【概要】夏の車中泊の暑さ対策を紹介。標高を上げる、進路を北にする理由、標高重視の車中泊旅のプランニング手順、日本の気候区分と各都市の気温比較、駐車位置の快適度など。
画像: 標高1052mに位置する山梨県のRVパーク サクラリゾート。もし同じ地点で標高0mの気温が30℃だった場合、計算上では24℃以下の気温となる。(実際には同じ地点で計測できないため、あくまで計算値)

標高1052mに位置する山梨県のRVパーク サクラリゾート。もし同じ地点で標高0mの気温が30℃だった場合、計算上では24℃以下の気温となる。(実際には同じ地点で計測できないため、あくまで計算値)

夏の暑さ対策として、まず考えたいのは車中泊を行う場所だろう。じつは現在のところ、これが最も効果の高い「改良計画」といえる。

一番はやはり「標高を上げる」こと。そして日本の場合は、北へ向かうこと。この2点は、夏の車中泊を行ううえで、最重要項目といえる。

クルマ旅で、長年、夏の北海道が聖地であり、信州を中心した高い標高の地域が人気なのは、これが理由だ。

さらに、同じ車中泊スポット内でも、駐車する場所によって涼しさは大きく変わる。アスファルトよりは土、直射日光よりは木陰を選ぶようにしたい。

これは、就寝時間だけの話ではない。日中も意識しておくと、車内温度の上昇を抑えられる。

夏の車中泊の基本は標高を上げる!!

画像: 富士山・富士宮口の新五合目駐車場。標高2400m地点にあるので、標高0mで気温30℃なら、ここは約15.6℃ということになる。

富士山・富士宮口の新五合目駐車場。標高2400m地点にあるので、標高0mで気温30℃なら、ここは約15.6℃ということになる。

夏の車中泊では、鉄板の快眠法であり、基本中の基本といえるのが、この「標高を上げる」だ。どんなに平地が熱帯夜であっても、標高を100m上げれば、0.6℃気温が下がる。まず覚えておきたい方程式だ。

しかし、もちろん注意することはある。標高を上げるとはいえ、上に垂直移動することはできない。そのため、標高を上げるために横移動した先が、その日まれにみる熱帯夜で、標高の高さがまったくアドバンテージにならなかった、なんてこともある。

そこで大切となるが、車中泊スポットの標高をチェックすると同時に、必ず気象情報も確認すること。

「標高の高さ」を活かすためなのはもちろんのこと、高原の車中泊スポットは、悪天候になると危険を伴うこともある。その場合は、速やかに車中泊スポットを変更したほうがいいこともあるからだ。

標高の高い車中泊スポットを利用するなら、旅のプラニングが最重要

画像: 標高の高い車中泊スポットを利用するなら、旅のプラニングが最重要

ただ「標高の高い」車中泊スポットに泊まるだけなら、それほど難しくはない。バンキャンプなど、「車中泊」をすることが「目的」の場合は、とてもシンプルだ。

しかし、車中泊が「目的」ではなく「旅の手段」であった場合、目的地もしくはその近隣の標高が高いとは限らない。

そこで重要になってくるのが、旅のプランニングとなる。例えば、出発地から目的地までの最短距離上にあるRVパークは、とても近くて便利だが、標高20mだった場合。少し遠回りをしてもいいので、標高1000mのオートキャンプ場で車中泊をするほうが、「夏」では正解となる。

その移動距離や時間を加味したうえで、計画を練ることが「涼しさ」を手に入れる方法となる。

標高重視のプランニングの手順

目的地への道中、目的地付近の車中泊スポットの標高を確認する

画像1: 標高重視のプランニングの手順

出発地から目的地へのルートをいくつか設定し、まずはそのルート上にある車中泊スポットをピックアップする。さらにルート上ではなく、やや遠まわりになりそうでも、標高1000m前後のスポットもリストアップしておく。

ただし目的地に車中泊スポットがあり、そこが標高1000m前後であれば迷う必要はない。そこで決定だ。

出発地と目的地、そして標高の高い車中泊スポットの距離と移動時間を計算

画像2: 標高重視のプランニングの手順

出発地から、リストアップした車中泊スポットとの距離と時間、さらにそのスポットから目的地までの距離と時間を導き出すと可視化しやすい。

やや遠い標高1000mの車中泊スポットを利用するためには、どのくらい時間がかかるか? が把握できる。通勤時間帯の市街地などは渋滞時間も考えておくと、より現実的な計画に近づく。

