【概要】車中泊キャンパー・ちょもかさんの愛車をDIYでリニューアルする連載企画。DIYアドバイザーは鈴木大地さん。④-2では漆喰風天井の製作が完了するまでを紹介。

★車中泊DIY講座 ちょもかのハイゼットカーゴ・カスタム大作戦 過去記事

DIYに挑戦&サポートするのは……

画像: DIYに挑戦&サポートするのは……

(右)ちょもかさん
車中泊やキャンプを楽しみながら、YouTubeやInstagramなどのSNSで情報を発信。自転車にも乗っていて、自転車&キャンプなど、独自の新しい世界観を展開する。

(左)鈴木大地さん
さまざまなバンライフ車両を作ってきたクルマ作りのプロフェッショナル。DIYアドバイザーとして、幅広いDIYのワークショップも行っている。株式会社earth代表。

ついに完成! 新発想の漆喰風天井

▼前回の作業はこちら▼

装着していた杉板の天井を外し、まっさらなベニヤ板の上に載せ、同じ形の板を作る。ねじ止めの穴をあけて、梁のイメージとなる木材を取り付け、下地づくりは完成。

モルモルはある程度の厚みがある塗装。そこで梁部分のベニヤ側に塗装の厚み分を残して、マスキングテープを張っていく。

モルモルの販売元ニッペホームプロダクツに施工方法を確認したところ、ベニヤに直接塗るのであれば、下地を少し湿らせた方が、乾燥のバランスが調整しやすい、というアドバイスをもらった。そこで、霧吹きでベニヤ板全体を湿らせてから、塗布作業に入る。

モルモルの表面をちょもかさんが手で仕上げていく。モルモルは手で簡単に伸ばせるので、子どもでも作業ができるほどお手軽。においも少なく、作業のしやすい仕上げ材だった。

乾燥すると、漆喰風の表面がきれいに浮かび上がってくる。これだけ手軽なら、いろいろな場所で利用できそうと期待するふたり。

乾燥までに夏場で3時間、冬場で6時間かかるので、しばらく工房の片隅で乾燥させることになった。

その間は既存の天井に取り付けられていた杉板のビンテージ加工、イベントで使う看板の作成などをしながら待つ。そして、時間が過ぎ、天井の仮組みを行うことに。

天井のプレートを中に入れただけで、室内が一気に明るくなった。LEDテープライトを仮設して、全体の雰囲気を確認。

いままで見たことのない、新しい車中泊軽自動車のインテリアが浮かび上がる。ちょもかさんのアイデアと鈴木さんの技が融合した新発想のインテリアの一部が完成した。

作業手順

モルモル前に準備

画像1: モルモル前に準備

念願のモルモルを手に入れたちょもかさん。塗る前からテンションが上がる。もっさりとしたモルモルは混ぜる必要がないが、刷毛で塗料をすくいながらニコニコ。

理想のクルマのために、ひとつひとつの材料にもこだわる姿勢に職人気質を感じる。

画像2: モルモル前に準備

事前にモルモルの使用感をテストして、どの程度の厚みで塗れるかを検討してみた。シリコン系の塗料なので、さほど重量が増えることはないが、初めてのことなので約3mmの厚みとすることに。

画像3: モルモル前に準備
画像4: モルモル前に準備

梁部分にしっかりとマスキングをして、下地のベニヤを湿らせておく。乾燥した板にモルモルを塗布すると、板側の乾燥が早くなってしまうための対処。

思いどおりの表情に

画像1: 思いどおりの表情に

今回は鈴木さんがベースを作ってから、ちょもかさんが仕上げる連携プレー。モルモルは手で塗れるし、修正も簡単。何回も繰り返し、理想の形を求めていると時間を忘れてしまう。

画像2: 思いどおりの表情に

モルモルは手で塗れるので、刷毛などは必要ない。今回は厚みを統一したかったので、タイルなどを張るときのボンドを伸ばす「のりべら」を使ってみた。簡単にモルモルを広げることができた。

