トラックの荷台部分に居住用の「シェル」を積載したキャンピングカーのことを「トラックキャンパー」と呼ぶが、そんな通称「トラキャン」に特化した珍しいイベント「おにもつふぇす -Luggage Festival- 2023」が愛知県田原市の仁崎キャンプ場で開催された。
トラキャンで生活しながら日本一周中のユーチューバー「たびぐらし」さんが主催するこのイベントは今年で2回目。
トラキャンユーザーの交流だけでなく、自ら全国で見つけたトラキャンビルダーに声をかけ、車両展示もしながらビルダー同士の横のつながりをつくり、業界の発展を目指すのも目的のひとつ。
昨年は予想以上の反響を呼び、今年はさらに規模を拡大。トラキャンが今後ますます注目されるのを予感させるイベントとなった。
全国のトラキャンファン&地元の人々で大盛り上がり!
主催であるYouTubeチャンネル「たびぐらし-Journey Life-」のたろーさんとまきさん夫妻。
「たびきち」と名付けられたトラキャンで1000日以上生活しながら日本一周中。チャンネル登録者数6万人(2023年11月現在)。
ビルダー製から自作まで、ひとつとして同じシェルがない個性豊かなトラキャンが全国から大集合。
オーナー同士の情報交換だけでなく、トラキャン以外の参加者も興味津々でシェルを見学している姿が多く見られた。
また、たびぐらしさんによる購入検討している人への相談会なども行われた。
「日本の水浴場88選」にも選ばれた海水浴場をもつ仁崎キャンプ場は夕日の名スポット。
当日はキャンプ場の代表が仕留めたイノシシのジビエも振舞われるなど、地元の人もこのイベントを大いに楽しんでいた。
トラキャンユーザーだけでなく、普通車や軽キャン、テント泊、日帰りでの参加もOKなこのイベント。
ビルダーのシェルだけでなく、一般参加者の自作シェルも見られる貴重な機会とあって、参加者も昨年の1.5倍に増えた。
夜には浜辺に組まれた巨大なキャンプファイアーがたびぐらしさんにより点火。多数のキッチンカー出店、豪華景品がハズレなしで当たる抽選会など、イベントは一日中大盛り上がり。
全国のトラキャン・ファンや地元の人々も巻き込んだ「おにもつふぇす」、来年もさらなる盛り上がりを見せそうだ。
個性的すぎるトラキャンの魅力!
車両展示されていたビルダー製トラキャンのなかから注目シェルをピックアップ!
夢創エージェンシー YADOCARRY《W》
FRP一体型シェルが特徴の「ヤドキャリー」は、シェルにつなぎめがないため、雨漏りやすきま風などの心配もなく、断熱性も抜群。
自動車の積載の制限に係る道交法の一部改正により積載可能となったワイドタイプの新型シェルは、広々とした居住スペースとスタイリッシュな内装で、軽トラックの荷台にいることを忘れさせてくれる。
内装やFFヒーターなどのオプション、窓の位置や数などもフルオーダー可能。会場にも3台のヤドキャリーが来場していたほど、人気のシェルだ。
Moon River rv YUKIMURA
アルミ加工のプロフェッショナル「アルミの鍛冶屋」がフレームを製作し、各社が持ち味を活かしたオーダーメイドシェルを展開するグループ・A.F.C。
今回は8社が参加し、個性豊かなシェルが一堂に介したが、そのなかでも際立った存在感を放っていたのがMoon River rvのこのシェルだ。
細かい調度品までこだわった和室には床の間まである。デザインだけでなく、大きな開口部や屋根の上の室外機など、技術面でも技が光る1台。
なお、名前の由来は「真田幸村」とのこと。
Green Wood's Log Home Type3
ベース車がハイラックスなので圧倒的に広々した空間のシェル。ログハウスメーカーが製作しているので、シェルのデザインや居住性は抜群。
広い常設バンクベッドとは別に、コの字方のベンチも展開すればベッドに早替わり。エアコンやギャレー、ソーラーパネルやサブバッテリーなどの充実した電装系も標準装備。
オプションでガスコンロや外部シャワー、LPガス給湯器も設置可能。1台ずつフルオーダーなので、自分だけの極上空間をオーダーできる。
市川商店 軽トラハウス OHACO
シンプルな「ハコ」が特徴のOHACOシリーズは、建築業で培ったノウハウを活かし、ガルバリウム鋼板を使用した住宅並みの耐久・耐火性を持つシェルを軽量かつ低コストで実現。
外装、内装の色や素材、インテリアはもちろん、柱のないパネル工法のため、窓の位置や大きさ、形状なども自由自在にオーダーメイドできる。
納品も最短で2週間とスピーディー。見た目はシンプルだが丈夫で長持ちするシェルを自由に楽しみたい人にはもってこいだ。
ほかにも個性豊かなトラキャンが勢ぞろい!
ピックアップした以外にもまだまだ個性豊かなトラキャンが多数展示されていた。
シェルは積載物扱いなので、一般的なキャンピングカーよりも自由度の高い設計が可能。また、ベース車両が故障しても車体のみ交換できるのも大きな魅力だ。
写真:rui、まるなな
文:rui
初出:カーネル2024年1月号vol.64