【概要】軽キャンピングカー・テントむしオーナーである、漫画家・風光めいびさんと“軽キャン女子”まるななさんの対談。テントむしに関する本音トーク、連載中の漫画『道草寄子の食べ走り』の裏話など。

テントむしでつながるふたりの縁

こんにちは、まるななです。

2017年に中古の軽キャンピングカー・テントむしを購入し、北海道各地、車中泊キャンプ・登山をしながら車中泊旅を楽しむ「軽キャン女子」。その様子を、YouTubeやブログで発信しています。

今回は、私と同じテントむしに乗り、“食べ走り”をする軽キャン女子が主人公の漫画『道草寄子の食べ走り』(講談社刊)の著者で、漫画家・風光めいび先生とまるななによる、テントむしオーナー対談。

2022年春に、単行本第1巻発売記念のオンライン対談のなかで「何かふたりでコラボできたらいいですね」と話したのが今回の対談のキッカケ。

あれから半年。まるなな、北海道からテントむし乗って、風光めいび先生と寄子ちゃんのテントむしに会いにきました!

対談の場所は、なんと風光めいび先生の自宅! しかも食事まで用意していただき、すっかりともてなされてしまいました(笑)

風光めいび先生にテントむし乗りの本音トークと、漫画『道草寄子の食べ走り』の裏話をバッチリ聞いてきましたよ!

まるなな(左)、風光めいび先生(右)。まるななテントむしの車内にて。

風光めいび プロフィール

漫画家。講談社「モーニング・ツー」で『道草寄子の食べ走り』、マガジン大地「キャンプカーマガジン」で『キャンピングカー漫画 執筆奮闘記』を連載中!

漫画『道草寄子の食べ走り』作品紹介
平日は地味で目立たない派遣社員・道草寄子の生きがいは、週末に各地でおいしいものを食べる車旅!
平日のイヤなことは全部忘れて、今週も自由奔放な食べ“走り”へ出発!

まるなな:わー! お部屋の雰囲気いいですね。インテリアもすてきだし、お料理もおいしそう!

風光めいび先生:料理は妻が、コストコで……(笑)

まるなな:コストコ恐るべし! 盛り方もおしゃれだし、なんだかレストランの食事のようですね。では、いただきます!

まるなな:めいび先生とはSNSでずっとつながっていて、実際にお会いしたのって、2021年の「横浜キャンピングカーショー」以来、2回目ですね。

風光めいび先生:そうですね。まだ連載開始前で、発表前の表紙の切り抜き持って行ったんですよね。

まるなな:そうそう! いよいよテントむしが漫画になるんだって知って、すごくワクワクしました。

「横浜キャンピングカーショー」にて。

まるなな:そもそも、軽キャンピングカーの女の子の漫画が描きたいという感じだったのですか?

風光めいび先生:10年くらい前、たまたまドライブ中に「ジャパンキャンピングカーショー」があるというのを知って、軽い気持ちで見に行ったんですよ。

まるなな:それ、危ないやつだ(笑)

風光めいび先生:こんな世界があるんだ、これを漫画にしたら面白いんじゃないかと思ったのが最初ですね。キャンピングカーを題材にした漫画がまだなかったので。

連載開始とテントむし購入秘話

まるなな:その後しばらくたってから、中古テントむしを購入しましたよね。私、たまたまその中古車情報をウェブで見ていました。

風光めいび先生:情報を見つけて、すぐ販売店に電話しました。「週末行くのでとりあえずキープしてください!」って。

まるなな:いやだってこれ、「41人検討中です」って書いてありましたよ。もういつ売れてもおかしくないですよね。

風光めいび先生:見に行く前日に、ちょうどアニメ、ゲーム、漫画業界の人が集まる立食パーティーに行く予定があったんですよね。

まるなな:テントむしを見に行く前日に?

風光めいび先生:以前描いていた、テントむしに乗って旅をする女子大生の読み切り作品があって……。

まるなな:SNSで見ましたよー。最終選考までいったんでしたよね?

風光めいび先生:でも落選しちゃって、その後どうしようって悩んでいたのですが、その立食パーティーの名簿に、いまの出版社の編集者の名前を見つけて「キャンピングカーの漫画を書きたいです」と猛アタックしました(笑)

「じゃあ後日、その話を聞きましょう」となって。立食パーティーは1時間だけ出席して、そのまま販売店のある大阪へ夜通しクルマを走らせて、テントむしを見に行きました。

まるなな:そのまま行ったんですか⁉(笑)

風光めいび先生:大阪の販売店の人も「え? 来るんですか! 写真のとおりきれいですし」って言ってました(笑)

まるなな:安くない買い物ですし、見たいですよね(笑) でもなんという運命的な出会いなんでしょう。たしかに実際に乗っていないと描けないですし。

風光めいび先生:まだテントむしに乗っていないときに描いた読み切り作品は、実は結構寸法がめちゃくちゃ(笑)

まるなな:あ、本当だ(笑) いまは実際に乗ってるからこそのリアルが描けるんですね。

テントむしオーナーによる本音トーク

風光めいび先生のテントむしの車内。

まるなな:これが寄子ちゃんが乗っているテントむしですよね? 車内は漫画に描かれているそのままですか?