画像3: 思いどおりの表情に

梁部分はベニヤ板と少し隙間をあけてマスキングテープを張っている。その隙間にしっかりとモルモルが入るように指でていねいに仕上げていく。

画像4: 思いどおりの表情に

モルモルの厚みも統一され、表面の造形も思いどおりに作業ができた。最後は全体を見ながら、盛り上がりなどを修正。作業はあっという間に終了。

仕上げにこだわる

画像1: 仕上げにこだわる

全体にモルモルが塗れたら、マスキングテープを剥がしていく。マスキングテープを端っこから引っ張っていくと、きれいに境目が見えてくる。

画像2: 仕上げにこだわる

一般的な塗料と違って、剥がしたマスキングテープがある程度の重みをもっているので、モルモルの上に落ちないように、慎重に剥がしていくのがポイントになる。

画像3: 仕上げにこだわる

理想の漆喰風天井プレートが完成!

画像4: 仕上げにこだわる

ある程度乾燥したら、天井に固定するためのビス穴をあける。まだ、全体が完全に乾いていなかったが、仮組みをして、全体の雰囲気をチェック。

杉板の天井よりも若干軽いぐらいの重量だったので、ひとりでも作業ができそう。

スチールウールで!?

画像: スチールウールで!?

杉板の天井は鉄媒染という手法を使った。材料はお酢とスチールウールのみ。お酢にスチールウールを入れて、数日放置。今回は3日間そのままにしたお酢を使った。

画像: 無加工状態の杉板。

無加工状態の杉板。

この液体を木に塗ると、木材のタンニンと反応するという仕組み。しばらくすると木材が変色する。

画像: お酢とスチールウールでエイジング加工した杉板。

お酢とスチールウールでエイジング加工した杉板。

杉板はタンニンがたくさん含まれているので、鉄媒染の効果が現れやすい。節の部分は特に反応が強いのがわかる。反応が薄い場所もあるが、事前に表面を荒らしておくと、色を濃くすることも可能。

お酢にスチールウールを漬ける時間によっても仕上がりが変わる。タンニン含有量によって、仕上がりがばらつくのも面白い。

お酢のにおいがするが、自然素材で簡単に木材を染められるので、エイジング加工におすすめの手法。

乾燥の間にもう一品

画像1: 乾燥の間にもう一品
画像2: 乾燥の間にもう一品

天井のモルモルを乾燥させている間、ちょもかさんがニコニコと鈴木さんに何かをお願いしている。工房の端材で看板を作りたいという。しかも、モルモルを使って。

画像3: 乾燥の間にもう一品
画像4: 乾燥の間にもう一品

塗りの作業をしていて楽しかったのか、新しいアイテムを作りたくなってしまった様子。

大満足の漆喰風天井が完成

画像1: 大満足の漆喰風天井が完成

室内に漆喰風の天井をセット。前後に伸びる梁の木材がデザインのアクセントになっている。軽自動車という限られたスペースながら、白い天井のおかげで、不思議と広さを感じる。

画像2: 大満足の漆喰風天井が完成

サイドからLEDテープライトの光を入れてみると、白い天井にライトの光が反射して、幻想的な雰囲気に。モルモルの凸凹した表面がさらに強調されて陰影が美しいテクスチャーを生み出した。

手軽にできるかわいらしい天井加工は次のトレンドになるかもしれない。しかも、気分で交換できるのも◎。

画像3: 大満足の漆喰風天井が完成

完成した天井を見上げて満足げなふたり。漆喰風のインテリアを作りたいというちょもかさんのオーダーに最初は不安を感じたが、モルモルのおかげで、かわいらしい室内空間が完成。次はライト設置が課題に。

写真:中里慎一郎 
文:渡辺圭史 
(カーネル2024年5月号vol.66より)

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