【概要】スノーピークの「焚火台」についてキャンプ雑誌の編集スタッフが解説。1996年に発売。製品特徴やポイント、使用感、スペックのほか、歴史、シリーズ製品、Q&Aなどを紹介。

※こちらの記事はキャンプ雑誌『GARVY(ガルヴィ)』2021年6月号巻頭特集内「ロングセラーにはワケがある! 超定番焚き火台5モデルに迫る!」からの転載記事(抜粋、再編集あり)になります。

美しくてタフ。それがスノーピークの焚火台

GARVY編集部内でかなりの高頻度で使われていて、出番も多い焚き火台である。

私自身、社内の編集部に所属していた期間(2007~2014年)、誌面撮影の際に頻繁に使っていた。

その理由はやはり、セッティングの容易さにある。平たい収納状態から、開口部をぱっと開くだけで焚き火ができる状態になるのは、本当にノンストレス。

とくにやることが多いキャンプシーンの撮影では、この容易さが重宝した。

そしてフォルムの美しさ。三角パネルに脚が溶接されたものが4枚。それが展開時に逆四角錐になるよう溶接されている。三角パネルから伸びる脚の造形も含め、フィールドで絵になる美しさだ。

この重さだからこその安心感。一生使える頑強さにこだわった

逆四角錐の形にしたのは、火が燃えるスペースは外へ向かって開いている形状がベストであること、さらに収納を考え、折りたたんで持ち運びができるなど、必要な要素をすべて考察した結果だという。

逆四角錐は中央に重量が集中し、そして重みが上からかかることで、押し広げられた各脚がさらに安定する。使用時の安心感も高いつくりだ。

ただ、そこそこ重い。焚き火台単体で約5.5kgという重厚感はほかにはあまりない。

けれどこの重みこそが、焚き火の熱による変形を防ぎ、一生使い続けられることの証なのだ。

焚き火台なのである程度、熱による変形は仕方がない。火床部分はとくに。

けれど思い起こせば、頻繁に使っていた7年の間、この焚き火台は変形ひとつしていなかった。

溶接が外れることも、ガタつきもなし。さすがに焼け付きはあるものの、背筋はシャンと伸びている。そして今でも同じ姿のまま活躍している編集部の現役焚き火台だ。

スノーピークに聞いたところ、通常使用での修理の問い合わせや壊れたという話はほとんど聞いたことがないという。これはすごいことだ。 

こうして誕生から25年のこのモデルは、構造はそのままに、多くのユーザから愛されている。2021年にはソロに特化した焚火台SRが発売され、今後は大人数に最適な焚火台LL をリリース予定だ。

ポイント① 1.5mmの板厚を採用し、軽さよりもタフさを追求

開発の際、何度も耐火・耐久実験を行って導き出されたのが、1.5mm厚のステンレス板の採用。

これ以下の厚みだと、過酷な耐熱実験ではステンレス板が変形してしまう。当然、板厚を上げれば重くなるが、「一生使い続けられる」スペックにするため、迷うことなく1.5mm厚を採用した。

ポイント② 繊細な調整を繰り返し、ロボットによる溶接を確立

焚火台は国内の工場で、溶接ロボットを使い製造している。高品質な製品づくりのために試行錯誤し、微調整を繰り返し、一連の溶接工程を確立した。

三角板と脚のパイプは確実に接合され、焚き火の熱に負けることはない。

本体にはスノーピーク製品の証である刻印が。現在、Lサイズは社外の工場で製造されており、ロゴ下は「MADE in JAPAN」。

ほかのサイズは社内工場で製造され、「HEADQUARTERS」の刻印も入っている。

ポイント③ “機能美”を感じさせるたたずまいがたまらない

逆三角錐のフォルムと、三角形のパネルから斜めに地面に設置する脚のパイプ、そしてデザイン性をもちながら燃焼を助ける空気孔。

シンプルで無駄がなく、そのたたずまいはまさに機能美。使っても、眺めても楽しめる焚き火台なのだ。

ポイント④ 開くだけでセッティング完了。たためばスリムに。

パーツを組み立てるなどの手間が一切なく、ワンアクションで準備ができるのは本当に便利。本体を開くだけで大きく使える。

たためば薄く平らに収納が可能。重さはあるが、このコンパクトさは持ち運び、クルマへの積載も便利。

別売の収納ケースは肩掛けができ、袋には余裕があるので、オプションギアも一緒にしまうことができる。

スノーピーク「焚火台」の歴史

スノーピーク 焚火台L 製品データ

焚火台L(本体、収納ケース)
価格:1万7600円(税込)

使用時サイズ:約45.5×45.5× H31.5cm
重量:約5.5kg
本体材質:ステンレス

開口部の内寸は約43×43cm。一般的な薪のサイズなら問題なく置ける。