【概要】ホンダ・N-VANでバンライフを続けるruiさんを紹介。DIYで仕上げた車内インテリアや装備、バンライフに至るまでのストーリーなどを取材。

リモートワークがきっかけで本格的にバンライフをスタート

「ひきこもり」と聞くとマイナスなイメージをもってしまう人もいるかもしれない。

しかし、ここでご登場いただく「旅するひきこもり」ことruiさんは、そんなイメージとは少し離れた、アジアンリゾートなN-VANを愛車としている。

ハイトワゴンのフォルムをもつ人気の軽バン。荷室に、ネジ穴として使えるユーティリティーナットがあり、ruiさんは車体に穴あけ加工をせず、カスタムを行っている。

前車はホンダ・フィット。しかし、仕事の機材の積み降ろしがもう少し簡単な低い床のクルマが欲しくなったというのが3年前。

ちょうどその頃、ホンダからN-VANが登場。バンライフというキーワードも耳にするようになり、荷室がフラットになるこのクルマならば、仕事の合間に寝袋を敷いて車中泊を楽しむことができると思ったという。

自分の希望が叶う! と確信して新車で購入。その後は、公私ともにN-VANライフを楽しんでいたが……。

「コロナ禍で現場の仕事が一気になくなり、リモートが中心になりました。車内で仕事ができるならどこにでも行けると思い、興味があったバンライフに本格的にチャレンジすることにしました」

その決意からスタートした大改造。自ら発案したデザインをもとに、友人の指導を受けてDIYを進めるうちに、想像以上の個性的な車内空間ができあがった。

強くこだわったのは車内の世界感。かねてより好きだった雑貨屋「チャイハネ」の店内インテリアを参考にして、小物や布類はすべて好みの店で買いそろえた。これで“ひきこもり”の車内は完成。

「じつは、全国を旅しているわりに、あまり観光ってしていなくて。旅しているけど、旅してないんですよね。だから“ひきこもり”なんです」

旅のなかで培ったバンライフ生活の具現化

軽自動車に限らず、長期でクルマ旅を続けるとなると、車内は物で乱雑になりがちだ。しかし、ruiさんのクルマには生活感があまり感じられない。

このスタイルを維持する秘訣は、自分にとっていいもの、大切なものだけを所有することだという。

旅先ではあまりお土産などを買わず、かわりに自分が出合った景色を撮影したり、自分で作った曲の製作を重ねる。

観光目的の旅ではなく、移動する住居兼スタジオで、自分の感性と向き合うのがruiさんの旅の目的だからだ。

コロナ禍によるリモートワークの波に乗って、この旅が始まったruiさん。しかし社会は大勢と顔を合わせながら仕事をする、従来のスタイルに戻りつつある。彼のバンライフは今後どう変わるのだろうか?

「現場に復帰しなくちゃいけない、という気持ちはありません。いままでは仕事中心で生きてきたが、仕事は必要な分だけやればいいと思い始めています。旅と仕事のいいバランスを探っていくのが、今後の展望。

バンライフって、こうじゃなきゃいけないって定義がないと思っています。自分に合ったスタイルを探していけるおもしろさがある。旅先で気に入った場所で家を借りてもいい。北海道は特に気に入っているので、来年は冬も滞在してみたいですね」