【概要】
息子と母の日本一周、車中泊&キャンプ旅の連載レポート。今回は2019年3月に3週間で17地域をまわった日本一周旅の続きのお話。当時4歳の息子・アリとおかあさん(三沢真実)のふたり車旅は、和歌山、大阪、淡路島へ!

日本一周旅の続きへ② 助手席のパートナー(後編)

どんどん塗りつぶされていく日本地図。

※前回vol.5から、日本一周旅の続きへ出発! 2019年3月、当時4歳の息子・アリと、3週間で17地域をまわった旅のお話です。

和歌山県に立ち寄るべきかどうか、悩みに悩んだおかあさん。スマホに表示したGoogleマップを何度も引き伸ばしては縮めてみたり……。

そんなことをしていると、地図から「いらっしゃい〜」と呼び掛けられたように私の指はある場所へ向かった。そこは、和歌山県でも奈良県に程近い場所に位置するキャンプ場「どーむびれっじキャンプ場」だ。

HPを開くと出てきた黒いドーム、これは何かな? 「深夜キャンプ」などのイベントが開催されているとの情報もあり、なにやら気になる。

奈良から車で1時間半ぐらいか……。ストレートに大阪入りして、先を目指すよりは負荷があるけれど、これくらいは許容! よし! 和歌山県の目的地はここにしよう。

すぐに予約の電話をして空きを確認。奈良から向かうのでチェックインが遅くなってしまうこともお伝えしたが、すべて快諾していただけた。

いざ和歌山県へ出発!

動き出せばあっという間。あの写真に写っていた橋の前に到着。

キャンプ場へはこの橋を渡って向かう……スリル満点(汗)

エブリィさんはこの橋を通れるサイズなので、キャンプ場に車で入場できたが、橋を通れない大きな車の場合は、車を橋の手前の駐車場に停め、管理人さんの軽トラで荷物を運搬してもらう。

この日のキャンプ場利用者はアリとおかあさんだけだったので、好きな場所を選ぶことができ、桜の木の下を贅沢に使わせていただくことにした。

それから、ついつい長居してしまう居心地のいい管理棟で、なんと日付が変わるまで管理人さんとおしゃべりしてしまった!(管理棟はインパクトのある黒いドーム!)

ドームの中はこんな感じ。

このキャンプ場は、実は前の管理人さんが突然亡くなられたため、現在の管理人さんが人情で引き継がれたとのこと。おひとりで試行錯誤しながら、たくさんの苦労と努力をされ、今まで切り盛りしてきたそうだ。

このインパクトのあるドームは、キャンプ場再建のためにシンボルにしたいと輸入したものだそう。直線と直線が出合って円を産み出しているこの空間には、不思議と吸い込まれるような魅力がある。

管理人さんが「ここにはいつも子どもたちが集まっている」といっていたけれど、アリも例に漏れず、この場所と管理人さんのファンになって、すっかり(ちゃかり)くつろがせていただいていた。

このキャンプ場の口コミには管理人さんの優しい人柄へのコメントや、親切にしていただいたことへの感謝の言葉が多い。

人生を賭けたひとりの男性の挑戦は、この場所を訪れる人々の心を温め、豊かにしている。きっと、ここをリピートする人たちは、単純な場所以上の魅力を感じ、引き寄せられているのではないだろうか。

思いがけず濃い時間となった和歌山県の夜。私もここに呼んでもらえたのかな。

もちろん、どーむびれっじキャンプ場のサインもいただきました!

旅には「この道が正解」という答えはない。なのに、つい答え合わせのできる部分を探したくなる。

でもどの道を選んでも、その道を選んだ自分に対して誠意を持って進めばきっと「その道が好きになる」

頼るはやっぱり……!

長居公園のHANDSOMEbotGARDEN。

和歌山県の次は大阪府へ!

そして、ここでまた難儀なことが……。

せっかく大阪へ行くのならやっぱり新世界かな!? と大阪初心者のおかあさん。

新世界付近への到着は夜になってしまうので、夜はその辺りで泊まりたいのだが、繁華街での車中泊はなんとなく不安なので、ここではゲストハウスを利用したい(アリとおかあさんはゲストハウスも好き)

しかし、二段ベッドが並ぶタイプのゲストハウスを利用する場合、アリとおかあさんには少しのハードルがある。アリは怖がりで、まだ一人で眠れないので(泣)、ゲストハウスではひとつのベットにふたりで一緒に寝たい。

けれどゲストハウスによって、対応は様々なのだ。大人と幼児でベッドひとつの利用ならひとり分の利用料でよいところ、幼児の割引をしてくれるところ、ふたり分の料金を払えばひとつのベッドで寝てよいところ、ふたり分の利用料を払ってもひとつのベッドで寝るのはNGのところ、幼児の宿泊自体がNGのところなど……。

2段ベッドタイプのゲストハウス。2018年5月@沖縄。

おかあさんは、どーむびれっじキャンプ場を出発して大阪を目指しながら、頭の中で立ち寄り地と順番を組み立てて、休憩の度にちょこちょこと範囲内のゲストハウスに電話を入れてみた。

しかしこの日、アリとおかあさんにちょうどよいゲストハウスは、夕方になっても見つからなかった。

そうこうしているうちに新世界に到着したので……まずは楽しむ! アリとおかあさん。

新世界のネオンに「お祭りみたいだねー!」と目を輝かせるアリ。

ここでお菓子を射落として大満足のアリ。

たこ焼きや、串揚げでお腹もいっぱい! 新世界を満喫! 満足!