風光めいび先生:はい。ほぼそのままですね。本当はファンシーなクッションとか使いたいのですが。主人公が20代後半の設定なので「あんまりかわいすぎるのは……」と担当に止められました(笑)

まるなな:車内は自分だけの空間だから、普段人にはあまり見せられないものを、お気に入りの場所に置くっていうはありだと思いますけどね。あと気になったのが、2巻7話で、簡易トイレの話がチラっと出ていましたが、トイレのシーンとか漫画に出ますか?(笑)

風光めいび先生:実は1巻の2話の段階で、話の強弱をつけるためのアクシデントとして、渋滞にはまって簡易トイレを使うというのを、結構早い段階で案として出していたんです。けれど担当に「さすがにそれはちょっと……」と言われてボツになりました(笑)

まるなな:さすがに2話目では、早すぎるかも(笑)。でも、それもリアルですよね。

まるなな:同じ7話で、トラックの横風とかが怖いという話がありましたよね。「わかるわかる」って思いながら読んでいました。

風光めいび先生:ちょっと強めの風なら、大丈夫なんですけどね。

まるなな:わかります。車体が重いので多少の風は大丈夫ですが、やっぱり突風が怖いですよね。

風光めいび先生:秋に長野行きましたが、大型台風はさすがに怖かったです。漫画のネタにしようと思うので、あんまりここでは言えないんですけど(笑)

まるなな:じゃあちょっと、これ以上聞かないようにしますね(笑)

テントむしの使い勝手ってどう?

まるなな:シンク使っていましたね。普段からテントむしのシンクは使いますか?

風光めいび先生:状況にもよりますよね。ちょっとした手洗いや歯磨きにあると便利だし。でも使ったあとは、掃除もしなきゃいけないし。長期だったらいいかもしれないですね。

まるなな:私は使わないんですよね。たしかに長期旅なら、あると便利かも。

風光めいび先生:オプションの丸型タイプのシンクだったら、もうちょっと使い勝手いいのかなっていう感じがしますね。

まるなな:そうですね。私も長旅で使ってみようかな。

まるなな:2巻9話では、寄子ちゃんが屋根をポップアップして食事をしていますが、先生も普段はポップアップルーフを使っていますか?

風光めいび先生:使いますね。ポップアップした方が、開放感がありますよね。

まるなな:私はあまり使わなくて。漫画でも「視線が痛い」と描かれていましたが、やっぱり目立つじゃないですか。

風光めいび先生:自分は気にしてないですね。あえて目立たせているという感じもあります。

まるなな:なるほど。ポップアップしていなくても目立つので、信号待ちで歩行者や隣のクルマとかに、すごく見られている感ないですか?

風光めいび先生:まあ視線は集まりますよね。でも長時間そこにいるわけでもないので。このクルマは漫画の広告塔でもありますし。

まるなな:たしかに。その発想はなかったです。気になったら誰か検索してくれるかもしれないですよね! この際だから、車体に寄子ちゃんの絵を描いたらどうですか(笑)

風光めいび先生:絵描いちゃうと痛車になるので(笑)

まるなな:すごい寄子ちゃんファンの人みたいに思われちゃいますね(笑)

まるなな:寄子ちゃんのテントむしには、FFヒーターが付いているんですね。

風光めいび先生:はい。付いていますね。

まるなな:「FFヒーターは必要か」と相談されることが多くて。やっぱり高い装備だし、皆さん悩まれるみたい。私は北海道の冬しか知らないですし、北海道の車中泊旅では必須装備なので、どう答えていいか悩んでいたんです。でも、11月の関東地方に来てわかりました。必要ですね!

風光めいび先生:必要ですね。寒いです。

まるなな:今度から、自信持って必要だと言います(笑)

「道草寄子」のモデルは「まるなな」なのでは……!?

まるなな:漫画を読んで思ったのが、寄子ちゃんって平日派遣で働きながらがんばってローン返して、週末旅をするっていう設定。私と同じ境遇すぎて「これは私がモデルなのでは?」と思っちゃいました(笑)

風光めいび先生:(苦笑)

まるなな:違うのですね(笑)

風光めいび先生:この設定に行き着くまで、実は1年くらいかかっていまして、最初はファミリーのお父さんが主人公でした。

まるなな:へぇー!

風光めいび先生:そこから、主人公は男性か女性か? 構成はどうするか? 悩み過ぎて何を描いていいかわからず、追い詰められてうつになりかけました(笑)

まるなな:寄子ちゃんは、相当難産だったのですね。

風光めいび先生:ポロッと出たのが、いまの寄子で。まさか採用されるとは思っていなかったです(笑)

まるなな:寄子ちゃん、ローンで購入ってすごいですよね。私はもう終わりましたが、ローンを払っているときは大変で……。でもキャンピングカーを所持するって、物だけの価値じゃないなと思うようになりました。

風光めいび先生:本当は子どもが小さいときに買えばよかったのですが。やっぱり子どもの憧れじゃないですか。中学生ぐらいから一緒に行ってくれなくなりますし。

まるなな:たしかに。キャンピングカーだからできる経験や出会いもありますからね。実際、めいび先生も私もテントむしで人生変わりましたからね(笑)

風光めいび先生:1巻4話に登場する「RVパーク飯田さるくら」で出会った家族は、家族構成そのままに、旅先で会った方をモデルにしています。

まるなな:旅先で会った人が実は漫画家で、自分がその漫画のモデルになるってすごいですね。それはかなりレアですが、たまたま隣になった人と情報交換したり、意気投合してSNS上でつながりを続けていく。そんな出会いもクルマ旅の面白さですよね。

風光めいび先生:あと、2巻8話の夫婦のモデルは、YouTuberのガタガタGOGOさんです。

まるなな:おぉ! 私と同じカーネル&SOTOBIRAアンバサダーのがっちゃんむっちゃんのおふたりですね。

風光めいび先生:キャンピングカーの外観とおふたりの話をモデルに描きました。

YouTuberのガタガタGOGOさん。

まるなな:なるほど。よく見たら同じクルマですね。

風光めいび先生:DIY要素も挟みたくて、軽キャンピングカーの車内を和室にしている方も取材して参考にしています。

まるなな:そうだったのですね! そういう話、裏話っぽくて楽しいです。

和室のモデルになった軽キャンピングカーの車内。