キャンプ場なら、どこでも焚き火ってできる?
どこのキャンプ場でも、またキャンプ場内ならどこでも、焚き火ができるというわけではない。焚き火ができるかどうかはキャンプ場によってさまざま。ただし、多くのキャンプ場が「焚き火台を使用すればOK」だ。
また、焚き火OKのキャンプ場でも、どこでも焚き火ができるわけではない。もちろん自分のサイト内で楽しむのが基本だけれど、なかには「場内の限られた場所のみで焚き火OK」など、制限を設けているキャンプ場もある。
いっぽう、地面の上で焚き火を行う「直焚き火(じかたきび)」が可能なキャンプ場もあるが、その数は限られている。事前に確認しておこう。
キャンプ場の多くが、焚き火台を使用するならOK
器具を使用すれば焚き火OKというキャンプ場がほとんど。なかにはサイトに専用のファイヤープレイスが設けられていたり、焚き火に特化したサイト、定額制で薪が使い放題というキャンプ場などもあり、焚き火好きにはたまらない。
いっぽうで、キャンプ場内の専用スペースのみで焚き火OKというところもある。自分のキャンプサイトで焚き火ができない場合もあるので、予約時にキャンプ場に確認しておこう。
直焚き火できるキャンプ場は限られている
直焚き火とは地面の上で直接、焚き火をすること。石で炉を作り、その中に薪をくみ上げて火を起こし、ワイルドな雰囲気を味わうことができる。
けれど、その直焚き火可能なキャンプ場はかなり少ない。近年、焚き火の後始末をしないケースが増加しており、それを理由に直火禁止にしたキャンプ場もある。利用するなら、ルールとマナーは厳守だ。
▼焚き火のルールとマナーをキャンプ場に聞いてみた! みんなが安全に気持ちよく焚き火をするには?
焚き火に必要な道具
焚き火を安心して楽しむために、最低限必要なのは下で紹介するアイテム。焚き火台やグローブなどのキャンプ道具に加え、鉈や火ばさみなどをそろえよう。全体的に熱に強く、頑強なものを選ぶのがポイントだ。焚き火台の大きさや形状はさまざまなので、自分のキャンプスタイルに合わせてチョイス。
1.焚き火台
筒型にカマド型、ディスク型など形状はさまざま。火床に空気が通る構造のものが多く、火が起こしやすい。
2.火ばさみ(トング)
薪をくべたり、移動したり、焚き火の際に活躍。火の中心部まで届くように、長いタイプのものを選ぼう。
3.ライター
組み上げた薪の中心部に着火するので、柄の長いタイプや、風に強いターボ式が重宝。ひとつ持っておくと便利だ。
4.焚き付け(松ぼっくり、着火剤など)
市販の着火剤のほか、ヤニを多く含んだ松ぼっくりは燃えやすく、着火剤代わりになる。スギの葉も火付きがいい。
5.鉈やナイフ
太い薪を細くするのに便利な鉈。ナイフは木を削ってフェザースティック(着火剤)を作るなど、いろいろ使える。
6.グローブ
焚き火の火力でやけどしないよう、グローブの用意は必須。ささくれだった薪をつかむのにも安心だ。
7.火吹き棒、うちわ
火吹き棒は火を熾すときに重宝。火の中心部にそうっと風を吹き込み、火を育てるアイテム。うちわで代用も。
焚き火シート
最近は、“耐火シート” “スパッタシート”など呼ばれる、耐熱性の高いシートを焚き火台の下に敷くのがスタンダード化。
焚き火台の火床の熱や、火のついた炭のこぼれなどによる、フィールド(芝や草地)の焦げを防いでくれる。キャンプ場のなかには、焚き火シート必須のところも。
薪選びのコツ
薪の種類は大きく分けて「針葉樹」と「広葉樹」の2種類がある。着火に針葉樹、その後は広葉樹と使い分けるのがオススメだ。
キャンプ場で販売している薪は、針葉樹と広葉樹をミックスしているものもあれば、どちらかのところも。気になる人は事前に確認を。
針葉樹
スギやヒノキ、アカマツなどに代表される針葉樹。皮が柔らかくて、はがれやすいものが多く、皮をはがして焚き付けに使用することもできる。火つきがいいが燃え尽きるのも早い。
広葉樹
ミズナラ、シラカバ、サクラなどが代表。樹皮がゴツゴツとして硬いものが多い。火持ちがよく、熾きの状態で長時間楽しめるのが特徴。ただし針葉樹のような火つきの素早さは望めない。
焚き火スペースはキャンプサイトのどこがいい?
焚き火スペースの基本は、人が集まるリビングスペースやキッチンスペースから十分に離して設置すること。
ファミリーキャンプの場合は、子どもが走りまわることもあるので、とくに距離感に注意しよう。また隣のサイトに火の粉や煙が直撃しないよう、風向きにも配慮することも大切。
火を育てる焚き火の仕方
最後にスムーズな着火方法&火の育て方を紹介。最初に知ってほしいのが、太い薪には直接、火がつかないということ。細い薪から火をつけて、徐々に太い薪へと移し、火を育てていくのだ。
もうひとつポイントとなるのが薪の組み方。空気の通り道を確保できる、代表的な薪の組み方は下の2を参照。さあ、焚き火に挑戦しよう。
1 太さの違う薪を用意する
乾燥した小枝や、薪の樹皮部分を削いだものなど、細めの薪や枝を用意。その次に火を移す薪は、鉈などで中〜細めに割っておく。太さ別に3種類を用意。森に落ちている松ぼっくりやナラの樹皮などは、焚き付けにも使える。
2 薪を組む。
代表的な組み方は下記の3つ。重要なのは空気の通り道を確保することだ。
合掌型
円錐状に薪を組む、定番の合掌型。下から空気を取り込みやすく、炎が上昇するので勢いよく燃える。焚き火の姿も美しい。勢いよく燃えるがゆえに、こまめな薪の補給が必要になる組み方だ。
井桁型
井の字型になるよう、交互に薪組み上げる方法。着火後はこの井桁型の全体が燃えていくので、大きな炎になる。キャンプファイヤーなどでも採用されている構造だ。薪の消費量が高い。
並列型
枕木を横に2本渡し、その上に薪を並列に置く組み方。薪の安定感がよく、燃焼効率もいいので、強火力になる。調理の焚き火として使ってもいいかも。直焚き火用の組み方としてもオススメ。
3 着火し、火がまわったら風を送る
薪を組んだら、その中心に焚き付けをこんもりと置き、ライターやマッチで火つける。火が上がったらまずは様子を見る。小さめの炎が安定したら、火吹き棒などで焚き火の中心に、そっと空気を送り込む。
4 炎が安定したら、太い薪をくべる
焚き付けから細い枝、中太の薪、太い薪へと火がまわって安定したら、太い薪をくべて、さらに炎を大きく安定させる。これで焚き火の着火は完了! あとは随時、薪を投入すればOKだ。
5 焚き火の終わり方
薪は灰になるまで燃やし尽くすのが、ベストな終わり方。あとは灰捨て場などで灰の処理をすればいい。
灰だからといって、サイトに捨てるのは絶対NG。その灰は、次の利用者のためにキャンプ場が掃除することになるのだから。
薪が燃え尽きないで残ってしまったら、管理棟で捨てられないか聞いてみよう。
イラスト:岡本倫幸
出典:GARVY 2019年12月号