時刻は20時。だけどまだ今夜泊まる場所は決まっていない……。

う〜ん、そしたら今日は大阪市街に泊まるのはやめて、もう少し走った先に、車中泊しやすそうな場所を見つける作戦に変更だ!

さっそく次の目的地、徳島県方面で車中泊できそうな場所を検索すると、淡路島の真ん中あたりに、美しい朝日が見えるという場所が目にとまった。

これは最高だ!と、おかあさんはそこから眺める朝日を妄想し走り始めた。(遊び疲れたアリは出発するや否や夢の中)

そして走ること2時間。Googleマップで検索した場所にたどり着いたが……

ここにはどうやら入れないようだ……。

進入禁止のコーンの奥には車中泊かどうかはわからないけれど、乗用車が何台か止まっているので、もしかしたら別の場所に入り口があるなど、入る方法はあるのかも知れない。

しかし、この真っ暗な状況では他の方法を見つけられそうもないし、周囲にはこの場所について聞けるような人もいないので、残念だけど、今日この場所で車中泊するのは諦めよう(あさひ〜)

時刻は22時。いまだに決まらない今夜眠る場所。

おかあさんは、「ありとおかあさんの車旅Vol.1」で教訓として“余裕を持って出発するべし” “無理しない選択も必要”と言っているのだが……教訓を活かせていない自分に、ダメじゃん!! と突っ込みを入れながらも、やらかし経験値を積み、タフにもなった毛の生えた心臓に苦笑い。

とにもかくにも、今夜落ち着ける場所を探さねば! と今度は道の駅を探すと、そこから20分ほどの場所にある淡路島の先端「道の駅うずしお」が安パイな感じだ。頼るはやっぱり道の駅!

なんとか日付け変わる前に到着したその道の駅には、すでに車中泊中の車が何台も止まっていた。灯の漏れる車内から団欒の風景などが垣間見える車もあり、「あ〜落ち着く〜」と胸をなで下ろし、またまた道の駅の存在に感動した夜だった。

「それでは、おやすみなさい!」

……とは言えず、そう、ここから車を車中泊仕様にする作業が待っている。

今度は30分ぐらいで(この旅の1泊目では1時間半かかった)なんとか形になり、無事に眠りにつくことができた。

助手席で寝ていたアリを寝袋の中に。

翌朝の積載。最初よりちょっとスマートになった?

“ありとおかあさんのたび”

翌朝、車から出ると、道の駅うずしおではイベント(?)が開催されていて、ブロック遊びや、ホワイトボードにお絵描きなどが自由にできるようになっていた。

そこで、アリはホワイトボードに「おかあさんにおてがみだよ」と、覚えたてのひらがなで“ありとおかあさんのたび”という文字と(ところどころ反転しているところがかわいいね)アリとおかあさん、エブリイさんとテントと焚き火の絵を描いてくれた。

私はとっても嬉くて、大喜びしながらも、これを描いてくれたアリは、きっと一生懸命おかあさんを喜ばせようとしてくれているのかな……と、胸がキュッとなった。

おかあさんがどんなときに嬉しそうにするのか、よく見ていて、よく知っていて、きっとその瞬間を求めている。

おかあさんは「ふたりの楽しめる真ん中を求めて、キャンプ・車旅をしたい」なんて、いっているけれど、なんだかんだ口実付けたって、この旅はおかあさんのやりたいことに比重があるよね。

「子ども向けのアクティビティに付き合うだけではつまらない顔しちゃうから、ふたりで楽しめることをしたい」ともいうけれど、アリはそんなおかあさんよりよっぽど、おかあさんのわがままや至らない部分に付き合い、寄り添ってくれているよね。

アリとおかあさんの旅の目的は「ふたりの時間を楽しむこと」。アリのためだけでも、おかあさんのためだけでもないふたりの旅だから、一緒に楽しいことを考えようね。ふたりでワクワクする絵を描いていこうね。

これからもどうぞよろしく、驚きの成長を続ける助手席の頼もしいパートナー!

どーむびれっじキャンプ場の管理人さんがシャッターを切ってくれた1枚。

※記事内に掲載されている情報は2019年3月現在のものです

 

著者プロフィール 三沢真実 mami misawa

クリエーターズユニットCAMMOC(キャンモック)にて「キャンプのある暮らし」をテーマに、情報発信、キャンプコーディネート、イベント企画、などを⾏うクリエイティブデザイナー。現在7歳の息⼦と2⼈で⽇本⼀周車中泊&キャンプ旅の途中。
Instagram @mamimisawa
CAMMOC Instagram @cammoc