パジェロの4WD性能と3列一体型シートをもつミニバン型SUV
「とにかくデカい! いや長い!!」
初めて三菱・デリカスペースギアを運転した際の印象だ。RV&アウトドア雑誌にアルバイトで潜り込むことに成功した約30年前。撮影のために、さまざまなRVに乗る機会があったが、初めて運転するクルマは、とにかく緊張した。
今回、同企画で紹介するスペースギアも、緊張したクルマのひとつ。ショート(標準)なら、現在のセレナやステップワゴンより短いくらい。しかし、ロングとなると一部のハイエースよりも長い。同連載担当のスペースギア初乗車がこのロングだったため、冒頭の言葉となったわけだ。
そもそも発売は1994年5月。90年代に起こったキャンプブームが盛り上がりを見せるなか、大人気を誇っていたパジェロと同じ4WDシステムを「ミニバンなのに」採用。当時の、「RVといえば三菱」しかできないモデルだったと思う。
車内の広さ、走破性能の高さなどで、アウトドア好きから大きな支持を得ていたが、じつは車中泊にもピッタリだった。
その理由は、多彩なシートアレンジだ。特に8人乗りは3列シートがすべてつなげられるだけでなく、2列目シートが回転対座仕様(いまやなくなった!?)で、純正なのに、横向きだけでなく、応接室のように後ろ向きにもなった。
さて問題。当時の上司に「写真を見て、ロングかショートかわかりますか?」と聞いたところ、「自分はわかるが、一般読者はわからないのでは?」という返答だった。
皆さん、今回の写真はどちらかわかりますか? もしわかったら、編集部にご一報を。何かプレゼントします。
三菱・デリカスペースギア
販売期間:1994年5月~2007年1月
2代目パジェロをベースに製作された日本初のフロントエンジン仕様のハイルーフミニバン。当時、アウトドア好きの支持を得て、90年代のオートキャンプブームで大人気を博した。
パジェロ譲りのスーパーセレクト4WD(2WD、フルタイム4WD、直結ハイレンジ4WD、直結ローレンジ4WD)を採用。最低地上高は210mm。高い悪路走破性を誇っていた。
多彩なシートアレンジがたまらない!
2+2+3の7人乗り。2列目シートにはキャプテンシートを採用。
上の2点は8人乗りで、2列目がベンチシートとなっている。バスの補助席のような1名シートを折りたたむと、なんと横向きでも使用できた。
ちなみに後列のスライドドアは、前期型の場合、右側にはなく左側のみ。
2+3+3の8人乗り仕様。3列シートがすべてつながるフルフラット状態。ショート(標準)で全長4695mm、室内長2850mm。ロングなら全長4995mmで室内長3295mmという広さ!
文:大橋保之(カーネル編集部)
(カーネル2024年5月号vol.66より)