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【概要】「アースローマー」の車中泊モデルを紹介。アメリカ・ラスベガスで開催されたカスタムカーイベント「SEMA SHOW」の取材レポート。

毎年11月にラスベガスで開催されている世界最大のカスタムカーの祭典、SEMAショー。ピックアップトラックやRVが市民権を得ているアメリカならではの、車中泊関連車両はまだまだ盛りだくさん! 今回も続編をレポートしよう。

向かうところ敵なしのキングオブ車中泊モデル!

以前からその存在が気になっていたスーパー車中泊モデルに、SEMAで出会うことができた。

“アースローマー(Earth Roamer)”=地球を放浪するというブランド名のこのRVは、とにかくデカい!

全身がパウダーコーティングされ、まるで装甲車のようないでたちのアースローマーの車両は、形態としては、ピックアップトラックにキャビンを架装したトラックキャンパー。

ただし繰り返して言うが、いままで見てきたキャンパーとはボリュームがまったく異なるため、その存在感に圧倒される。

今回展示されていたのは、シボレー・6500をベースにしたSXと、フォード・F550がベースとなるLTiの2車種だ。

ヘビーデューティーな4WDトランスミッションを載せたラダーフレームは、巨大なボディを支えるために堅牢な足まわりに換装される。

ちなみにSXでは直径110cmの軍用車用のタイヤを装着し、車高自体も大幅にリフトアップされ、最低でも32cmのグラウンドクリアランスを誇る。

ボディ全幅2.4m、全長は10.4mと、あきれるほどデカい! 6.6ℓのターボディーゼルエンジンは350馬力を発生し、道なき道を突き進みどこまでも走っていける。

ガソリンタンク容量は378ℓ、クリアウォーターのタンクも450ℓ、ソーラーバッテリーは1600Wを発電し、リチウム電源の容量はなんと18000W! と、とにかくすべてが規格外。

“アースローマー”という名は伊達じゃない。

これがスーパー車中泊モデル「アースローマー」だ!

全長が10mを超える車両は何もかもが規格外。巨大なタイヤも専用の大きなオーバーフェンダーからのつながりで自然とボディにマッチしているように見えてしまう。

側面には多くの窓は設けられていないため、まるで装甲車のような雰囲気を醸し出す。

上部にポップアップウインドウが設けられたボディ後端にカーゴドアはない。スイングアウト式のキッチンユニットとスペアタイヤがガッチリと固定されている。

長いリアオーバーハングの下部は左右に突き抜けたトランクスペースになっている。スイング式のキッチンユニットはグリルや作業台がスライドアウトしてくる構造。

キャビン前方にフルサイズベッド。その下は車内へとつながり、運転席へもウォークスルーでアクセスできる。

長いキッチンカウンターとゆったりとしたダイニングスペース。全幅2.4mの車幅が生み出す余裕の室内空間。キャビネット類もまるで家のようだ。

キャブオーバーに位置するベッドは、大きなスカイライトと左右の窓で閉塞感はない。ベンチレーションも備えられ、快適な睡眠を約束。

家のデザインで流行中のレインフォールタイプシャワーまで設置したバスルーム。450ℓのウォータータンクがあればシャワーも快適に使える。

メインドアの上には車外に付けられたマルチカメラの映像。すべてがクルマというより、家を設計する感覚でデザインされている。

左右に抜けたトランクは容量たっぷり。エマージェンシーツールなどが、荷物が入っていてもアプローチしやすいように天井部に固定されているのはナイスアイデア。

外部電源の取り入れや、水、ガソリンなどの各種リッドはセキュリティも完備し、まさにミリタリーグレードと呼べる仕様となっている。

巨大な車体をもつアースローマーだが、トルクフルなエンジンと強靭な足まわりを備え、どこまでも走っていける。アメリカンRVの究極のカタチだ。

初出:カーネル2023年3月号vol.59