国内大手メーカーのなかでも、いち早くエアチューブ式テントに取り組んできたロゴスより、ついにカーサイドシェルター「Tradcanvas エアマジック カーサイドルーム」(10万8000円)がローンチされた。
果たして車中泊キャンプでの使い勝手は?
広げて空気を入れれば8割完成!
収納袋の中には、フライシートとベルト、屋根フレーム、キャノピーポール、エアポンプ(ダブルアクション)、張り綱、ペグ、はしご形のラダージョイントが入っている。
設営は5ステップ。エアポンプとラダージョイントの使い方さえわかれば、あとはいちいち説明書を見なくても迷わず設営できるだろう。
①フライシートを広げる
チューブはアルファベットの「H」状に伸びている。チューブが折れた状態だと空気がうまく入らないので、できるだけチューブがまっすぐになるよう広げておこう。
なお、本来は前後にベルトを取り付けてから空気を入れるが、クルマに接続したりキャノピーを跳ね上げる場合はベルト不要だ。
②ポンプで空気を入れる
空気孔は2カ所ある。どちらかひとつから空気を送り込めば、チューブ全体が膨らむので、片方の蓋を閉めていることを確認してから空気を注入。
付属ポンプはINFLATE側に空気圧計とホースを差し込む。適正値は5〜6psiなので、空気圧計のメモリを確認しながら空気を注入する。
キャンプ可のRVパークでは舗装された場所に設営することもあるが、真夏は次第に空気が膨張するので控えめに。焼けた石や砂のサイトも同様だ。
最初から最後まで付属ポンプを使ってもいいが、暑い時期の設営などできるだけ体力を温存したい場合は、ポータブル電源やクルマのアクセサリソケットにつないで空気を入れる「グランベーシック エアマジック 電動ポンプ」(2万1000円)を使用するのも手。
4psiに設定しておき、最後に付属ポンプで仕上げれば設営労力を大幅に低減できるのだから。
電動ポンプを使えば、指定した空気圧になると自動でとまる。空気孔とホースが外れないよう軽く持っておくだけでいいので、ただでさえ簡単な設営がいっそう楽になる。
電動ポンプはエアベッドだけでなくSUPやパックラフトへの空気注入も可能だし、体力を温存できるので、アクティブ派は買って損はない。
ただし、それなりに大きな音が響くので、使用できるのは日中のみと考えたい。
③ペグで固定する
チューブのそば、四隅にラダージョイントを取り付けてペグダウン。
ハイルーフのミニバンとシェルターを接続する場合、クルマ側のチューブが浮いてしまうことがある。
そこで最初はできるだけフライシートに近い穴にペグを通しておき、クルマと接続するときに改めてラダージョイントにペグを通す位置を調節すればいい。
④屋根フレームを装着
エアチューブ式ではあるが、フライシートの内側に屋根フレームを装着する。これにより耐風性がアップするので忘れずに。
⑤フライシートをクルマの屋根にかけ、張り綱で固定する
クルマのサイドドアまたはバックドアにシェルターの入り口をかぶせ、張り綱でペグダウン。
さらにチューブそばの張り綱(キャノピーを跳ね上げない場合はベルトも)をすべてペグで固定して完成だ。
石混じりの硬いサイトだったのでペグダウンに手間取ったが、空気を入れるだけなら2分もかからない(公式では70秒)。
なによりもフレームをどこに通すか悩まないし、長いフレームを通すときに近くに止めているクルマを傷つけずにすむのはうれしい。
家族がくつろげるでっかいリビング
「Tradcanvas エアマジック カーサイドルーム」の設営サイズは310×325×H210cm。ファミリーキャンプ向きのシェルターとほぼ同じ大きさだ。
小さめのテーブルを置けば、シェルター内の行き来がスムーズ。
また、トンネル型テントは風などによって張り綱がゆるむと、フレームとフレームの間に雨がたまる危険があるが、屋根フレームを通しているので屋根部分がたわむトラブルを大幅に低減するのも頼もしい。
片側にマチがついているのできれいにクルマと接続でき、雨や虫、隙間風が入りにくい。
シェルターの入り口は、幅170cm、高さ185cm。
今回接続したクルマは、日産・NV200バネットベースの車中泊カー「キャネル」。
車高は196.5cmでラダージョイントが浮くものの、スカートのおかげで“浮き”を気にせずにすんだ。
ただ、張り綱や生地とクルマの間にゴミやほこりがあると、風などによって擦れたときに小さな傷を生じることがある。できれば当て布などをしておくほうがいいだろう。
メッシュパネルはロゴス得意の「デビルブロックST」。
UVカット率、遮光率ともに高く、小さな虫の侵入も防ぐ高機能メッシュだ。
窓と前後出入り口は全閉OK。
クルマで外出中、荷物を置きっぱなしにしても安心だ。
また、両サイドの窓は張り綱を使って、雨や日差しを遮りつつ風を通すようにもできる。裾のスカートもそうだが、環境によって調節しやすい仕様がうれしい。
重量12kg、収納サイズ34×72×H34cmとまあまあの大きさだが、「Tradcanvas」を冠するだけあり、フライシートは難燃性バルキーポリ製で火の粉が触れても燃え広がりづらい。
空気の力で手軽に快適なリビングを作れるうえ、ロゴスのカーサイドシリーズ初の単独使用だってできる。
「Tradcanvas エアマジック カーサイドルーム」は車中泊オンリーのバンライフというよりも、クルマを有効利用したい車中泊キャンプ向き。
特に連泊でSUPなどアクティブに自然を楽しむときにうれしいシェルターだ。
【問】ロゴスコーポレーション
写真、文:大森弘恵
撮影協力:PICAさがみ湖
著者プロフィール
大森弘恵…キャンプを中心としたアウトドアや旅の雑誌、ウェブメディアなどで活動するフリー編集者&ライター。キャンプの仕事に携わること約30年、ソロキャンプ歴は36年のおひつじ座 。