード&ドレス屋さんは、古くから残っている店舗のように思われるが、ガッチリとしたシャッターで守られているのがアメリカ的だ。

モビールは現在では港湾周辺の開発も進み、すてきなカフェが立ち並ぶ個性的な風景も楽しめる街になっている。

モビールの街から東側に移動するとトンネルが現れた。大きな船が航行するモビールリバーをくぐるトンネルのようで、一般道用とI-10フリーウェイ用の2本のトンネルが並んでいる。

どこを切り取ってもリゾート感満載!! 美しい景観が続くサンシャイン・ステート

州が変わるとフリーウェイ沿いにWelcomeと書かれた看板が現れるが、フロリダのそれは特別にゴージャスだ! まるでキャッスルのゲートのようなモニュメントがビジターを迎え入れてくれる。観光産業が盛んな州ならではの演出だろう。

アラバマ州モビールをあとにし、東に向かえば、ほんの30分ほどでフロリダ州に入る。最初に現れる都市はペンサコーラだ。

美しいビーチ沿いに造られた大きな都市。

フロリダ州に入ると、街の雰囲気はガラリと変わり、一気に洗練された風景が広がる。

州の形が鍋にたとえられ、西側のハンドルの部分はメキシコ湾、東側のパンの部分は大西洋に面している。

年中浮かれた印象のリゾート地フロリダ州だが、なかでもパナマシティは週末ごとに学生が大挙して押し寄せる全米随一のパーティシティだ。

それぞれがヒスパニックやカリビアンの影響を受けながら、どこに行ってもリゾート感覚を味わえる雰囲気が漂う。

アメリカの町でよく見かけるウォータータワー。必ず町の名前が書かれているが、これはエメラルドコーストという地域全体のもの。町の広報用看板も兼ねているアイコンだ。

西海岸に比べれば湿度は高いものの、年中温暖であるため、この周辺の安定した気候から離れられない人も多いようだ。特に年配者に人気があるのもわかる気がする。

メキシコ湾に面した美しいビーチの一部。

メキシコ湾沿いはどこのビーチも美しいが、特にペンサコーラビーチからデスティンまでの、真っ白な砂浜が約80kmも続くエメラルドコーストと呼ばれるビーチエリアは圧巻だ。

何十キロも続くビーチはガラガラで、どこに行ってもプライベートビーチ状態の贅沢な環境。

さらにメキシコ湾をそのまま進めば、年中多くのパーティピープルでにぎわうパナマシティへと続く。フロリダはどこに行っても、リゾートとしてのスケールの大きさに圧倒されるだろう。

周辺の家々はカラフルなペイントが施され、リゾート気分は高まるばかり。

今回のロードトリップの目的地はフロリダ州としていたが、同じ州に入ったとはいえこの州は東西南北に細長く、マイアミやアメリカ最南端のキーウエストまでは、まだまだかかりそうだ。

CHECK!① パーキングはSA/PAではなく、アメリカでの呼称はレスト・エリア

アメリカの主要幹線フリーウェイには、レストエリアと呼ばれる休息を取れる場所がある。

日本の高速道路のように厳格に一定の距離間に1カ所という決まりはないようで、利用者の数や必要性に合わせて臨機応変に設置されている。

基本的にはトイレが備えられ、乗用車とトラックのエリアが分けられたパーキングスペースがあるだけで、少し利用者の多い場所だと自動販売機などが置かれることもある。

レストエリア以外にもピクニックエリアやシーニックポイントなどというように名前がつけられた場所もあるが、それらにトイレはなく、ピクニックテーブルが数個だけ置かれていたり、見晴らしのいいパーキングだったりする。

さらに写真にもあるように、RVのたまった汚水を処理できるダンプステーションがあるところも。

夜でもセキュリティの人が常駐しているので安心して休めますよ、という場所もあるのがいかにもアメリカらしい。

CHECK!② 仮眠といえども完璧を追求! 家庭用ベッドをインストール

今回の長距離ロードトリップのベース車両は走行距離40万kmオーバーのマツダ MPV。普段使いではとても便利なクルマだけど、ロードトリップに備え、最低限のカスタマイズを施した。

ポイントは仮眠とはいえ、ふたりで快適に睡眠がとれることと、大量の荷物を積載できること。またキャンプ仕様ではないので、移動時以外に車内で過ごすことはないと割りきっている。

過去にはセカンドシートを取り外し、室内にマットを敷いた簡易ベッド仕様だったのだが、荷物に埋もれてしまって快適というには程遠かった。

そのため、さまざまなプランを検討した結果、思いきって家庭用のシングルベッドを丸ごと入れるプランを採用。

合板などを買ってきて、電動ノコギリやサンダーで加工。アメリカはこういう道具や作業環境が簡単に手に入るのがイイ。

詳細は下の写真で見ていただきたいが、右側にできた隙間にはPVCパイプと合板で作ったベッドと同じ高さのフレームを製作。

後部全体に12cm厚の高反発マットレスを敷いて仕上げ、ベッドの水平も出しているので、完全なる快適睡眠空間が手に入った。

またベッドの下に後方と左右スライドドアから自在にアクセスでき、パネルも取り外せるので、荷物の出し入れもイージーだ。

この仕様のおかげでちょっとの仮眠のつもりが、レストエリアで5時間爆睡ってこともあるので、カスタマイズは成功したようだ。

DIYのポイント!

Amazonで購入した家庭用シングルベッドを入れて採寸中。ベッドの下を収納にしたいので、少し高く持ち上げたい。

MPVのフロアは後方が高く上がっているので、水平になるようにベッドの脚の設置部に段差をつけた台座を作った。

シートを外したレールや凹みは丁寧に埋めてフラットにしておく。この地道な作業が快適な空間を生み出す。

ベッドはクルマのアンカーにしっかりと固定。タイダウンフック4カ所で引っ張っているので、ガッチリ固定できる。

PVCパイプのフレームに合板のフタを取り付ける。ベルクロをヒンジにしているので、位置決めもラフで手軽だ。

ベッドフレームの上に、厚みのあるカートンボードを加工した軽量な板を載せてフラットに仕上げた。

すべてを組み付けてベッドマットを入れた状態。この横幅があればふたりで寝ても、少しゴロゴロと転がれる。

寝ないときにはマットレスの最前部を後ろに折り曲げて、荷物へのアプローチを容易にしている。移動中も手が届くので便利。

運転席と助手席の後ろには、追突事故などを想定し、万が一ベッドのフレームが前にずれてもケガをしないように、合板を加工してガードを作った。

シートを動かしても合板が引っかからないサイズに調整しリクライニングも自在で、着脱も簡単。

下辺のセンターを凹ませたのは、デザイン的にカッコいいから。固定は市販のシートバック・オーガナイザーで共締めした。

マツダ・MPVでアメリカ大陸横断ロードトリップ①~⑤

写真、文:Yusuke Makino, June(カーネルUSAブランチ) 
取材協力:ミシシッピ・リバー・カントリー 
http://mrcusa.jp 
初出:カーネル2023年7月号vol.61