予定している日程に当てはめて、滞在時間と移動時間を足した無理のないスケジュールを組む

画像3: 標高重視のプランニングの手順

距離と時間を考えながら、出発地→標高の高い車中泊スポット→目的地A→標高の高い車中泊スポット→目的地B→帰宅というルートを繋げる。

ここで、まちがえてほしくないのは、車中泊スポットの標高の高さばかりを気にするあまり、目的地での滞在時間が少なくなってしまった場合。その場合は、そもそも計画に無理がある。再考すべきだ。

迷ったら、進路は北へ!

画像: スタッフのトドロキが、8月に北海道~東北を旅したときの車内。青森県恐山付近では厚い寝袋を使用している。

スタッフのトドロキが、8月に北海道~東北を旅したときの車内。青森県恐山付近では厚い寝袋を使用している。

なぜ夏の北海道は、クルマ旅を楽しむ旅人たちにとって聖地なのか? 大自然が多く残り、信号が少なくドライブしやすいなど、多くの要因が挙げられる。

しかし、その最も大きな理由は涼しいからだ。特に車中泊においては、それほど凝った工夫をする必要もなく、さわやかに就寝することができる。

東北地方も、関東以南に比べて気温が低いエリアが多いので、夏に巡るには適している。しかし、そんな東北地方のなかでも、体感的に暑いと感じる地域もある(実際に気温も高い)。

涼しいと感じるのは、岩手県や秋田県、青森県といった北のエリアだろう。

画像: 迷ったら、進路は北へ!

車中泊スポット内でも駐車する位置で快適さは変わる!

画像1: 車中泊スポット内でも駐車する位置で快適さは変わる!

「標高を上げる」そして「進路を北へ」が、「真夏の車中泊テク改涼計画」の基本のキならば、ここで紹介するのは、そもそも「夏にクルマを駐車する」ときの、基本のキではないだろうか。

事前に車中泊スポットをリサーチする場合、周囲の森林の多さや地面の種類も調べておきたい。できるだけ木陰、そして地面は芝や土のほうが、あきらかに暑さは軽減できる。そういった意味ではオートキャンプ場は夏向き。

また、車中泊スポット内でも、駐車位置によって環境が異なる場合もある。であれば、できるだけ早くチェックインして、木陰や芝の位置を選んでほしい。

駐車位置の快適度の基本

画像2: 車中泊スポット内でも駐車する位置で快適さは変わる!

これは車中泊に限らず、旅先で観光やアウトドア・アクティビティを楽しむ際、日中の駐車場所を選ぶ場合にも該当することだろう。びっくりするくらい車内温度に違いがでる。

もし木陰などがない場合は、シェードで窓を覆っておくと車内温度の上昇は防げる。面倒がらずに小まめに脱着してほしい。

TIPS 走行中のエアコンを活用する

画像1: TIPS 走行中のエアコンを活用する

車中泊上級者のなかには、クルマのエアコンを活用する人も多い。といっても、エンジンをオンにして、駐車時にエアコンを作動させるわけではない。

就寝予定の時間から逆算して、無理のない時間までクルマで走行。まだ涼しい余韻がある間にさっと寝てしまう方法だ。もちろん、スポットのチェックイン時間が決まっている場合は、先に手続きだけはしておくこと。

さらに、車中泊でも夜のくつろぎタイムを楽しむ人は、飲酒がどうしてもネックになる。お酒を飲んだあとでは、ドライブはできないし、どんなにクルマをエアコン走行で冷やしても、ゆっくり飲んでいたら、その効果は下がってしまう。

冷えたクルマでサッと飲んで、すぐに寝るくらいの段取りが必要だろう。

画像2: TIPS 走行中のエアコンを活用する

エアコンを作動させて走行し、クルマを冷やしておけば、少なくとも寝付くまではムンムンとした車内で過ごさなくてもいい。しかし、何時までどこを走るかをしっかりと決めておかないと、ただのむだ走りになってしまう。

さらに、九州や四国の日の入りはかなり遅い。エアコン走行を行う場合、意外に遅い時間になってしまうこともあるので要注意。

文:大橋保之(カーネル編集部) 
初出:カーネル2022年7月号vol.55

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